FN FAL 【自動小銃】 †
モデル | 全長(折畳時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 発射速度 | 製造国 |
STD | 1090mm | 4.325kg | 7.62mm×51 | 20/30 | S/F | 700rpm | ベルギー |
---|
Para | 990(736)mm | 3.77kg |
---|
FN社が1948年に開発を開始し、1953年に完成した自動小銃。FALは「Fusil Automatique Leger:《仏》軽自動小銃」の略。
小銃弾のセミ/フルオート射撃が可能な主力歩兵銃として開発された、西側諸国の第1世代突撃銃である。
弾薬は連射時の制御性を考慮してナチスドイツで作られた7.92mm×33短小弾を使用する予定だったが、戦後結成されたNATOにおいて、加盟各国で画一された弾薬・小銃の使用を目指す方針に沿い、最終的に標準弾薬として選定されたアメリカの7.62mm×51弾を使用する銃として再設計された。
レシーバーは削り出し加工で製造され耐久性に優れる。従来の制式小銃の主流であるボルトアクション小銃には無かった下方着脱マガジンやチャージングハンドル、セレクターといった「新しい」機構は直感的で操作しやすく配置されており、さらに工具なしで主要部品を分解できるなど、新時代の武器として受け入れられるよう、操作性・整備性は洗練されたシンプルなものに仕上げられた。
また汎用火器を目指した設計から、ヘビーバレルと大容量マガジンを使用する軽機関銃モデルが用意され、これも多くの国で使用されている。
しかし、元々小口径・短小弾を使う設計であったにもかかわらず、従来の小銃弾と遜色ないパワーの7.62mm×51弾を使用するため、フルオート射撃時の反動衝撃は強烈なものになってしまった。イギリス・オーストリア・イスラエルなどでは、主力ライフルモデルはセミオート限定とした。ローデシアでは「ハルベック*1・デバイス」と呼ばれる初期のコンペンセイターを用いて反動を軽減するなどの工夫も行われた。
また、開発時に十分な試験が行われなかった中東の砂漠地帯では砂塵に弱いという欠点が見出され、採用したイスラエルではボルトキャリアやレシーバーに砂抜きスロットを入れるなどの工夫が行われた。同様の処置はイギリス連邦のSLRシリーズでも行われたが、いずれも結局この問題は解決できなかったため、採用した多くの中東の国家では後に代替されている。
本銃はソ連擁するワルシャワ条約機構におけるAK-47に対抗する「NATO制式」の小銃として多くのNATO加盟国で採用された。主な採用国はベルギー、アイルランド、イギリス(SLR)、オランダ、ルクセンブルグ、オーストリア(StG58)、カナダ(C1A1)、イスラエル、トルコ、ローデシア、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ共和国などである。
もっともイタリア・フランス・アメリカは国産のライフルを採用し、イギリスもインチ表記で再設計した「SLR(Self-Lording Rifle)」シリーズをライセンス生産、カナダをはじめとするイギリス連邦に広く流通させるなど、NATO加盟主要国は独自路線を進んだ。その他の国も自国でライセンス生産するFALに独自の仕様を加えたものを生産し、無数のバリエーションが作られ長く使われることとなったため、厳密な「統一小銃」とはなり得なかった。
現在ではFN社でも生産は終了しているものの、ブラジルの国営企業インベルは、ライセンスモデル「M964」「ParaFAL」や近代化モデル「IA-2」、5.56mm×45弾の突撃銃モデル「MDシリーズ」を生産しており、それぞれ同軍の制式歩兵銃として採用されている。他にも、ペルーでは「SC-2005/2009/2010」といった近代化モデルが生産・使用されており、2006年3月の時点ではネパール軍が、またノンライセンスながらインド軍が使用している事が確認されている。様々な火器が流入しているシリア内戦においても多数の使用が確認されている。
民間向けにも人気が高く、アメリカをはじめ現在もスポーターモデルの生産が続けられている。アメリカのDSA社からはマウントレールなど各種オプションパーツの供給が続けられ、同社独自のクローンモデルSA58も生産されている。
日本でもローデシア(ジンバブエ)傭兵などを扱った漫画やアニメが人気があった時代にはFALの人気は高かったようだ(漫画『ジオブリーダーズ』でそれらしいセリフが存在する)。
外部リンク †
・FN FAL ムービー
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。