タクティカルライト / Tactical light †
主に軍・法執行機関向けに作られたフラッシュライト(懐中電灯)の一種。
手に持って使うものも含まれるが、タクティカルライトという場合は主に銃に装着するものを指す。これはウェポンライトとも呼ばれる。
夜間にはほぼ必須のアクセサリーであるためその起源は古く、現代的な洗練されたマウントレールの登場以前もハンドガードの穴に埋め込んだり、テープで止めるなどの方法で運用されてきた。
近年は超小型タイプのものも多いため、フォアグリップと一体となったものや、小型のものが埋め込まれてほとんど非内蔵のグリップ単体と変わらないものも存在する。
性能的には長距離を照らすためや、近距離の敵を怯ませるために目潰しとして使えるよう、一般的なフラッシュライトに比べ強力な光量のモードを有するものが多い。
用途に応じたカラーフィルターも使用可能となっており、赤色や青色、緑色などが用いられる。これらのフィルターは光量やコントラストを下げることで長時間使用する際の目の負担を軽減したり、地図など近距離のものを見る際に利用したり、合図や特定の物体の発見(例えば、青色光は血に反射しやすい)に用いられる。
ナイトビジョンサイトと組み合わせるための赤外線波長のみを通すIRフィルターなども存在する。*1
フィクションでは、映画『ブレイド2』で対吸血鬼用に紫外線フィルターを装着したウェポンライトなどが登場している。
これらのフィルターは通常の光での照射が可能なよう、フリップアップカバータイプのものとなっているものが多い。
また素早く確実な操作が可能なよう、通常のフラッシュライトよりも高速かつ安全なON/OFF機能も用意されている。
多くのタクティカルライトでは、スイッチを押している間のみ点灯する機能が備えられており、素早い切り替えが可能になっている。
ウェポンライトではリモートスイッチも用意されており、線で繋がったテープスイッチやレールマウントスイッチをライトから離れた位置に固定する事で構えを変えることなく操作しやすくしたり、不用意な点灯を防ぐ事ができる。一部のモデルではスイッチ部を交換することでリモートスイッチ化が可能で、拳銃用のウェポンライトや手持ちのタクティカルライトをロングガンへとマウントした際に操作しやすくできる。
意図しない点灯をしないよう確実に消灯するためのキルスイッチや、手動で素早く開閉可能なカバーなどもある。
他の電気製品同様、タクティカルライトも科学技術の進歩によって大きく性能を向上している。
かつては高輝度だが電力消費の激しいキセノンランプや、出力は大きいが環境負荷の大きいニッケル・カドミウム蓄電池などが使われていたが、近年では高性能な乾電池やLEDの普及によってより軽量で安定した性能を発揮できるモデルが登場している。
例えばシュアファイア社の同じ本数の電池を用いるリチウム電池モデルで比較すると、旧式のキセノンランプ・タクティカルライトは最大65ルーメンで点灯時間は60分程度、重量が140g程度であるが、同クラスのLEDタクティカルライトでは最大320ルーメンで2.5時間点灯可能である。
さらには多機能化された、レーザーサイトと組み合わされたコンボデバイスや、白色の可視光線と赤外線の切替機能を持たせたモデルも登場している。
また、手持ち用のタクティカルライトには鈍器としても使用可能なよう、強化された打突用スパイクが設けられたベゼルを持つモデルも存在する。こうした用途に製造されたものは「ストライクベゼル」とも呼ばれ、サードパーティ製モデルを別途購入して装着することも可能である。
メディア作品では銃とセットで構えることで刀の二刀流を彷彿とさせるような独特のスタイルを持つものも見受けられるが、実際に前述のストライクベゼルなどと併せた格闘技術を指導するインストラクターも存在しており、こうした技法は比較的現実的なものも多い。
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