寄生獣 †
講談社 1990年〜1995年『月刊アフタヌーン』連載
著:岩明均
・ストーリー
人間が食物連鎖の頂点に立つ時代は、突然、終わった。
普通の高校生・泉新一は、未知の生物に右手を食われた。地球の生態系に突然現れたこの生物は通称・パラサイト。なんと人間を食料とする新種の寄生生物──人間の脳を食い、その人間の身体に寄生する知的生物──だった。
新一を襲ったパラサイトは、脳を奪うのに失敗し、右手に寄生してしまった。動揺する新一をよそに、右手は人間の言語や文化を学び、自らをミギーと名乗り、新一に共同生活を持ちかけてきた。お互いが生き続けるためには、他に選択肢はない。
勘の鋭い同級生・村野里美に怪しまれながらも、なんとかいつも通りの日常を過ごそうとする新一。しかし、教師として赴任してきたパラサイト・田宮良子にその正体を見破られてしまう。
街中に潜み人間を喰らうパラサイト達との戦いを余儀なくされた新一とミギー。パラサイト達が一大ネットワークを形成しつつある中、人間達もパラサイトへの反撃を始めようとしていた。
地球に生存を許される種は、人間か?パラサイトか?
・作品解説
1996年星雲賞コミック賞を受賞し、SF漫画の金字塔との呼び声も高いコミック。
まるでミカンの皮のように、人の頭がパックリと割れてパラサイトが正体を現す独特のグロテスクさが目を惹かれるが、ストーリーの底に根付き主人公を翻弄する「“悪魔”に最も近い生物は人間である」というテーマ性も、ただの勧善懲悪な物語で終わらせない味わい深さを醸している。
2005年にアメリカの映画会社が映像化権を獲得していた為、不朽の傑作にも関わらず日本では長らく映像化されることがなかったが、2013年に計画が頓挫し契約期間が終了したため、2014年に日本で「寄生獣」がアニメと映画で制作されることになった。
アニメは2014年10月、日本テレビ他で放映開始。ミギーの声優は平野綾。
実写映画は二部作で、前編が2014年11月、後編が2015年4月に公開された。監督は山崎貴、主演は染谷将太。ミギーの声とモーションアクターを阿部サダヲが務める。
両作品とも、舞台は連載当時の1990年代ではなく現代という設定でアレンジされている。
・パラサイトとは
突如地上に現れた謎の寄生生物。
幼生段階ではミミズ程度の大きさの生物だが、人の体内に入り込んで脳を喰らい奪うことで寄生し成虫となる。寄生された宿主は、首から上が完全にパラサイトの組織に置き換わる。
体組織全体が脳として思考し、学習能力が極めて高く、数日で人間の言語や生活習慣を習得し、社会に適応していくことが可能。人類の抹殺を使命としており、人間を捕食する。
その体には骨がなく、まるでクレイアニメのように身体を自由に姿を変形させることが出来、捕食時は頭全体を口に変えたり、戦闘時は身体の一部を刃物や盾のような形状に変形させ硬質化させることができる。
弱点としては、首から下は人間の身体のままという点が挙げられる。宿主の心臓・血液を流用して生きている為、身体が致命傷を負うとパラサイト自身も死に至る。
そのためパラサイトを殺害するには、ショットガンなどの高威力の銃弾でボディを破壊するのが効果的。
また、火炎や毒物を寄生部位に浴びせて体組織を死滅・混乱させ、自壊に追い込むのも有効なダメージを与える手段となっている。
作者によるとれっきとした地球生まれの生物とのこと。
原作漫画 †
物語終盤の戦闘に、自衛隊を連想させる対パラサイト部隊が登場するが、自衛隊では本来は配備されていないショットガンやM16A2などを使用している。
また、パラサイト駆逐の為には民間人や仲間の犠牲も厭わない残虐な部隊として描かれ、結果として作中で語られる“悪魔”に極めて近い立ち位置の存在となっている。
現実問題に配慮して、作中で彼らが「自衛隊」と呼称される場面は一切ない。
寄生獣リバーシ †
講談社 『コミックDAYS』連載
著:太田モアレ
アニメ †
寄生獣 セイの格率 †
映画 †
寄生獣 †
対パラサイト部隊が、自衛隊を彷彿とさせる迷彩服姿の戦闘員ではなく、SAT隊員に改変されている。