フォールアウト / Fallout †
核戦争後の荒廃した世界を描くロールプレイングゲームシリーズ。Falloutとは英語で「放射性落下物」を指す。
大本は1997に発売された、Interplay Entertainmentによる開発の『Fallout: A Post Nuclear Role Playing Game』。1998年には『2』も発売され、日本国内での知名度は低いものの、核戦争で廃退した世界における人間社会の説得力ある描写や自由度の高いゲームプレイなどが海外で高く評価された。
その後Interplayは倒産したが、開発途中の『3』をBethesda Game Studioが引き継いで完成。2008年に無事発売された。家庭機用としてはシリーズ初のフル3Dとなったが、ターン制バトルだった『1』、『2』と違いリアルタイムFPSを採用した*1ため、RPGスタイルを好む旧来のファンの間では賛否両論の内容となった。*2
とはいえ商業的には大ヒットし、DLCや続編である『New Vegas』の発売にいたっている。
以下、本ページでは『3』および『New Vegas』、『4』について解説する。
シリーズの特徴としては非常に自由度の高いゲームプレイが第一に挙がる。プレイヤーはストーリーや倫理に縛られること無く自由に広大なマップを探索することが可能。またアイテム類は死体や(核戦争前の)人家・地下鉄駅などを漁らないとなかなか手に入らず、サバイバル面が強調されている。さらに能力値・スキルは当然のこと、人種や顔の整形まで選択可能なキャラカスタマイズの広さで、プレイヤーの思うままにウェイストランドの住人として生活できる。
戦闘面ではスタイルも多彩で、現代的な銃があればSF的な光線銃もあり、近接武器も豊富に用意されている。また家庭機用の調整として、FPSでありながら「V.A.T.S.」*3により時間を止めて、任意の敵の部位を狙撃する機能もあり、FPSが苦手なプレイヤーでも半ばRPGのように遊ぶことが可能。任意で、一人称視点(FPS)と三人称視点(TPS)を切り替えることもできる。
世界観は1950~60年代の文化をモチーフにしたレトロフューチャーな世界である。このため、現代から見たらかなりオーバーテクノロジーな武器(エネルギー兵器など)が登場する一方、実弾を用いる武器は50~60年代かそれ以前の旧式な銃がモデルになっている。
Fallout 3 †
プラットフォーム:Windows PC/Xbox360/PS3
開発元:Bethesda Game Studio
・ストーリー
21世紀に起こった核戦争は地球全体を焦土へと変えた。
到底生存できない高熱と放射能に覆われた地表から逃れるため、人々は『Vault』と呼ばれる地下シェルターへ避難し、そこで生活することを余儀なくされる。
2277年、核戦争から200年が経過してもVaultへ逃れた人々は地上を嫌い、地下での営みを続け、その中で生涯を終えていた。
主人公がVaultで迎えた19歳の誕生日、突然父親が地上へと姿を消してしまう。
湧き上がる疑問。どうして父親は自分に何も言わず飛び出してしまったのか、いったい地上で何をしようとしているのか。その疑問は父親を追う決心へと変わる。
Vault監督官や警備を振り切り、主人公は地上へと続く唯一のドアを開放した。
・作品解説
日本でのFalloutの知名度を上げる切欠になる作品。同じくBethesda開発の『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』のゲームエンジンを流用し、核兵器によって退廃したワシントンD.C.の跡地、通称”キャピタル・ウェイストランド”を完全3Dで表現している。
日本語版は規制が激しく*4、不発核爆弾を起爆させるイベントなどが削除されている。また翻訳も会話関係はおおむね良好だが、「Commander Jabsco(ジャブスコ指揮官)」が「至高のオーバーロード・ジャブスコ」に変化するなど、人名・地名では珍妙な訳が目立つ。
武器・防具には「CND(コンディション)値」が設定されており、同じ武器でもコンディションが良い銃は性能が高くなり、使いこんでコンディションが悪くなるとと集弾率が下がったり、ジャムが起きたり、最悪使用不能になる。コンディションの回復には、修理屋に金を払って直してもらうか同じ武器同士で「ニコイチ修理」する必要がある。本作のサバイバル感を演出する重要な要素であるが、一方でレア武器の修理が困難で手軽に使えないという声もあった。
弾薬の設定がゲームバランスを考慮してかややいい加減である(.32口径弾が拳銃弾とライフル弾の役割を兼ねるなど)。以下、英語版と日本語版で名称が著しく異なる武器について、「ゲーム内名称」内に両者を併記する。カッコ内が英語版。
使用弾 | 分類 | ゲーム内名称 | 銃器名 | 備考 |
BB | 小銃 | BBガン | レッド・レイダー | デイジー社のライフル。ゲーム中ではレバーアクション式エアガンとして登場 オープニング、父親からプレゼントされる |
10mm | 拳銃 | 10mmピストル | N99 | デザートイーグルが基の架空銃。敵味方問わず多数のキャラが使用 レーザー照準器装着(機能はしていない) |
消音器付き10mmピストル | サプレッサー装着 |
オータム大佐の10mmピストル | ユニーク武器。オータム大佐が所持 |
中国軍ピストル | 十七式拳銃 | フルオート。おもにレイダーが所持 |
ズー・ロンv418中国軍ピストル (Zhu-Rong v418 Chinese Pistol) | ユニーク武器。焼夷弾を撃てる |
短機関銃 | 10mmサブマシンガン | H&K MP9 | MP5Kが基の架空銃 |
シドニーのウルトラ10mmSMG | ユニーク武器。シドニーが所持 |
小銃 | レバーアクションライフル | ヘンリー M1860 | DLC:Point Lookoutにて追加 |
バックウォーターライフル | ユニーク武器 |
.32 | 拳銃 | .32口径ピストル | アイヴァージョンソン.32 | アイヴァージョンソン社製5連発リボルバー |
ワイルド・ビルの携行武器 (Wild Bill's sidearm) | ユニーク武器。DLC:The Pittにてワイルド・ビルの死体から拝借 |
小銃 | ハンティングライフル | レミントン M700 | 威力も薬莢もライフルだが、何故かピストルと共通の.32を使用する |
オルペインレス (Ol' Painless) | ユニーク武器、コッキングが早い。デイブ共和国の金庫から盗む |
.44 | 拳銃 | スコープ付.44マグナム | S&W M29 | 低倍率スコープ装着 |
ブラックホーク | ユニーク武器。アガサから貰う |
キャラハンのマグナム | ユニーク武器。DLC:Broken Steelにて追加 |
ポールソンのリボルバー | ユニーク武器。DLC:Mothership Zetaにてポールソンが装備 スコープ非搭載。散弾仕様 |
小銃 | リンカーン・リピーター | ヘンリー M1860 | ユニーク武器 ゴールドフレーム |
5.56mm | 突撃銃 | アサルトライフル | H&K R91 | HK G3とHK33が基になった架空銃。 木製ハンドガード、ストック |
インフィルトレイター | DLC:The Pittにおけるユニーク武器 スコープ、サプレッサー装着、ストックレス |
パフォレーター | ユニーク武器。DLC:The Pittにて、インゴット収集の報酬 スコープ、サプレッサー装着、ストックレス |
中国軍アサルトライフル | 中国製突撃銃 | AK47が基の架空銃 ハンドガードがRPD型 |
クサンロング・アサルトライフル (Xuanlong Assault Rifle) | ユニーク武器。装弾数が多い 読みは「シュエンロン」の間違い?*5 |
.308 | 小銃 | スナイパーライフル | DKS-501 | イジェマッシュ SV-98が基の架空銃。 装弾数5発、セミオート |
ヴィクトリーライフル | ユニーク武器。クリティカルヒットで敵を昏倒させられる |
バックガードライフル (Reservist's rifle) | ユニーク武器。連射力が高い。装弾数3発 |
12ga | 散弾銃 | ソードオフ・ショットガン | 水平二連散弾銃 | 架空モデルの水平二連。おもにレイダーが所持 ソードオフ、ピストルグリップ |
ザ・ニーキャッパー | ユニーク武器。ロナルドが装備。集弾性が少し高い ソードオフ |
ダブルバレルショットガン | ユニーク武器。フルサイズの水平二連。二発同時発射。DLC:Point Lookoutにて入手 |
コンバット・ショットガン | セミオートショットガン | PPSh41が基の架空ショットガン |
ザ・テリブルショットガン | ユニーク武器。スマイリング・ジャックが装備。威力はあるが弾が散りやすい |
− | 拳銃 | − | スタームルガー GP100 | スキル本『銃と弾丸』の表紙に掲載 |
Fallout: New Vegas †
プラットフォーム:Windows PC/Xbox360/PS3
開発元:Bethesda Game Studio
・ストーリー
2281年。かつてネバダ州と呼ばれ、今ではモハビ・ウェイストランドと呼ばれる場所。中央部の街グッドスプリングスで主人公は目覚める。
聞くところによると何者かに銃で頭を撃たれたが、セキュリトロンと呼ばれるロボットのヴィクターに助けられ一命を取り留めたのだという。
主人公を介抱した医者の話によって、数日前の夜にとある運びの仕事で品物を依頼人に届ける最中、小洒落たスーツの男に拘束され撃たれたことを知る。
その日より、依頼の品を強奪した男への復讐と、運んでいた者が「どのような品」であったかを確かめる放浪の旅が始まった。
・作品解説
「3」のシステムを流用して作られたスピンオフ作品。製作には3以前の作品に関わったスタッフが多く所属するオブシディアン・エンターテインメントが関わっており、旧作との繋がりが強く、作風も近くなっている。
武器の種類は前作の倍以上になり、アタッチメントを装備できたり、弾薬の設定も前作のような「ゲームバランス優先」から「リアル志向」になっている。
アメリカ西部のモハビ砂漠が舞台ということで西部劇を意識した武器(リボルバーやリピーターなど)が多い。また、統率のとれた軍隊も出てくるため、ベトナム戦争時代の銃器や現代のものをベースにした軍用銃も多数登場する。
防御力システムは前作のDR制から今作で復活したDT制がメインとなっており、DT制に合わせた特殊弾薬も登場する。DRは数値分%のダメージ軽減だが、DTは数値分だけダメージを減らす*6。このため、高いDTに対し、低ダメージ武器で攻撃した場合ほとんどダメージは通らなくなる。これに対抗するのがAP弾で、ある程度DTを無視することが出来る。ただし基礎ダメージが減ってしまう欠点があり、DTが無い敵に対しては逆にダメージを減らしてしまう。AP弾の対となるのがホローポイント弾であり、基礎ダメージを割合で増やす一方DTを倍増させる欠点がある。DTの高い敵にはAP弾、DTの低い敵にはホローポイント弾と上手く使い分けることで戦闘を有利に進められる。特殊弾薬には他にもダメージ・DT無視両方があるが銃への負担が大きい+P弾、精度とダメージの大きいマッチロード弾など様々に存在している。また各地にはリロードベンチがあり、回収した薬莢に発射薬とプライマー、弾頭を詰めることで再利用およびハンドロード弾の作成が可能である。
Fallout 4 †
プラットフォーム:Windows PC/Xbox One/PS4
開発元:Bethesda Game Studio
・ストーリー
2077年の最終戦争時、ボストンに住む若い夫婦とその息子で赤ん坊のショーンがVault111に避難した。しかし、Vault111は冷凍保存の人体実験場であり、一家は長い眠りについた。再び目を覚ますと、伴侶に抱かれた息子が謎の男に連れさられ、抵抗した伴侶は撃ち殺されてしまう。夫婦の生き残りは再び冷凍され意識を失う*7。2287年、最終戦争から210年後、冷凍保存装置のエラーによって解放された主人公は、核戦争後で荒廃したボストンこと連邦(Commonwealth)に飛び出してゆく。
・作品解説
3の直接的続編。ゲームエンジンの刷新と共にシステム面も大幅に刷新された。
今作は架空銃が多めである一方、武器のカスタムが細分化し自由自在に武器がカスタムできるようになった。一つの武器種でピストルからサブマシンガン、オートマチックライフル(ピストルカービン)に変形できるものもある。武器耐久値、特殊弾は廃止になった一方、"レジェンダリ"という形で特殊効果を発揮する武器が登場するようになった。弾薬システムはNVのような「リアル志向」から3のような「ゲームバランス優先」に回帰しており(ワルサーPPベースの拳銃で10mm弾を使用したり、オートマチックライフルが.45ACPモデルの弾薬を使用するなど)、武器のカスタムシステムと合わせて再整理された。
ゲーム内名称 | 備考 |
パイプピストル | 木材や鉄パイプなどから手作りしたようなデザインのオートマチックガン。 基本は.38口径だが、カスタムで.45口径化可能。 ストックを付けることでパイプライフル、特定のパーツの搭載でパイプサブマシンガンとなる。 |
パイプリボルバー | 手作り風のリボルバー。リムレス弾を使うためか、フルムーンクリップを用いている。 基本は.45口径だが、カスタムで.308口径・.38口径化可能。 ストックを付けてリボルビングライフル化可能。 |
パイプボルトアクションピストル | 手作り風のボルトアクション銃。ストックを付けてライフルとして運用できる。 .308口径。カスタムで.50口径・.38口径となる。 |
10mmピストル | 過去作からデザインが一新され、完全な架空モデルとなった。 |
デリバラー | PPKがモデルのピストル。10mmピストルと同じ弾を使用する。 |
.44ピストル | S&W M29がモデルのリボルバー。シングルアクションで使用。 .パフォーマンスセンターモデルのウェイテッドバレルに類似したバレルに改装できる。 |
ハンティングライフル | ボルトアクションライフル。コッキングハンドルが左側面についている。 .308口径。カスタムで.50口径・.38口径となる。 |
コンバットライフル | ライフルというものの、デフォルトでは.45口径のオート弾を使用する。 .45口径の他、.38口径化、.308口径化可能。 ユニーク品「ディッセンバーズ・チルドレン」は5.56口径弾を使用する。因みにレジェンダリ名が「M4カービン」 |
アサルトライフル | アサルトライフルというものの、デザインから見て水冷式のマシンガン。 .5.56口径弾専用。 |
サブマシンガン | トンプソンサブマシンガン。フォアグリップの無いハンドガードで、コッキングハンドルが左側面になっている。 .45口径専用。 |
ダブルバレルショットガン | 二連式のショットガン。カスタムでソードオフにもロングバレルにもなる。 |
コンバットショットガン | オートショットガン。PPSh41風のデザイン。 |
ミニガン | M134風のミニガン。5mm弾を使用する。ベルチバードのドアガンとしても使用される。 |
ラジウムライフル | DLC「Far Harbor」で登場。.45口径弾を使用し、放射能ダメージが付与される。 グストロフ VG-45がモデル。 |
レバーアクションライフル | DLC「Far Harbor」で登場。残弾数に関わらずリロード速度が一定。 専用の.45-70弾を使用する。マーリンM1895がモデル。 |
ハンドメイドライフル | DLC「Nuka-World」にて登場。AK47がモデル。カスタムでSVDにもなる。 7.62口径弾専用。 |
フラッカー | 2024年4月のアップデートで追加された。QLZ-87がモデル。 |
Fallout 76 †
プラットフォーム:Windows PC/Xbox One/PS4
開発元:Bethesda Game Studio
・作品解説
Falloutシリーズ初のオンライン作品。最終戦争から25年後、2102年のウェストバージニアが舞台となる。
基本システムは4を踏襲しており、いくつかの追加武器を加えている。オンラインのため、シリーズ伝統ともいえるVATSがリアルタイムとなった。過去作よりもサバイバル要素が重視されており、4の「サバイバルモード」同様の空腹度・水分・病気の要素が標準的に採用されている。4で無くなったCND制も合わせて復活した。そして最大の特徴は人間NPCが存在しないことである*8。
主に「76」で追加された武器について記述する。