コルト M727 “アブダビ・カービン” / Colt M727 “Abu Dhabi Carbine” 【突撃銃】 †
モデル | 全長(伸長時) | 銃身長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 製造国 |
M727 | 755(840)mm | 14.5in | 2.6kg | 5.56mm×45 | 20/30 | S/F | アメリカ |
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M733 | 680(760)mm | 11.5in | 2.4kg | 5.56mm×45 | 20/30 | S/F(S/3) |
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1985年に、アラブ首長国連邦(UAE)からの発注によって作られたM16A2のカービンモデル。UAEの首長国アブダビの名をとって「アブダビ・カービン」とも呼ばれている。727は、コルト社のモデルナンバーである。
1982年にM16がM855仕様のA2へアップデートされると、特殊部隊を中心に使用されてきたXM177・M653らカービン系もM855仕様が必要となり1984年よりXM4(コルトM720)の開発が進められた。M4が正式採用された1994年までの約10年間、コルト社では複数のM16A2カービンモデルをラインナップしており、その内の一つがM727である。M727を始めとするM16A2カービンは少数が米軍に購入されており、後のM4と同様の仕様(後述)が採用されていたりとXM4へかなりのフィードバックがあったことは想像に難くない。
80年代を代表する特殊部隊向け突撃銃なのだが、XM177とM4の間に挟まれた悲しさか、知名度はいまいち低い。
M727は外観上アッパーレシーバーがM16A2のものとなっている他は、後のM4カービンとほぼ同じ仕様となっている。バレル長も14.5インチで、UAEからのオーダーによりバレル固定式のM203グレネードランチャーを取り付けられるよう、バレルの一部を「ステップカット(段付き)」している点も同様だ。この仕様は、もともとM203はA1のバレルに固定するよう設計されていたため、前方のロック部分のみを、A1タイプへとダウンサイジングしたものだ。
M16A2系ではガスブロック部からその先までを大径化した「ガバメント・プロファイル」と呼ばれるバレルが採用されている。ハンドガードに覆われた個所のバレル外径はA1のままであり、フルサイズのライフルならそのままM203を装着できる。これに対し、ショートバレルのカービンはM203の前方固定具が大径化された部位と接続、干渉するため、このような仕様となっている。このカービン系のステップカットバレルは、のちに「M4プロファイル」と呼ばれている。
M723(フルオート)/M725(3点バースト)はM727に先行して製作されたモデルで、M727との違いはM16A1タイプのリアサイトと「ペンシルバレル」と呼ばれるA1と同じ太さの細径バレルが装備している点。A1と同じ銃身径のためM203もそのまま装備可能だ。なお、1980年代終わりの後期型ではM727と同じステップカットバレルに換装されている。
M727はM4カービン登場後も生産され、アメリカの法執行機関の特殊部隊に配備されている。中東地域に展開するアメリカ空軍では、基地の保安警備要員向けとして少数の部隊調達品が運用されている。
M723はアメリカ軍に少数納入され、80年代の後半からM4採用までの間デルタフォースによって運用されていた。かのラリー・ヴィッカーズもデルタ時代に使用しており、当時の仕様を再現した動画をアップしている*1。なおヴィッカーズが使用していたM723にはステップカットバレルが装備されていたようだ。1989年のパナマ侵攻から1991年の湾岸戦争、ブラックホーク・ダウンの元となった1993年のモガディッシュの戦いでも使用された。
M733は、727よりさらに短い11.5インチのバレルを備えたモデルで、コルト社による呼称をXM177と同じ「コマンドー」という。スペアパーツから組まれた製品も少なくなく、A1やA2、さらにはその過渡期にあたる、A1のリアサイトとA2のケースディフレクターを有したものなど、様々なタイプのレシーバーを備えた733モデルが存在する。
このM733にフラットトップレシーバーを備えたモデルは「M933」のモデルナンバーで区別されている。レシーバー上部にピカティニーレールを有する933は、M4カービンのショートバレル版ともいえるモデルである。
(主なバリエーションモデルは、『コルト AR15 バリエーション』を参照)
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