H&K M27 IAR 【自動小銃(分隊支援火器)】 †
アメリカ海兵隊がM249を補完する分隊支援火器として2010年に採用した自動小銃。 仕様としてはH&K社HK416の16.5インチバレルモデルをベースに、米軍仕様のバヨネットラグ*1を備え、KAC社製のフリップアップ式アイアンサイトや、バックアップミニリフレックスサイト付き3.5倍率ACOG、フォアグリップやバイポッド(ないしグリップポッド)を装着したものである。トリガーシステムはA4以降に搭載された2ステージトリガーではなくシングルステージトリガーが使われている。 IAR計画は2005年に始まり、2006年から、FN(SCARの分隊支援火器モデル)、H&K(HK416のバリアント)、コルトディフェンス、LWRC(M6A4)、ゼネラルダイナミクス(ウルティマックス100 MK.5)、パトリオットオードナンスの6社がトライアルに参加し、その結果FN、H&K、コルトディフェンスの3社に候補が絞られた。 M27 IARは、海兵隊における機関銃手(Automatic Rifleman)の大幅な機動力向上を意図した分隊支援火器であるため、M249に比べずっと軽量であり、精密射撃*3も可能となった。またAR15系ライフルであることから、既存のM4/M16に習熟した兵士であれば多くの追加訓練を必要とせず運用を習得可能であり、歩兵用ライフルと同様の外観であるため敵から優先的に狙われ難いといった利点がある。反面、機関銃クラスの制圧射撃能力を犠牲としたため、ベルトリンク給弾や銃身の即時交換などの機能は盛り込まれなかった。 アメリカ海兵隊では当初から高い精度のためDMRとしての運用を検討しており、2017年には別途高倍率スコープとサプレッサーを装着した「M38 SDMR(Squad Designated Marksman Rifle)」として配備が開始された。 2017年にはM4より高い命中精度・射程・制圧力を持ちながらM16A4より取り回しが良いことから、海兵隊は本銃を増勢、ないしは全面配備を考えていると報じられた。当初は1挺あたり$3000を超える単価から疑問視されていたが、フランス軍のHK416F制式採用など、416シリーズの世界的需要の増加により単価が低下しているため、近年ではより現実的なものとなって来ている。
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