FN ミニミ (M249) / FN Minimi (M249) 【軽機関銃(分隊支援火器)】 †
モデル | 全長(銃床縮小時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
スタンダード | 1040mm | 7.0kg | 5.56mm×45 | 30/ベルトリンク | 750〜1000発/分 | F | ベルギー |
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パラトルーパー | 914(766)mm |
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ミニミ 7.62mm(固定ストック/テレスコピックストック) | 1015mm/1000(865)mm | 8.17/8.4kg | 7.62mm×51 | ベルトリンク | 730発/分 |
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FN社が1970年代に開発した軽機関銃。ミニミとは、ミニ・ミトライユーズ(mini-mitrailleuse:《仏》小型機関銃)の略である。
当時の他の軽機関銃と比べて非常に軽量であり、また分隊支援火器向けの機能として、弾薬ベルト以外に他の分隊員のAR15(FNC)用マガジンも使用可能な様に設計されている。
FN社は自社のMAG機関銃のユーザーからのフィードバックを受け、より軽量な機関銃の設計を新規に開始していた。FN社では、同時に次期NATO制式弾薬となるSS109 5.56mm×45弾の設計を開始しており、これを用いて最大の性能を発揮するような軽量機関銃としての設計が進められて行った。
一方、ベトナム戦争中に7.62mm×51弾から5.56mm×45弾に標準弾薬を変更したアメリカ軍は、1974年から従来のM60に代わる新しい分隊支援火器の採用計画を開始した。
FN社のミニミ機関銃のプロトタイプは「XM249」としてトライアルに参加。陸軍の要求を受けてボックスマガジン給弾機能の追加を含む全体の改修を行い、当時有力とみられていた多くの候補を上回る成績でこれらに勝利。1984年からアメリカ軍の制式分隊支援火器として配備が開始され、イギリスなど他のNATO加盟国も徐々にこれに追随した。
2003年には米軍SOCOMの要求により開発された7.62mm×51仕様のモデルが「Mk.48 mod.0」として採用されたが、これが高い評価を得たためFN社でも「ミニミ 7.62」として販売を開始した。このモデルではミニミのようなボックスマガジン給弾機能は備えられていない。
2013年にはアップグレードモデル「Mk3」がアナウンスされた。これはモジュラー性を備えたもので、リコイル軽減ストックを含む全体の改修以外にパーツ交換によって口径の変換が可能となっており、従来モデルからもパーツ交換でアップグレードが可能とされている。
日本の陸上自衛隊も、主力火器を7.62mm×51弾を使う64式小銃から5.56mm×45弾を使用する89式小銃への武装更新に伴い、それまで制式軽機関銃だった62式機関銃に代わってミニミを採用している。上掲の画像も自衛隊仕様だが、実際にはアメリカ軍のM249と同様のヒートカバーが追加されている。生産は住友重機によるライセンス生産で、一挺あたりの価格は240万円と非常に高額である。
しかし日本でライセンス生産されたミニミは、部品の精度が低い物が多いという噂も存在した。残念ながらこれは事実であったようで、2013年には住友重機による納入時の不正が発覚。12.7mm重機関銃、74式車載機関銃と共に、納入された製品の中には基準値を満たさないものが存在している事が明らかとなった。
国内各地の陸上自衛隊基地・駐屯地で行われる記念行事などでは展示に出されることが多く、89式小銃とともに民間人が日本国内で実際に触れることのできる数少ない銃器であった。
第二次世界大戦のイメージから、こうした機関銃はメディア上でも制圧射撃が本分と考えられがちであるが、現代では多くのNATO加盟国の他、日本含むそれらの同盟国、友好国で運用されているミニミ機関銃は、その多くがダットサイトやスコープなどの光学サイトやレーザーサイトを備えており、ある程度の精密射撃も可能となっている。
しかし機構上(オープンボルト、振動の多いベルト給弾)精度の限界もあり、アメリカ海兵隊ではこれを補助するために2010年からM27 IARによる部分的な代替が行われている。
なお、マガジン給弾機構はベルト給弾機構と独立しているため、マガジン給弾時はフィードカバーが開放された状態でもそのまま連射可能である。
2021年5月6日にFN社は新型機関銃の「EVOLYS」を発表。口径は5.56mm×45と7.62mm×51の両方に対応し、重量は5.5kgからと大幅に軽量化され、ストックを同社のSCARから流用して人間工学面でも進化している。セミ/フルの切り替えも可能。最大の特徴はフィードカバーの開閉方向が左側面になっている点である。従来のベルト給弾機関銃は上面にフィードカバーを設けているため光学照準器類ないしはマウントレールをガタつきが生じやすいフィードカバー上に置かざるを得なかった。EVOLYSはフィードカバーが側面になることで、トップレールがレシーバーに固定された完全フラットトップレシーバーとなった。
各種バリエーション †
モデル | 解説 |
M249Para | 空挺(パラトルーパー)用。短いバレルと収納式銃床が特徴。 |
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M249E4 | M249SPW*1とも呼ばれる。 Paraモデルよりやや長い銃身で、レール付きハンドガードが装着されている。 軽量化のため、M16用マガジンポートやバイポッドは省略されている。 |
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Mk.46 Mod.0 | SPWの発展型でアメリカ特殊作戦軍(U.S.SOCOM)の採用モデル。 レール付きのヒートシールドやフォアエンドを装備 大幅な軽量化のため、車載用の固定ラグやキャリングハンドルも省かれ、 フルーテッドバレルを始め、部品単位で各所に肉抜きが施された。 |
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Mk.46 Mod.1 | Mk.46 Mod0の発展型で、チタン製の軽量バイポッドやマウントレールの追加がなされた。 |
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Mk.48 Mod.0 | アメリカ特殊作戦軍のMk.43 Mod.0を代替する目的で開発された7.62mm×51弾を使用するモデル。 |
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FN C9/C9A1 | カナダ軍に供給されているモデル。フロントサイトの形状が異なる。 改良型のC9A1では標準でELCAN社製スコープを搭載している。 |
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住友重機械 5.56mm機関銃MINIMI | 日本の住友重機械工業が自衛隊向けにライセンス生産しているもの。 1993年度防衛予算から調達が開始され、3自衛隊全てに配備されている。 62式機関銃の三脚が使用できることと、ロワーレシーバーの刻印「5.56mm機関銃MINIMI」が特徴。 |
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大宇 K3 | 項目参照 |
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外部リンク †
・FN Minimi / M249 / Mk.46 model 0 / SPW ムービー