IMI ガリル / IMI Galil 【突撃銃】 †
モデル | 全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
ARM AR | 987mm | 4.65kg 4.20kg | 5.56mm×45 | 35/50 | 630〜750発/分 | S/F | イスラエル |
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SAR | 850mm | 4.05kg |
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MAR | 706mm | 3.28kg |
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ARM308 AR308 | 1050mm | 4.70kg 4.25kg | 7.62mm×51 | 20/25 |
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スナイパー | 1115mm | 8.2kg | 7.62mm×51 | 20/25 | − | S |
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1960年代にイスラエルのIMI社が自国向けに開発した突撃銃。同社のイスラエル・ガリリ(Israel Galili)とヤコブ・リオール(Yaacov Lior)が中心となって設計した。
フィンランドのバルメ社製Rk62を元に作られており、自国の援助関係を考慮して使用弾薬を西側標準の5.56mm×45に変更している。
レシーバーやガスブロック、アイアンサイトなど、多くはRk62を引き継いだもので、旧ソ連のAK47と異なりグリップの基部にあるセレクターでも操作が可能な点が特徴的である。マガジンの容量は世界的な標準より若干多い35発となっている。他にはFALタイプの折畳式ストックを持ち、更に基本モデル(ARM)はキャリングハンドル・バイポッドなどの多くのアクセサリーを標準で備える。幾つかのパーツには栓抜きやワイヤーカッターの機能が付与されている(後述)。
こうした当時としては豪華な標準アクセサリーやハイキャパシティの総弾数は、総人口が少なく兵力で劣るイスラエルが一人一人の継戦力を上げるために軽機関銃やツールとして使用できるよう多くの機能を盛り込んだ結果であった。しかし当時の他のライフルの軽機関銃モデル同様、ライフルのサイズでは持続火力には限度があり、また付与されたアクセサリーも平時にはかさばるだけで兵士には不評であったため、後々これらを除去した通常モデル(AR)が普及することとなる。
1973年にFALに変わる制式突撃銃としてイスラエル国防軍に採用され、1年後の1974年より導入開始。
後にアメリカとの外交関係から中古のM16が格安で入手可能になったため主力火器の座は降りたが、ライセンス生産がおこなわれている南アフリカ共和国などでは今も現役である。
余談ながら、古今東西どんな銃を探してもガリルが唯一といえる設計がある。それは『栓抜き』である。
イスラエル軍がガリルの試験モデルを導入した当初、前線からレシーバーやマガジンを損傷したとの報告があり、原因を調査してみた。すると兵士が飲み物の王冠を外すのに、それらのパーツを栓抜きがわりにしていたためと判明した。これは本銃に限らず、AK系統のライフルは、寸法的にマガジン開口部やマガジン挿入口が栓抜きとして使いやすい寸法になっており、イスラエル以外でもしばしば栓抜きとして使用されているのである。
そこで、基本モデルとして設計されたARMの脱着式キャリングハンドルの固定具にツメを設けることで、これを取り外し栓抜きとして使用できるよう設計が変更された。
この機能についての逸話は非常に有名であり、しばしばメディア上でも話題とされる。擬人化された銃火器がキャラクターとして登場するメディア作品『うぽって!!』では、本銃を擬人化したキャラクターが歯で栓を開けるシーンが存在する(当然ながら危険なので真似すべきことではない。なおこれを模倣し歯を損傷した視聴者がごく少数いるという)。
また、バイポッドの基部にはツメが付いており、ここにワイヤーを挟んでバイポッドを押す事でてこの原理でワイヤーカッターとして使用できるようになっている。
バリエーションとしては、簡易的な分隊支援火器としての使用も考慮した基本モデルのARM、キャリングハンドルとバイポッドを廃し、シンセテック・ポリマー樹脂製ハンドガードを装着したアサルトライフル型の「AR」、空挺部隊向けのカービンモデル「SAR」、特殊部隊向けにバレル長を短機関銃並の長さにした「MAR(マイクロガリル)」、使用弾薬をNATO規準の7.62mm×51に変更した「308」モデル、その308モデルを狙撃銃としてバレルやストックを改良した「スナイパーモデル(通称ガラッツ)」など豊富。
輸出品としても多数出荷されており、コロンビアやニカラグアなどの制式銃として採用されている。南アフリカ共和国ではARを「R4」、SARを「R5」、MARを「R6」の名前で制式採用し、同国のベクター社がライセンス生産を行っている。
2009年には近代化モデルの「ガリルACE」が登場した。ハンドガードやレシーバーカバーにピカティニーレールが備えられ、これまでの削り出しスチールボディに、グリップ周りと一体のポリマー製マガジンハウジングが追加された。ストックもFALタイプの折畳式からM4タイプのテレスコピックストックに変更されている。
口径バリエーションには、新たに、AK47系のマガジンが共用可能な7.62mm×39モデルが追加された。5.56mm×45モデルはACE21、22、23(それぞれ左からMAR、SAR、ARに相当)、7.62mm×39モデルはACE31、32(MAR、ARに相当。SARモデルは存在しない)、7.62mm×51モデルはACE52、53(ARM308、AR308に相当)となっている。
2021年5月にはIWI USAがガリルACEの第2世代モデル「ガリルACE GENII」を発表。M-LOKハンドガードの採用や銃身のフリーフロート化、光学照準器搭載を前提としたアイアンサイトの廃止、トリガー周りの操作系改良、M4タイプのストックへの完全対応といった更なる改善が施され、口径は7.62mm×39と5.56mm×45が用意されている。
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