対物火器 / Anti-material weapon † 主に建築物や設備、車両、航空機などを攻撃することを目的とした火器。本項では個人携行型のものに絞って解説する。 一方、戦車をはじめとする装甲車両の発展により第二次世界大戦以降は廃れた対戦車小銃だが、冷戦時代に大口径の重機関銃を用いた長距離狙撃が評価され、また対戦車小銃が担っていた機銃陣地などの野戦築城に対する狙撃が再評価されるようになると、対物小銃(アンチマテリアルライフル)または大口径狙撃銃(ラージキャリバー・スナイパーライフル)として同様のライフルが再び登場した。その高い威力と射程から、遠距離より爆発物や固定機関銃、非装甲車両のみならず軽装甲車両のエンジンブロックなどを破壊するのに用いられる。また通常の小銃弾に比べ遥かに重く大きなエネルギーを持つ弾体のおかげで、風や空気の影響をあまり受けずに遠くまで弾丸が届くので、長距離狙撃銃としても使用される。 これとまったく逆となってしまった事例としてフォークランド戦争では、アルゼンチン軍の陣地に据えられたM2重機関銃からの射撃に対し、イギリス軍はこうした任に適切なボーイズ対戦車ライフルという対抗火器をとうの昔に退役させていたため、これらの陣地一つ一つを潰す為にはるかに高価で威力過剰な各種対戦車火器を使う事を強いられた。使用されたのはカールグスタフ M2や更に高価で重いL6ウォンバット無反動砲、ミラン対戦車ミサイルである。 これらの点から、正規に開発製造されて配備されたものの他にも、調達手段の限られる反政府武装組織やあるいは正規軍の部隊単位でも需要に応じて重機関銃や機関砲の銃身を転用した大口径狙撃銃がしばしば製作、運用されており、武装民間車両や自爆車両、建築物の破壊や長距離狙撃に用いられている。 なお、RPG7やパンツァーファウストIIIなどは俗に「ロケット砲」ないし「ロケットランチャー」と呼ばれることも多いが、発射に際しては無反動砲の原理を利用しており、一定距離を慣性で飛行した後に弾体の推進用ロケットモーターに点火するようになっている。この方式ではロケットの噴射を射手が浴びる危険性が無く、ロケット推進によって射程や弾頭のペイロードに余裕が持てることから、1970年代以降はロケット火器の代表的な方式の一つとなっている。 対空用の個人火器といえば、第二次大戦末期にドイツで個人携行可能な地対空ロケット火器としてフリーガーファウストが開発されている。制空権を失い、対空砲部隊の運用すら困難となったドイツが窮余の策として生み出したものである。これは、無誘導で弾速も遅いロケット弾では積極的な撃墜は望めないことから、多連装化した曳光ロケット弾を斉射する事で敵航空機が攻撃進路に入ることを阻む防御的兵器であった。 第二次大戦後には、先述の対戦車ミサイルと共に、個人携行可能な精密誘導地対空火器が登場した。これらは精密機器で構成された誘導装置の分だけ非常に高コストではあるが、より長射程な車載ないし艦載の対空ミサイルの最短射程を埋める防空システムの一翼を担っている。 対物/対戦車ライフル †AI AW50 無反動砲 †FFV AT4 / M136 対戦車擲弾発射器(弾頭を無反動砲式で射出する発射筒) †対戦車擲弾発射器(ロケット推進式の弾頭を無反動砲式で射出する発射筒) †その他の対戦車擲弾発射器 †対戦車ロケット発射器 †HAS パンツァーシュレック(RPzB) 対戦車ミサイル †MD M47 ドラゴン 地対空ロケット発射器 †地対空ミサイル †GD FIM-92 スティンガー ガトリングガン †航空機関砲 †最新の10件を表示しています。 コメントページを参照
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