コルト M203 / Colt M203 【擲弾発射器】 †
アメリカ軍の歩兵部隊の火力を増大させるべく開発されたM79だったが、小銃と共に携行するのは困難なうえ、単発で頻繁な再装填で無防備になりやすい、至近距離での運用に難があるといった問題があった。そこで小銃手が小銃を携行しながら効率的にグレネード弾を発射するシステムが研究されるようになった。
まずはコルト社によって(当時)アメリカ陸軍の制式採用銃であるM16の銃身の下に装備する『アッド・オン(Add on)』タイプのグレネードランチャー、XM148が開発された。ライフルとランチャーを一体にすることで、小銃手を減らすことなくグレネードランチャーを配備することができるようになったが、XM148自体は構造が複雑で信頼性に欠けるきらいがあり、制式採用には至らなかった。
そこでよりシンプルなランチャーの開発が計画され、その結果トライアルに勝ち残ったのがAAI社開発のM203である。1969年に制式採用されAAI社が生産を開始、1971年にはコルト社が製造権を購入。その後各国で開発・採用されるアッド・オン・ランチャーの先駆けとなった。
M203は、XM148と同じくライフルの銃身下部にレイアウトされる。以前のモデルでは、装着に際してハンドガードごと交換する必要があったが、のちにRAS装着モデルに対応した、RASの下半分を外して銃身に固定するM203A1(カービン用9インチバレル)、M203A2(フルサイズ用12インチバレル)に更新されている。現行のアメリカ陸軍の編成では1個分隊に1名、M203を装備した「榴弾手(グレネーダー)」が割り当てられている。
発砲のシークエンスはM79同様、一回ごとに手動で排莢・装填を行う。トリガーはシングルアクションだが、擲弾を装填・排莢する際の砲身をスライドする操作でコッキングが同時に行われる仕組みである。発砲の間隙に敵を発見した場合、ライフル側で対応が行えるため、状況に応じて有効な戦術を採れるようになった。発射されたグレネード弾は空中で弧を描く性質があるため、それを見越して着弾点を微調整する必要がある。ハンドガード上部に設置されたリーフ式サイトやリアサイト左側面に装着するクアドラントサイト(距離に応じた仰角(照準角度)を調整できるサイト)によって照準を行う。21世紀に入りダットサイトが発展・普及すると、ランチャー左側面装着するダットサイト式クアドラントサイトも登場した。
ちなみにM203は、アメリカでは、NFA武器規制により「Destructive Device（破壊的装置）」に分類され、スポーツ用火器としては（当然ながら）認められてはいないものの、民間での所有は可能である。
NFA武器の所有には、煩雑な手続きと連邦政府への登録、加えて高額な納税が必要ではあるが、（州ごとにNFA武器の所有を認めているか否かは異なっているものの）M203本体は2000ドル前後で販売されており、NFA武器市場では一般的な商品であるようだ。
ちなみに、40mm擲弾は一発あたり500ドル程で販売されているが、一発ごとに発射器本体と同等の手続きと納税が発生するため、実弾所有は稀であるらしい。そのかわり、訓練弾が10ドルほどで入手可能で、12ゲージ散弾や.22LR弾を発射可能にするアダプターもあり、これらによってM203の射撃を楽しむことができるという。DSA社からは、ピカティニーレールを介して、レール付きハンドガードを持つライフルに取り付け可能なM203が販売されている。
| モデル | 解説 |
| M203 | 標準型。M16A1、M16A2/M16A3に対応する12インチ銃身。 |
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| M203A1 | 主にM4/M4A1に対応する銃身長9インチのモデル。フロントのバレル固定具がQD(クイックデタッチ＝即時分離)タイプとなった。
ナイツアーマメント社のM4 RASに合わせた設計となっている。
前述通り主にM4用だが、カナダ軍ではM16のライセンス生産モデル・ディマコ C7に装着している。 |
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| M203A2 | M16A4のMWS(Modular Weapon System)用。12インチ銃身で、
ナイツアーマメント社製M5 RASに合わせた設計となっている。 |
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RM エクイプメント
M203 PI | RMエクイプメント社による派生モデル。
「インターバー」と呼ばれる独自規格のマウントレールを備えたハンドガードに換装する事でAR15やAK47、AUGやG3、ガリル、MP5などに対応しているとされる。
詳細は不明だが公式の声明では1万セット以上を売り上げたとのこと。
なお同社はM203用のフォアグリップも製造・販売している。 |
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| K201 | 韓国で生産されているもの。韓国軍がK2に装着して運用している。 |
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| コブレイ CM203 | コブレイ(Cobray)社が生産している民間向けフレアランチャー。
M203と見た目こそ似ているものの、口径は非殺傷弾用の37mmで、バレルにもライフリングが無いため精度は低く、信号弾を撃ち出す以外の用途には適さない。
外観上の差異として、全体的に本家よりやや細長く、左側面にM16/M4タイプのセフティレバー、右側面にはコッキングレバーを有している点が異なる。
M203と異なり、上記のような理由から「破壊的装置」とはみなされず入手や使用が容易であることから、M203代わりのプロップガンとして映画ではよく登場する。 |
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