FN FNC 【突撃銃】 †
モデル | 全長(銃床折畳時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
フルサイズ | 997mm(766mm) | 3.84kg | 5.56mm×45 | 20/30 | 625〜675発/分 | S/F/3 | ベルギー |
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カービン | 911mm(667mm) | 3.7kg |
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1970年代にFN社で開発された5.56mm×45弾仕様の突撃銃。FNCとは「Fabrique Nationale Carabine」(ファブリク・ナショナル・カービン)の略称。
FN社は以前にも、自社のFALをベースに開発した5.56mm×45突撃銃CAL(Carabine Automatique Légère)を製造していたが、1960年代当時の軍用ライフル市場においては、ドイツのG3と比べても高価で、商業的には失敗に終わっていた。
1975年に終結したベトナム戦争を経て、5.56mm×45弾とこれを使用する「突撃銃」の有効性が証明されたことから、次期NATO標準ライフルはこれに準じた仕様でトライアルが開始された。FN社では既に米軍と共同で高性能5.56mm×45弾である「SS109」弾の設計を行っていたため、自社でもこれを採用しつつも、CALよりリーズナブルなライフルとしてFNCの開発を行った。
作動方式はFALやCALと異なり、ロングストローク・ガスピストンとロータリーロックを採用している。マガジンはM16/AR15のものも使用可能だが、FNCにはマガジンが空になるとボルトを後退位置でストップさせる自動ホールドオープン機能が無いため、FNC用マガジンはフォロワー構造が異なる。マガジンの再装填後、再度コッキングハンドルを引いてボルトを操作し、初弾を薬室へ送り込む必要がある。
銃身上部のガスブロックには2ポジションのガスバルブを備え、ライフルグレネード使用時にはガス作動をカットすることが出来る。また、フラッシュハイダー部はライフルグレネードのソケットを兼ね、旧来の歩兵銃のような擲弾用ソケットの着脱を不要としている。
ストックは折り畳み式のスケルトンストックを標準とし、ソリッドな固定ストックのオプションは無い。グリップはツールコンテナになっており、サイト調整や通常分解用の工具とオイラーを内蔵する。
コッキングハンドルの通る排莢孔後部のスロットには、FNC独特のダストカバーが施されており、通常はスプリングによって閉鎖され、ハンドルを操作した時にだけ押し上げられる仕組みとなっている。これと同様のダストカバーは、同社製のミニミ軽機関銃シリーズにも採用されている。
セレクターにはセミオート/フルオート以外に、CAL同様米軍の先進銃火器コンセプトで採用された3点バースト機能が備えられている。
バリエーションにはフルサイズのライフルと、パラ(空挺)モデルとも呼ばれるカービンの2種があり、フルサイズモデルのみライフルグレネードが使用出来る。後期型ではトリガーガードが大型化された(上掲写真)。
NATOによるトライアルでは、FNの「SS109」が標準弾薬として選定されたものの、1976年に急ピッチで製作されたFNCのプロトは性能不足で、FNはコンペから辞退した。しかし1981年から行われたスウェーデンの制式ライフルトライアルでは、プロトからの改良の進んだモデルが高く評価され、同国の主力ライフルAk5として選定された。
登場した時期が1979年と遅く、既にM16などの完成された5.56mm×45弾を使用するライフルが出回っており、欧州では独自に国産化を目指す国も少なくなかったことから、FNCはFALほどの大きな成功には至らなかった。しかし、CALよりも安価で、主力ライフルとして制定したスウェーデン、インドネシアと大きく環境の異なる二国での評価を得たこともあり、十数か国へ輸出されて商業的には成功作となった。
日本の自衛隊の制式自動小銃を選定するトライアルにも参加していたとも言われるが、実際に参加していたかどうかは不明である。なお、偶然にもベルギー陸軍がFALに替わる制式歩兵銃としてFNCを採用したのも89式小銃と同じ1989年となっている。
FN社のラインナップにFNCはすでに無いが、スウェーデンとインドネシアでは、FNCのライセンス生産モデル*1が、近代化改修を経て現在も主力ライフルとして採用されている。
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