オートオードナンス トンプソン / Auto-Ordnance Thompson 【短機関銃】 †![]()
米陸軍のジョン・タリアフェロー・トンプソン(John Taliaferro Thompson)の立ち上げた、オートオードナンス(Auto-Ordnance)社が開発した短機関銃。サブマシンガン(Submachine Gun)という呼称を定着させた銃であるとともに、この呼称を用いた初めての銃でもある。フルオートへの改造が容易であることからアル・カポネなど当時のシカゴマフィアの間で絶大な人気を誇り、ギャングの持つ銃としてのイメージを形成した。その為フィクションではギャングあるいはそれをモチーフにしたキャラクターが主にドラムマガジン装着の物を使う事が多い。また地元警察やFBIにも採用され、独特の発射音からか『シカゴタイプライター』『シカゴピアノ』とよばれた。「トミーガン」の異名もよく知られるが、こちらは創業者トンプソンに由来するとか、いち早く本銃を採用していた英軍の蔑称「トミー」に由来するなど、諸説ある。その他に「chopper(チョッパー)(肉切り包丁)」「trench broom(トレンチブルーム)(塹壕用ほうき)」「ピアノ」「掃除機」など数多くの異名が存在する。 最初に量産されたモデルは、1921年に開発されコルト社で委託生産されていたM1921である。軍用として売り出すも、非常に高価な上に射程の短さなど欠点ばかりが取り沙汰され、採用には至らなかった。かくして大量の在庫を抱えてしまったオートオードナンス社は、M1921をセミオート限定に改修し、「M1927」として民間向けに発売した。禁酒法時代を舞台としたギャング映画等でよく登場するドラムマガジンを装備したモデルはこれである。しかし、M1927が非常に高価であることには変わりなく、望んで入手できるのは、当時酒の密売などで莫大な富を築いていたマフィアや、それに対抗する警察などの公的機関くらいであった。悪名ばかりが高まって、販売数自体はふるわないのが実情であった。 そうした中、第二次世界大戦が勃発。ヨーロッパ各国はドイツ軍が装備するMP38,MP40短機関銃などに対抗するべく以前からM1928を欲していたが、全く生産が追いつかない状態であった。M1928は構造が複雑で大量生産には不向きであり、軍用としては信頼性も低かった。そこでサベージ社の技術陣が構造を単純化。「ブリッシュ・ロック*1」と呼ばれるディレードブローバックからストレートブローバックに変更し、グリップやバレルの放熱フィンを省略。こうして1942年にアメリカ軍に制式採用されたのがトンプソンM1短機関銃である。同年にはボルトヘッドのピンを固定にするなど更なる簡略化を施したM1A1となっている。これらの努力が功を奏し、M1928A1では209ドルだった単価は、M1A1では4分の1以下の49ドルまで抑えられた。しかし削り出し加工を基本としたトンプソンではこれ以上のコストダウンは難しく、アメリカ軍はプレス加工技術を使いさらに生産性の高いM3グリースガンの開発を進めることとなる。*2 現在でも、オートオードナンス社からセミオートオンリーながら新造のトンプソンが販売されている。 各種バリエーション †
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