ヒート / Heat †
1995年、アメリカ映画
監督:マイケル・マン
・作品解説
アメリカ、ロサンゼルスを舞台に、プロの強盗であるニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)とLAPDの凄腕刑事ヴィンセント・ハナ(アル・パチーノ)との戦いを描いたアクション映画。
マン監督が過去に監督したTV映画「メイド・イン・LA」のリメイク的作品である。
「事に及べば30秒以内に全てを捨てて逃げる」という犯罪のプロの意地を持ちながら、自分の仲間を傷付けた敵対者や裏切り者は決して逃さず血祭りに上げていくアウトロー・ニールや、仕事一筋で家庭生活に大きな問題を抱えるハナ刑事を始めとする「腕は立つが人間としては欠けたところがある」人々を描く骨太の人間ドラマである。
ハナ刑事が自分が追い掛けている容疑者であると承知の上でニールを喫茶店に誘い、互いの境遇に通じるものを感じつつも「決して逃しはしない」旨を告げるシーンはアル・パチーノの演技力が光っている。
上映時間全体からすればガンアクションの占める時間は少な目ながら、いずれのシーンも優れた演出で魅せてくれる。特にロスの市街地をまるまる封鎖して撮影された、銀行前のストリートを舞台に繰り広げられる十分間の大銃撃戦は、最大のハイライトシーンであると同時に映画史に残る一大シークエンスでもある。
実銃と空砲とビル街が生む銃声や、専門のトレーニングを受けた出演者達によるアクションは、後世の作品にも影響を与えている。アクション映画では無視されがちな「残弾管理」も、事前に強盗たちが大量のマガジンを持っていることを描写しつつ、適度にリロードシーンを映すことでできる限り違和感を無くしている。クリス役、ヴァル・キルマーの鮮やかなリロード手順は必見。
ちなみに警察組と強盗組は、違った「癖」を演出するため、それぞれ別の指導者からトレーニングを受けている。使用する銃器も、警察は拳銃、散弾銃、セミオートの突撃銃に対し、強盗たちは突撃銃のフルオート射撃を多用することで差別化が図られている。
ヒート (原題:Heat) †
メイド・イン・LA (原題:L.A. Takedown) †
1989年、アメリカTV映画
監督:マイケル・マン
・作品解説
『ヒート』のオリジナルにあたるTV映画。
物語の結末や一部の登場人物の名前の違いはあるものの、ストーリー展開などは殆ど『ヒート』と同じである。