ハード・ターゲット / Hard Target †
1993年、アメリカ映画
監督:ジョン・ウー
・ストーリー
元アメリカ海兵隊偵察部隊、しかし今は職にあぶれ、ニューオーリンズでホームレスに落ちぶれているチャンス・ブドロー。ある日ひょんなことで強盗から助けた美女、ナット(ナターシャ)・ビンダーに、行方不明の父を捜すのを手伝って欲しいと頼まれる。最初は金目当てだったチャンスは、調査を進めるにつれて、この地で《人間狩り》をプロモートする組織 “サファリ” の存在に突き当たる。フーション率いるその組織は、軍歴のあるホームレスを『獲物』に仕立て、ブルジョア客に残虐な殺人ゲームを斡旋していたのだ。
ナットの父、そしてチャンスの友人も、《人間狩り》の標的にされ死んでいった。そして今度は、秘密を知ったチャンス自身が狩りの《ターゲット》にされようとしていた――。
・作品解説
『男たちの挽歌』のジョン・ウー監督、アメリカ進出(脱出?)第一作。ちなみにプロデューサーは『スパイダーマン』のサム・ライミ氏。今や押しも押されぬメジャーの御両名だが、この頃はまだ(良くも悪くも)B級の匂いがプンプンである。
まだ『ハリウッド流』に不慣れだっただけに、消化不良の部分(アクションに比べてドラマパートが弱い、とか)も少なくないが、ウー作品の大きなテーマである、『どん底から這い上がろうとする男達の闘い(あるいは悲劇)』は、本作でも貫かれている。
(つい先日ハリケーンで壊滅したニューオーリンズが、『貧しく不幸な町』として舞台になるのも、なにやら暗示的ではある。)
もちろん、アクションでは『弾が飛び、蹴りが飛び、鳩も飛ぶ』ジョン・ウー節全開。ヴァン=ダム、ランス・ヘンリクセンはじめ、主役・悪役のキャラ立ちもバッチリである(主役より悪役の方が『濃い』のもウー監督らしいかも)。主要キャストの面々が、いずれもその後のウー作品から遠ざかっているのは残念だが、裏返せば本作でしか見られない要素も多く、捨てがたい佳作である。
主役陣にほとんど死者が出ないのも、ウー作品ではちょっと珍しい。
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