ステアー AUG / Steyr AUG 【突撃銃】 †
モデル | 全長 | バレル長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
A1 | 690mm 790mm | 407mm 508mm | 3.3kg 3.6kg | 5.56mm×45 | 30/42 | 650発/分 | S/F | オーストリア |
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A2 | 690mm 790mm | 407mm 508mm | 3.3kg 3.6kg |
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A3 | 740mm | 455mm | 3.7kg | 5.56mm×45 |
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6.8mm SPC |
9mm(AUG SMG) | 665mm | 420mm | 3.3kg | 9mm×19 | 25 | 850発/分 | S/F |
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Z(民間モデル) | 790mm | 508mm | 3.6kg | 5.56mm×45 | 9 | − | S |
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オーストリアのステアー社が1970年代に開発したブルパップ式突撃銃。
AUGはドイツ語で「Armee Universal Gewehr:陸軍汎用小銃」の略。略称であるため正確な読み方は存在しないが、英語では『エーユージー』か『オーグ』と呼ばれる事が多い。
人間工学を考慮したユニークなデザインからは想像できないほど良好な命中精度を誇り、ブルパップ式で取り回しも良く、全長に反するバレル長を確保できている。
さらにフレームにプラスチックを採用したため軽量であり、フレームと一体化したスコープマウントは、他の銃にありがちな脆弱さが無く固定も容易。マガジンも同様にプラスチック製で、かつ半透明の成型としたため、レシーバーに装填したまま外から残弾確認が可能となっている。
ユニット化された各部品は分解し易く整備面において優れている上、容易かつ迅速に交換する事が可能。また、組換えによって異なる種別の銃火器として使用することもできる。バレルとボルト機構を9mmパラベラム弾用に交換すれば短機関銃に、621mm長のヘビーバレルとバイポッドを取り付ければ、分隊支援火器である「HBAR」となる。また、フォアグリップを取り外せばM203擲弾発射器の装着も可能となる。
同様に部品の組み換えで排莢口を左右に変更でき、左利きの射手にも対応できるようにしている。ただし、コッキングハンドルは左側固定で変更することはできない。
他にも特徴的な構造として、コッキングハンドルがボルトキャリアと独立しており、射撃中、ハンドルは前進位置のまま、動くことがない*1。そのため、全弾撃ちつくすとボルトは後退位置で停止するのだが、マガジンを交換して再度ボルトを前進させるには、ハンドルを引きなおす必要がある。
こういった構造のため、ハンドルの後部に小さなボルトフォワードアシストノブが付属している。このノブを押し込んでいる間はハンドルとボルトキャリアがしっかりと連結されるようになっており、閉鎖不良の際にはこれを使って、強引にボルトを前進させて対処することになる。
難点はセミ/フルの切り替えで、一般的なセレクターが無く、トリガーの絞り具合で変化する(軽く引けばセミ、深く引けばフル)。使う兵士の心理状態を考慮した設計なのだろうが、他の銃と勝手が違うので、転換訓練には多少の「馴れ」が必要となる。
1970年代にオーストリア国防軍のStg58に替わる後継銃トライアルに参加し、M16A1などの強豪を抑え、Stg77の名前で制式採用の座を射止めた。
オーストラリア地上軍では改修モデルF88、通称『Austeyr』が採用されており、銃身のフリーフローティング化や操作性の改善が施されている。このモデルは2016年現在では、更にEF88やF90などの最新モデルへ発展を遂げている。
他にもGIS(イタリア軍警察対テロ特殊部隊)などにも制式採用されており、ブルパップ式突撃銃としては比較的多くの国で採用されている。
現行型のA2型は、従来のA1型に標準装備されていた1.5倍の固定スコープから、MIL-STD-1913に準じたスコープマウント(ピカティニーレール)となっている。更にオーストラリア軍とニュージーランド軍の要請でレールシステムを搭載したA3型も登場している。
モデル | 解説 |
A1 | 最初のモデル キャリングハンドルを兼ねるスワロフスキー・オプティック社製簡易レンジファインダー付1.5倍スコープが標準装備 |
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A2 | A1のスコープを廃止し、別途光学機器を搭載できるようマウントレールに変更 |
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A3 | A2の発展型 NATO基準の光学装備を搭載できるようレイルシステムを追加 ボルトリリーススイッチを新設 6.8mmx43SPC弾の使用テストも実施されたが中止 |
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AUG P | 銃身を切り詰めたカービンモデル このP型にマウントレールが備わっているものは「スペシャルレシーバー」と呼ばれる |
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AUG 9mm | 9mmx19弾を使用する短機関銃モデル 「AUG SMG」や「AUG PARA」とも呼ばれる |
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AUG LSW | LSW=Light Support Weapon、分隊支援火器モデル |
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AUG HBAR | HBAR=Heavy Barreled Automatic Rifle、ヘビーバレルモデル |
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AUG HBAR-T | HBARをベースに狙撃銃としたモデル |
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AUG LMG AUG LMG-T | HBARをベースにLMG(軽機関銃)としたモデル 4倍オプティカルスコープを標準装備 LMG-Tはスコープを廃し、マウントレールとしたもの |
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AUG USR | AWBの制定で通常モデルのAUGがアメリカに輸入不可能となった際に、BATFEの「スポーツライフル」規定をクリアし輸入可能なよう再設計されたアメリカ用民間向けA2モデル グリップとマガジンウェルの間にフレームを挿入することでブルパップながらサムホールストックとして扱われるという特殊な設計となっている |
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AUG Z | A2の民間向けモデル。セミオートオンリー |
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AICW | 項目参照 |
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MSAR STG556 | アメリカのMSAR(Microtech Small Arms Research)社が2007年のショットショーで発表した、AUGの独自改良モデル ボルトストップ構造の変更、コッキングハンドルやフラッシュハイダー形状の他、内部部品の再設計も行われている |
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