フォアグリップ / Foregrip †
その名の通り、銃前部に取り付けられた柄のこと。主に機関銃や突撃銃、散弾銃などの長銃に取り付けられる。
昔からハンドガード部が過熱しやすい銃には標準装備されている物が多く、連射で過熱しても銃を保持し続けられる利点がある。
また、垂直に降りたフォアグリップは、従来のハンドガードと違い、手首をひねることなく握ることができる。ひねりつづけるための筋力を浪費しない分、長時間構えたまま保持するのが比較的ラクとなり、狙いを切り替える際のハンドリングも向上する。
このような利点から、RISのようなマウントレール付きハンドガードが普及している現在、着脱式のフォアグリップが欠かせないものとなりつつある(取り付けるアクセサリーの増加により、これらが邪魔でハンドガードが握れない場合がある、といった事情もある)。
発展型として、フォアグリップ内部にバイポッドを収納したグリップポッドや、タクティカルライトと一体もしくは搭載可能なグリップライトといったアクセサリーも存在する。
変則的なものとして、マガジンハウジングを握って構えるスタイルを補助するためのフィンガーグルーブを備えたマグウェルグリップ(スリーブ)や、ハンドガードを抑え込むように保持するスタイル*1を補助するアングルド・フォアグリップといったものも存在する。これらの製品は、アメリカの銃火器法ではオーソドックスな垂直式フォアグリップを備えた銃は「攻撃的武器」とみなされ、販売や所持には制限がかかるため、あえて垂直式フォアグリップとは異なる使用感を持つよう設計し、民間のユーザーが購入して公共の射撃場などでも扱えるよう*2配慮されたものである。従来の水平ハンドガードに突起を設け、水平保持しながら押すもしくは引くように構えて反動抑制を狙ったハンドストップという製品もある。
また紛争地域で見られるAKクローンでは、銃本体のグリップをもうひとつ別途用意し、フォアグリップとして取り付けた現地カスタムも見られる。マガジンをリリースする際に干渉するのを避けるため、前後逆にしているのが特徴で、元々ハンガリー産のAKM63に見られた設計であったが、ウクライナなどの旧共産圏で採用されていたAK74系クローンにも、後に同様のカスタムが施されているのが随所で確認されている。
同様にM16等でもハンドガードにフォアグリップを取り付けるカスタマイズが行われることがある。その場合、同様に銃本体のグリップが使われることが多い。M16ではA1タイプのようなフィンガーチャンネルのないものは前後逆に取り付けられることもある。
この他、機関拳銃や短小化された短機関銃など、フルオート発砲時の制御が難しい小型の小火器にも採用されている。
自動拳銃のなかには、ダストカバー部のアクセサリーレールに予備弾倉を垂直に装着して、フォアグリップの代用とするものある。
また、スーパーショーティやKSGのように、ソードオフやブルパップタイプのポンプアクションショットガンでは、ポンプアクションを行いやすい利点もある。
基本的にはフォアグリップは下面に垂直に取り付ける方式が一般的であるが、HK21など軽機関銃では弾薬ボックスのため銃身下に手を回すことが難しいため、横・斜め向きでフォアグリップを装備する場合もある。