シグ P210 / SIG P210 【自動拳銃】 †
1940年代、スイス軍は旧式化した軍用拳銃M06/29の後継として、国内のシグ社に自動拳銃の開発を依頼した。この要請を受けたシグ社は、スイス人シャルル・ペッターが設計したフランスSACM製の「M1935A」をベースに、試作ピストルを製作。トライアルを重ね、1947年に完成度の高い自動拳銃を作り上げた。翌年、その銃はスイス軍に採用され、さらに翌1949年「P49」の制式名があたえられた。「P210」とは、P49の民間モデルである。
P210はバレル、フレーム共にスイスの精密機械技術の高さを証明するに充分な工作精度を誇り、命中精度も当時の拳銃ではズバ抜けた性能を持っていた。このため本国スイスの他、ドイツ、デンマーク、スウェーデンでも軍用、あるいは警察用として採用されている。
しかし、工作精度の高さ故に生産には手間がかかり、それだけに非常に高価(約1500ドル)なピストルとなってしまったため、売り上げはいまいち伸び悩んだ。この反省もあって、シグ社は後に工程の効率化を図った新設計のピストル「P220」を開発する。
また、売り上げとは別にP210は高精度拳銃の教科書とされ、チェコのCZ75を始め、様々な国で新しい拳銃を作る上での参考にされた。
ちなみにP210(というよりその試作ピストル)のトライアル中には、装弾数16発のダブルカラムマガジンのSIG-PETTER 44/16がテストされたが、グリップが握りにくく、命中精度が保てないとの理由からキャンセルされた。ダブルカラム全盛の現在から見ると、興味深い逸話である。
誕生から70年ほどが経った現在でもシグザウエル社のカタログに載っており、小改良を加えながら生産が続けられている。
各種バリエーション †
モデル | 解説 |
P210-1 | 木製グリップパネル、固定サイト、ブルーフィニッシュ。 |
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P210-2 | プラスチック製グリップ、パーカーライズド・フィニッシュ。 |
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P210-3 | ローデッド・チェンバーインジケーターを追加したモデル。警察官用として製造されたが、希少なモデルとして知られている。 |
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P210-4 | 1950年代、西ドイツ国境警備隊用に納入されたモデル。ランヤードループが省かれている。希少品。 |
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P210-5 | 競技用モデル。木製グリップパネルを装備し、150mmバレルと180mmバレルがあり、トリガープルが軽くされている。 |
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P210-6 | 競技用モデル。120mmバレルを装備している。 |
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P210-7 | .22LR弾を使用するモデル。 |
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P210-8 | ヘビーフレーム、マガジンキャッチをグリップの左側面に移し、大型のセフティレバーを装備されている。 |
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P210-9 | 現行モデル。木製グリップパネル、ナイトロン・コーティング、改良されたマニュアル・セイフティ、内部にAFPBが装備されている。 |
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