コルト XM177 / Colt XM177 【突撃銃】 †
モデル | 全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射速度 | 発射形式 | 製造国 |
XM177E2 | 757(826)mm | 2.43kg | 5.56mm×45 | 20/30 | 750発/分 | S/F | アメリカ |
---|
XM177E1/E2は、ベトナム戦争中、アメリカ陸軍が特殊部隊向けに限定配備した突撃銃である。
当時、アメリカ軍SOG(Special Operations Group)などの特殊部隊は、その任務の性質上、M16の様な全長の長い銃では取り回しが悪いためにより小型のライフルを要望した。そこでコルト社が用意したのが、M16をベースに全長を切り詰めた「M607 CAR-15 Submachine Gun (SMG)*1」と呼ばれるモデルである。M607は「GX5857(Gun Experimental 5857)」の名称を与えられ、米軍特殊部隊によってテストされた。しかし、銃身長を半分にまで切り詰めたこのモデルは、激し過ぎる発砲音やマズルフラッシュなど、必要とされる特殊作戦にはむしろ極めて不向きという欠点を有していた。
そこでコルト社は、サプレッサー効果のある大型のフラッシュハイダー(サウンドモデレーターとも呼ばれる)*2を装備させることでマズルフラッシュを軽減すると共に発砲音をM16と同じ20インチ銃身並みに抑え解決を図った。この「M609 CAR-15 Commando」モデルは、現在のものに近い伸縮式ストックと、リブつきの円形ハンドガードを有していた。スタイル面でいえばM16系ショートモデルのスタンダードを築いたモデルであろう。1966年、アメリカ軍はこのモデルにテストナンバーの“X”ナンバーを与えて試験採用した。これが空軍採用の「XM177」と陸軍採用の「XM177E1」である。
ちなみにアメリカ空軍が採用したモデルは、ボルトフォワードアシストを廃した「M610 CAR-15 Commando」で、エアクルーの護身用サバイバルガンなどを目的としている。
後に、戦場で得たデータをもとにして銃身の延長やコルト製XM148グレネードランチャーを取り付け可能とするなどの改良が加えられた「XM177E2」が登場し、四半世紀後の湾岸戦争でも特殊部隊の隊員達が使用していた(その後はM727やM4に更新されている)。米空軍もXM177E2相当のモデルを採用したが、以降は「GAU-5A」などの空軍式名称に改めている。
ベトナム戦争終結時にはXM177の生産は終了していたが、コルト社では独自に改良したカービンを開発しておりそれが「M653/654」である。XM177と同じハンドガード・ガスシステム長を流用しつつ銃身長を14.5インチとすることで銃剣の着用が可能になった。銃身の延長によりサウンドモデレーターも不要になったためM16と同じ鳥籠ハイダーに戻されている。ベトナム戦争後のアメリカ軍特殊部隊に配備されていたほか、イスラエル国防軍にも多数供与された。特に国民皆兵のイスラエルではアメリカがM4(M9xx系列)に移行した21世紀に入っても予備役用の銃器として多数配備されており、ダットサイトが装備された個体なども確認されている。
余談だが、「CAR-15(カー・フィフティーン)」の名称は、「Colt Automatic Rifle-15」の略称であり、コルト社が自社製AR15ファミリーを、アーマライトの元祖AR15との差別化を図るために名付けたものである。フルサイズモデルや軽機関銃モデルなども存在するのだが、M4が普及する以前は、なぜかM16系カービンの総称として使われる事が多かった。
各種バリエーション †
モデル | 解説 |
GX5857 (コルト M607) | A1をディフォルメしたような外観のショートカービン。テレスコピックストックもA1のものを切り詰めたようなスタイル。 極少数が生産され、ごく短期間米海軍SEALなどで使用された。フルオートモデルと3バーストモデルが存在した。 東京マルイが「CAR-15」の商品名で販売していた電動エアソフトガンはコレ(現在絶版)。 |
---|
XM177E1 (コルト M609) | 下記のXM177と並び、アメリカ軍が採用したM16系カービンの中で、最初に量産されたモデル。 後のM4カービンまで継承されるテレスコピックストックデザインを最初に採用したカービンだったが、 当時はバットストック部がアルミ合金製で2段階伸縮だった。 |
---|
XM177 (コルト M610) | 上記の米空軍モデル。最も大きな違いはボルトフォワードアシストノブが無いこと。のちにGAU-5Aに名称を変更。 |
---|
コルト M619 & M620 | XM177E1の輸出・市販バージョン。 |
---|
XM177E2 (コルト M629) | XM177E1の改修モデル。当時の米陸軍SOGや米海軍SEALなど特殊部隊で主に使用された。 |
---|
GAU-5A (コルト M610 & M630) | 上記の米空軍モデル。ボルトフォワードアシストノブが無い。 |
---|
コルト M639 | XM177E2(M629)の輸出・市販バージョン。 |
---|
GAU-5A/A (コルト M649) | 上記の米空軍採用モデル。例によってフォワードアシストノブが無い。 |
---|
コルト M653 | 米軍採用のA1系カービンの中では最後のモデル。M727やM4と同じ14.5インチ長のバレルを採用。 大型のフラッシュハイダーではなく、A1同様の鳥篭ハイダーとしている。 米軍の各特殊部隊に優先的に配備された。 |
---|
コルト M654 | M653の輸出バージョン。M653との違いはフォワードアシストノブが無いこと。 |
---|
GAU-5/P (コルト M610,M630,M649) | 既存のGAU-5シリーズを、M653と同様の14.5インチバレルに交換したもの。 |
---|
GUU-5/P (コルト M610,M630,M649 及びM16A1) | 既存のGAU-5シリーズを、新型弾薬M855(SS109)用に新型バレルへと交換したもの。 A2の登場により引き上げられたM16A1をリビルドして、GUU-5/Pカービンに改修したモデルもあった。 新名称が新たに打刻される。 |
---|
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。
外部リンク †
・Colt Commando / CAR-15 / XM-177 ムービー1
・Colt Commando / CAR-15 / XM-177 ムービー2