拳銃 / Hand gun †
概要 †
片手で使用可能な、携帯を目的とした小型銃器の総称。
日本では「拳」の文字が常用漢字にない為、報道などでは「短銃」や「けん銃」とも呼ばれる。江戸時代には「短筒」と呼ばれていた。
中国語では「手鎗」と呼ばれる。
サイズの関係上、通常の拳銃弾は小銃弾に比べて小型で、威力も低い。
その分他の火器と比べて小さく安価なため、民間市場でも多く流通させられることから、各銃器メーカーが最も力を入れる分野となっている。実戦を想定しないエングレーブなど凝った装飾の記念品、贈答用品が作られることもある。
接近戦では長いライフルよりも扱いやすいため、軍の特殊部隊や法執行機関ではCQBの主力武器として使われることもある。またその性質上スパイの護身用武器として好まれた。一方、そうした室内戦闘の機会が少ない一般部隊においては拳銃の使用機会自体が少ないため、指揮官クラスのみにしか支給されないことも多い。
民間に目を向けると、護身(ホームディフェンス)用やスポーツ競技用(レースガン)、観賞用など、様々な需要がある。18世紀末から19世紀のヨーロッパではそれまでの剣に代わる決闘用の武器としても好まれた。
サイズの小ささから遊戯銃の題材としても大変人気がある。
歴史 †
起源は15世紀ごろに騎兵用の銃として登場した、先込め式(マッチロック式)銃を片手でも扱えるように短くした物に始まる。
薬莢の発明、中折れ式を経て、回転式拳銃(リボルバー/Revolver)、自動拳銃の順で登場した。
先込め式の頃にはグリップの先に「バットボール」と呼ばれる丸い部品をつけた物もあったが、なぜ付けられていたのかには諸説ある。
(「弾切れ後の格闘用の鈍器」「何かに引っかかることを防ぐ」など)。
昔の回転式拳銃は、弾丸、火薬、雷管を個別に装填するパーカッション(管打)式が主流であった。この方式を採用した回転式拳銃はパーカッション・リボルバーと呼ばれ、コルト M1851などが有名である。
1850年代にS&W社によって金属製薬莢を使用する回転式拳銃モデル1が開発されてからは、コルト SAAやS&W M29に見られるような現在の形になった。
現在は回転式拳銃と自動拳銃が一般的である。
一般的に、作動の信頼性が高い回転式拳銃は法執行機関や民間で広く流通し、総弾数と再装填速度に優れる自動拳銃は軍や法執行機関の特殊部隊で使用されることが多いと言われてきた。
しかし時代が進むにつれて技術の発達も進み、自動拳銃の信頼性も高い物となり、安価な製品も増えてきたこともあって、官民問わず幅広く使用されるようになっている。
近年はベレッタ M92、シグザウエル P226、グロック 17のような、ダブルカラムによる多弾倉で9mmパラベラム弾を使用する中型自動拳銃が主流であるが、米国ではストッピングパワーに対する考えから.45ACP弾や.40S&W弾といった大口径弾も人気があり、これらの口径にも対応したモデルも多い。
また、一部の法執行機関などでは任務の特殊性から、短機関銃のような速射性能を付与した機関拳銃といったものも採用されている。
メディア上での扱い †
映画やドラマ、ゲーム作品などでも多くのシーンに登場し、様々な役割を演じていることは最早説明は不要であろう。隠し持つのが容易な事から、暗殺者や『007』などスパイの武器としての登場も多い。
演出として映画『ダーティハリー』のマグナム弾のように自動車のエンジンを破壊するなど、過剰な威力で描写されることも多いが、現実の拳銃実包は強力なものでもそれほどの威力があることはない。*1
一方、自動車のドアなどは一般的な9mmパラベラム弾でもたやすく貫通するため、映画でよく見られるような車のドアを遮蔽物として使用する事は一般車では難しい。