傭兵 / Mercenary †
主に自国以外の場所で、報酬を得て軍事活動を行う兵士の総称。現在の定義では、ジュネーブ条約の規定で「主に金銭、利益を目的として雇用され、戦闘行為を行う第三国人、及びその集団」を指す。英語ではSOF(ソルジャー・オブ・フォーチュン)やワイルドギース(Wild Geese)とも呼ばれる。
「世界最古の職業」とも呼ばれ、古代エジプトやアッシリア、古代ギリシアにはすでに存在していたとの記録があり、中世以前の時代には主要な兵制の一形態だった。有名なものでは古代ローマのゲルマン人傭兵や、16世紀初頭にオーストリア大公マクシミリアンI世が採用したドイツの「ランツクネヒツ(Landskhechts)」、スイス傭兵(ライスロイファー)などがある。海賊のイメージが強い北欧のヴァイキングも後期には「ワリアギ親衛隊」と言うビザンティン帝国の傭兵として戦った。日本の戦国時代にも根来衆や雑賀衆といった集団がいた。
18世紀末のフランス革命後の近世以後(中央集権国家成立後)は、主に徴兵された自国民による常備軍(国軍、国民軍)が主流となり、傭兵はイギリス東インド会社のセポイなど補助的な存在となっていった*1。
現代では傭兵行為自体が国際法で禁じられ、多くの国で自国民が傭兵になることを法的に禁止している。そのような状況でも違法な傭兵は存在し、活動を続けている。
PMC(民間軍事会社)やフランス外人部隊、あるいはスイス傭兵の流れをくむバチカン市国のスイス衛兵隊などもメディア上で「傭兵」と呼ばれることがあるが、これらは法規的な制約によってその活動と責任を保証された役職であり、現代の定義でいう「傭兵」とは異なる。
特定の組織・部隊に所属しないフリーランスの傭兵も存在する。個人の傭兵の契約は、まずリーダー格の著名な傭兵がPMCなどの雇用主と契約を交わし、その後コネのある他の傭兵とコンタクトをとり、グループ・部隊を編成するという形が多い。
このあたりのプロセスは、傭兵を取り扱ったメディア作品でも、必ずと言っていいほど登場する場面である。
傭兵活動に対する取締りが緩かった20世紀ではその行動はそれほど秘匿されておらず、団体行動かつ訓練時の動きを見せない事が不自然でないよう「スポーツチーム」として依頼を受けた国へ移動することが多かった。
傭兵というと一般には『金次第・金目当て』、『ならず者』というイメージが強く、実際かなり悪質な兵も存在するが、質や実力については千差万別である。また単に金銭目的ではなく、自ら支持する勢力に加勢して戦う義勇兵的な側面(その主義・大義が正当な物かどうかはまた別問題だが)を持つこともある。
性格上、政治的に不安定な地域で活動することが多く、表だって介入・支援できない大国の思惑に沿って(あるいは暗黙の了解の元に)、第三国の紛争や政権転覆に関与することもあり、俗に言う第三国の『影の軍隊(Shadow Company)』として働くものもあるようだ。コンゴやアンゴラ、旧ローデシア*2など、政府組織が弱体化、あるいは崩壊し、東西両陣営や旧宗主国の思惑も絡んで複雑化したアフリカの紛争地域は、特に傭兵が活発に活動、あるいは暗躍した地域として知られている。
- ■傭兵出身の人物(架空)