安全装置 / Safety †
安全装置(セイフティ、セーフティ)とは、銃を誤って発砲することを防ぐ為の仕組みの事である。
下記のように様々な方式がある。
・マニュアルセイフティ
手動でオンオフを切り替える、スイッチ式の安全装置。自動的に作動する安全装置と区別するための語としても使われる。
通常、ハンマーやストライカーがコッキングされているときに機能するようになっており、トリガー機構をロックして暴発を防止する。デコッキングレバーを兼用するものや、セミオートとフルオートを切り替えるセレクターを兼用するものもある。親指(サム)で操作するタイプは特に「サムセイフティ」と呼ばれる。左右いずれからか押し込む操作でオンオフの切り替えを行う、クロスボルト式ボタンのタイプもある。
銃の左右にレバーないしボタンを備え、右利き左利きを問わず操作可能なのものはアンビセイフティと呼ばれる。
・キーロックセイフティ
専用のキーを用いて解錠/施錠を行う、錠前式のマニュアルセイフティ。専用キーを別途保管、或いは所有者が身につけておくことで、保管した銃を第三者が持ち出して使用することを防止する。
家族(特に子供)が持ち出して暴発させ、死傷する事故が少なくないことから考案された。
・トリガーセイフティ
トリガーに細工を行い、正しく指をかけた時以外の加重ではトリガーが動かないようロックするもの。
トリガーの中央に仕込まれたレバーを押し込みながらでないとトリガーが引けないグロック 17が代表格。S&W M&Pのように、一見グロックと異なるように見えて実はほぼ同一、といった設計のものがほとんど。
・グリップセイフティ
グリップにプッシュボタンや稼動するストラップなどを設け、グリップを握ってこれらが押されない限り、トリガー機構をロックするもの。
M1911での採用が有名。
・マガジンセイフティ
マガジンを抜いた状態では撃発が行われないよう、トリガー機構をロック、もしくは部品同士のリンクを解除する機構。
代表的な銃としてはFN ハイパワーが挙げられる。
・ファイアリングピン・ブロック (AFPB。自動撃針前進防止装置)
→項目参照
・ハーフコック
後述のハンマーブロックを持たない拳銃の場合、薬室に弾が装填されながらハンマーがレストされていると、ファイアリングピンまたは雷管にハンマーが接触しているため、落下などによりハンマーに強い衝撃が加わった際に暴発を起こしてしまう。そこでハンマーを少しだけ起こした位置に留めることで、ハンマーがピンもしくは雷管に触れずにおくようにするのがハーフコック機能である。
また、コッキングされたハンマーが、落下などの衝撃でトリガー操作なしに落ちた場合に、ピンまたは雷管に接触するまえにストップさせる機能でもある。ほとんどのハンマー撃発式の拳銃はこのハーフコック機能を備えている。
しかし、ハンマーに衝撃が加わるという状況では、ハンマーをハーフコックに止める引っ掛かりが滑るか破損するリスクも高いため、暴発防止をハーフコックにのみ頼るのは危険である。
・ハンマーブロック
ハンマーとファイアリングピンとの間を物理的にブロックするもの。リボルバーで使用される。トリガーを引く操作に連動してブロックが降りるようになっている。
・トランスファーバー、セイフティコネクター
リボルバーで使用される安全機構で、ハンマーブロックとは対照的に、ハンマーが直接ファイアリングピンを叩かないよう間に空間を設けて、トリガーが操作されない限り、両者が絶対に接触しない構造。トリガーを引いたときにだけ、連動したバーがハンマーとファイアリングピンの間に入り、ハンマーの打撃力をピンに伝える。1997年ごろから製造されたS&W製リボルバーはこの発火方式に移行している*1。