ニューヨーク1997 / Escape From New York †
一般的にはB級作品的な扱いを受けていながら、カルト的に根強いファンを持つ近未来SF(?)バイオレンスアクション映画。ジョン・カーペンター監督と主演のカート・ラッセルの出世作としても知られるが、ブラックミュージックの大御所アイザック・ヘイズや、往年の名優ドナルド・プレザンス、リー・ヴァン・クリーフなど、意外に豪華な俳優陣も見所の一つ(なお、これは他のカーペンター作品にも共通する)。
余談だが、本作のストーリーやキャラクターなどの設定は、ステルスゲーム『メタルギアソリッド』に多大なる影響を与えていることで有名である。
ちなみにファンの間では、スネークが今度は惑星(地球)から脱出するというストーリー、『Escape from Earth』が制作されるのではないか、との噂が流れているが正式なアナウンスはされていない。
その後『Escape from the Earth』の話など無かったかのように、『ニューヨーク1997』のリメイク版が制作されることが決定した。スネーク・プリスケン役はカート・ラッセルからジェラルド・バトラーに変更となったが、制作総指揮としてジョン・カーペンターは参加に意欲を示しているという。
ニューヨーク1997 (原題:Escape From New York) †
1981年、アメリカ映画
監督:ジョン・カーペンター
・ストーリー
1997年のアメリカ。凶悪犯罪の温床であるニューヨークはその対策として、今や巨大な監獄と化していた。そこには全米の囚人300万人が放たれ、夢も希望もない刹那的な生活を送っていた。マンハッタン島の周囲には巨大なコンクリート壁が巡らされ、橋と水路には地雷が敷設、常に上空をヘリコプターが旋回しており、一度収監されたら脱獄は不可能であった。このニューヨーク刑務所は軍隊と何ら変わらない≪国家警察(USPF)≫が管理し、自由の女神像は「リバティーアイランド・セキュリティー・コントロール(LIBERTY ISLAND SECURITY CONTROL)」と呼ばれる監視塔としての役割を果たしている。
ある夜、サミットに向かう途中だった大統領(ドナルド・プレザンス)専用機"デビッド14"が過激派テロリスト"アメリカ自由解放戦線"にハイジャックされ、マンハッタン島のど真中に不時着した。監獄きっての囚人デューク(アイザック・ヘイズ)を首領とするストリートギャング≪ジプシーズ≫はチャンスとばかりに大統領を捕虜とし、アメリカ政府に対し囚人全員の釈放を叩きつけてきた。
それに対し政府が打ち立てた手段は、元特殊部隊の中尉で現在は犯罪の帝王といわれるスネーク・プリスケン(カート・ラッセル)を大統領救出の任にあてる、というものだった―――。
・解説
近未来のアメリカ(公開時から16年後)を舞台にしたディストピアSF映画。
本作は近未来という設定なので、映画オリジナルのプロップガンが少なからず登場する。しかしSF色を狙ったのか、サプレッサー上にスコープ(しかもライフル用の)を装着したM10や、ハンドガードとガスチューブを取り外したM16……など銃に詳しい者にとって奇妙な印象を与える映画となった。
なお、そういう設定なのか制作予算の欠乏ゆえか、囚人達は銃火器をほとんど持たず、ナイフやクロスボウなどの原始的な武器で武装している。
エスケープ・フロム・L.A. (原題:Escape From L.A.) †
1996年、アメリカ映画
監督:ジョン・カーペンター
・ストーリー
2013年、警察国家と化した新生道徳国アメリカ。
大統領(クリフ・ロバートソン)の娘ユートピア(A・J・ランガー)は、大統領専用機に乗り込み政府が秘密裏に開発した新兵器「ブラックボックス」を持ってL.A.に逃亡した。L.A.は2000年に起きた大地震のために陸から引き離され島と化して以来、現大統領の厳格な管理体制の規律に反する者たちの追放場所となり、凶悪な犯罪者の監獄島となっていたのだ。
ユートピアを陰で操っていたのは、L.A.内に君臨するペルーの革命家クエボ・ジョーンズ(ジョージ・コラフェイス)で、ブラックボックスを手中にした彼は、L.A.島の全囚人の解放を要求して合衆国政府を脅迫する。
万策尽きた大統領と国家警察司令官マロイ(ステイシー・キーチ)は、15年前、N.Y.の監獄島から当時の大統領を救出した実績のある重犯罪者スネーク・プリスケン(カート・ラッセル)をL.A.に潜入させる手段を選ぶ。彼らはスネークの体内に致死率100%のプルトキシン7ウイルスを注入させ、解毒剤と引き換えにブラックボックス奪回を命じる。
原子力潜航艇シャーク3で島に上陸したスネークは、荒廃したハリウッドを進み、クエボと彼のテロ集団≪輝く道≫と対峙するのだった―――。
・解説
前作から15年を経て制作された続編。カーペンター監督が自らメガホンを持って続編を撮るのは珍しいが、内容的にはむしろセルフリメイク的な色彩が強い。
前作と同様、本作も映画オリジナルのプロップガンが登場する。
スネークが使うアサルトライフルのコアバーナーは、前作のM10と違って(?)見た目的にも説得力を持ったデザインとなっているが、活躍の場がほとんど無いのが残念だ。
アメリカ合衆国の国家警察制式銃は前作のM16から打って変わり、グレネードランチャー装着のFALに変更されている(世界のパワーバランスが崩れ、第三世界から狙われる存在のアメリカにとって、単に虚栄心を表しているだけの銃なのかもしれない)。
また、L.A.の囚人をはじめ≪輝く道≫の構成員達は第三世界からの支援を受けているため前作と違ってかなりの重武装となっているが、テロリストにありがちなAK47よりも、M16など西側諸国の銃器を使用しているのが興味深い。劇中の殺人ゲームスタジアムやハッピーキングダムのシーンでは、データ未表記の物も多いのだが多数のエキストラが多種多様な銃を所持しているのが確認できる。
決めゼリフ †
■1・2作目共通。「プリスケン」と呼ばれた時のセリフ:
"Call me Snake."
(スネークと呼べ)
ちなみに2作目のラストで「スネーク」と呼ばれた時には、"The name's Plissken.(俺はプリスケンだ)"と答えている。
■バンコク式の決闘で、ズルをした時のセリフ:
"Draw."
(抜けよ)
スネークのアンチっぷりが良く出ているセリフ(&行動)である。
■"Now, give me that unit.(では、装置を渡してもらおうか)"と言う大統領に向かって:
"You want this thing? Come and get it."
(コレが欲しいのか? だったら取りに来い)
ちなみにこのセリフは、ほぼ同じ状況で『ウルトラヴァイオレット』で使用されている。
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