エアフォース・ワン / Air Force One
1997年、アメリカ映画
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
・ストーリー
最新のテクノロジーと最高権力の象徴である大統領専用機「エアフォース・ワン(VC-25)」。アメリカ合衆国大統領ジェームズ・マーシャル(ハリソン・フォード)を乗せた、その“空の要塞”が、ロシアからの帰途、コルシュノフ(ゲイリー・オールドマン)率いるテログループに乗っとられてしまう。
大統領本人を除く全員を人質にしたコルシュノフの要求は、同志であり、米露共同作戦で逮捕されたカザフ軍閥の長、ラデク将軍(ユルゲン・プロフノウ)の釈放。人質となった家族にテロリストの凶刃が迫る。家族への愛か、国家への正義か...。
大統領の結論は、単身でのテロリストへの反撃だった―――
・作品解説
ハリソン・フォード主演のアクション映画。基本的には『ダイ・ハード』型の「孤立無援+立て籠もり型アクション」だが、世界で最も安全なはずの旅客機が占拠され、(間接的にだが)アメリカの現職大統領が人質に取られるという設定は度肝を抜く。「立て籠もり」の舞台が、一歩間違えれば人質ごと墜落しかねない、不安定な航空機という『タイト・ロープ(綱渡り)』的要素も加わって、観る者を落ち着かせない。
冒頭の大統領の演説にも現れているように、アメリカ合衆国は決してテロに屈しないというメッセージも込められている(しかし一方で、悪役の口を借りて「不倫を誤魔化すために他国を空爆した」と、チクリと皮肉る場面も)。
機内でのノンストップの攻防戦や駆け引きのみならず、機外でのF-15とMiG-29のドッグファイトなど見せ場は多い。
主役のH・フォードはもちろんのこと、悪役も『レオン』のゲイリー・オールドマン、『リプレイスメント・キラー』のユルゲン・プロフノウなど、アクの強い面子が勢揃い。余談だが、プロフノウと監督のウォルフガング・ペーターゼンは、互いの出世作『Uボート』以来の顔合わせである。
・「エアフォース・ワン」について
本作での「エアフォース・ワン」とは勿論、米合衆国大統領専用機として有名なVC-25(ボーイング747型の改造機)を指すが、本来の「エアフォース・ワン」はVC-25固有の名称ではなく、「大統領が搭乗する機のコールサイン」である。実際はアメリカ空軍所属機ならばどのような航空機でも、大統領が乗機していれば、その機のコールサインは「エアフォース・ワン」となる。
本作のラストでも、別の機体のコールサインが「エアフォース・ワン」に変化するところに注目。
このような定義は空軍以外の所属機にも適用され、例えば陸軍所属機ならば「アーミー・ワン」、海兵隊機なら「マリーン・ワン」といった具合になる。
ちなみに、副大統領乗機の場合は、コールサイン「エアフォース・ツー」「アーミー・ツー」などとなる。