レイル インターフェイス システム / Rail Interface System †
略して「RIS」。KAC(Knight's Armament Company/ナイツアーマメント社)こと"ナイツ"が、アメリカ軍のM4カービン用に開発した、オプション装備が可能なマウントレール一体型のハンドガードで、モジュラーウェポンシステムの一種である。
このモジュラーウェポンシステムを研究するアメリカ軍のプロジェクトの中で、ナイツはハンドガードにピカティニーレールを四面に配したRISを開発。ハンドガードと一体化させることで、スコープのみならずレーザーサイトやタクティカルライト、フォアグリップなど様々なアクセサリーを装着可能とした。
RISは、アルミ合金のブロックからCNCマシンによる精密切削によって製造され、軽量かつ高い剛性をもつ。従来のコルト製ハンドガードと交換するだけで装着が可能で、固定器具もハンドガード前方のエンドキャップと、銃身基部のリングをそのまま利用する。上下2ピース構造で、上部はキャップとリングに加え、ボルトとクロー状の部品でしっかりと固定される。下部は、スプリングのテンションで支えられたリングをレシーバー側に押し込むことで取り外すことができるため、M203やM26 MASSといった銃身固定式のアドオンを装着することが可能である。
ナイツのRIS登場後は、これに倣って、HK416などのレイルドハンドガードを予め採用したモデルが登場し、以降はさまざまなメーカーがこれらハンドガードタイプのモジュラーウェポンシステムを製造、販売し、軍用銃に欠かせないシステムとして普及した。
アメリカ軍に採用されたRISは、特殊部隊向けとして開発された「SOPMOD(Special Operations Peculiar MODification) M4」に導入され、優れた有効性を示した。しかし、装着方法に起因する脆弱性から破損などのトラブルが発生し、RISを強化改良したRAS(Rail Adaptor System)が、米軍の装備するM4用レールシステムの標準となった。M4が米陸軍の主力ライフルになって以降は、いずれも特殊部隊向けに留まらない基本装備となっている。
また、同社のRISやRASが、その設計上フリーフロートでなかったのとは対象的に、狙撃銃やDMR用として、RASをレシーバーの銃身基部にのみ固定する、フリーフロート仕様のFFRAS(Free Floating Rail Adapter System)が開発されている。FFRASでは、銃身を固定するナットごと交換し、基部のリングでRASと専用のバレルナットをスクリューによって締め上げる強固な設計となっている。FFRASは、米海兵隊や海軍SEALが装備する、SR25M及びMk.11 Mod.0、SPR Mk.12 Mod.1で採用されている。ただし、RIS/RASと異なり、1ピース構造のFFRASでは、銃身固定式のアドオンは装着できず、着脱のさいにはガスブロックを外すか、RASに干渉しないロープロファイルタイプのガスブロックに交換する必要がある。
ナイツは、さらにこのFFRASと旧RASの簡便さを兼ね備えたURX(Upper Reciever eXtending)も開発している。FFRAS同様のフリーフロート構造ながら、上下分割の可能な2ピース構造になっており、銃身へのアクセスが容易となって整備性が向上している。米陸軍採用のM110がこのURXを標準装備としている。
RISに始まるこれらレイルドハンドガードは銃の拡張性を大幅に高めたが、その一方でレールによって重く嵩張る、カバーなしでは保持しにくい、素手で直接保持するとレールで手を切ってしまうといった問題が注目されるようになった。
そこで、ナイツはURX3において下面と側面のレールをボルトで任意に着脱する設計とし、VLTOR社とマグプル社はそれぞれ「KeyMod」「M-LOK」といった、必要に応じてレール単体を着脱できるモジュラーレールのマウント規格を開発した。これらはハンドガードのスロットにレール側のナットを嚙合わせるもので、従来のボルトオンのレールよりも容易に素早く着脱することが可能である。最新版のURX4では、KeyModやM-LOKに対応している。
なお「RIS」や「RAS」はナイツの商標なので、他社ではこれらを「ハンドレイル」や「ピカティニーフォアエンド」などといった名で商品化している。