シグザウエル P226 / SIG Sauer P226 【自動拳銃】 †
スイスのシグ社が1980年に開発した自動拳銃。P210の後継機P220の好評を受け、それに更なる改良を施したモデルである。
元々はP220の派生型という位置づけであったものの、後にはP226系のみで多数の派生型を抱えることになり、P22xシリーズのフラッグシップモデルとなっている。
P220と外見的に大きな差異は見られないが、弾倉をダブルカラム化して装弾数を増加させるなど細部の修正が行われている。また長時間、水や泥の中に浸けた後でも確実に作動するほど堅牢であり、耐久性は非常に高い。スライドはオリジナルのP220同様、冷間鍛造プレス成型の外装に削り出しのブリーチブロックを組み合わせたものだったが、1996年以降は他のシリーズと共に、単一のステンレススチールからの削り出し加工で製造されている。
1980年代に行われた米軍のM1911に次ぐ制式拳銃の選定では、提示価格の差でベレッタ92Fに敗北する(マニュアルセイフティを備えていない事が原因だったとも言われている)。しかしトライアルそのものには合格し、その高い性能が評価されたため、後に士官用や特殊部隊用として導入されることとなる。またM9拳銃のスライド破断事故から米海軍特殊部隊SEALでも導入された。もっとも当時は少数導入に留まり、耐腐食仕様が施されたモデルがMk.25 mod.0として制式採用されるのは2010年代のこととなる*1。
他にはドイツのGSG9、英国のSAS、スペインのGEO(国家警察特殊作戦グループ)などの軍や警察の特殊部隊に広く使用されている。NYPD(ニューヨーク市警察)では警官が支給される拳銃を選択する際、それまでのベレッタ92FSやグロック17以外の選択肢として、このP226を提示するようにもなった。高い信頼性ゆえ、SWAT隊員や軍特殊部隊など装備に自由度がある立場の隊員には私費でこの銃を購入する者も居る。
日本のSATでも採用されているようで、警察庁がマスコミ向けに公開したSATの訓練シーンでは、MP5からこの銃に瞬時に持ち替えて発砲する隊員の姿を確認することが出来る。ただ予算の関係上、数は決して多くはないようで、地方のSATは採用していないようだ。
市場における販売価格は高めで、スタンダードモデルは1000ドル程度と、一般的な自動拳銃の上位モデルクラスの価格である。
2012年にラインナップの再編が行われ、2010年に発表されたP226 E2がP226シリーズの標準モデルとなっている。
2013年には.45ACP弾のダブルカラムモデルである「P227」が登場した。当初はフルサイズモデルと小型のキャリーモデルが存在したが、現在のカタログではキャリーモデルは廃盤となっている。
モデル | 解説 |
P226R(Rail) | P226のバレル下部に20mmのアクセサリーレールを追加したモデル |
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P226 Tactical | 銃口部にサプレッサーが取り付け可能なモデル |
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P226 Elite | 操作性を向上したアップグレードモデル。 ビーバーテイル、フロントセレーション、グリップ前面のテクスチャ強化、 アジャスタブルナイトサイト、ショートリセットトリガー(SRT)、木製(Elite)・合金(Elite Dark)・アルミ(Platinum)グリップパネルを使用 |
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P226 TacOps | Elite仕様に加えて大型マグウェルとニトロンコーティングスライドを使用。 サイトはフロントがファイバー、リアが固定のナイトサイト。 |
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P226 E2 | スリム化されたグリップとストロークの短いトリガーを装備したモデル。E2とはEnhanced Ergonomicsの略 現行のP226 |
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Mk.25 mod.0 | アメリカ海軍採用の耐腐食モデル。 |
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P226 MK25 P226Navy | Mk.25 mod.0の民間向けモデル。 機能や材質上の差異はないが、MK25はUIDラベルが貼付されておりより本格的なミリタリースタイルの製品となっている。 アクセサリーレールが独自規格からピカティニー規格に変更されている。 Navyモデルは現在では生産終了。 |
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P226 DAK | DAK(Double Action Kellerman)と呼ばれるDAOトリガーを搭載したモデル 通常のDAよりトリガープルが軽く(通常のP226のDAが10ポンドに対しDAKは6.5ポンド)、ショートリセット機能を持っている。ショートリセット時はトリガープルが8.5ポンドになり、偶発的な発砲を抑制する。 デコッキングレバーは廃止され、ハンマーもスパーレスとなっている |
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P226 SCT | トリチウムサイトとマガジンバンパーを装着したモデル。 SCTは「Super Capacity Tactical」の略 |
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P226 X-Five | 5インチ銃身の競技向けモデル。P226とのパーツ互換性はほとんど無い。トリガーアクションや材質から、複数のモデルが存在する |
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P227 | ダブルカラムで.45ACPを使用するモデル。通常モデルのNITRONと競技向けのRXがモデルアップされている。 |
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