ゼネラルモーターズ M3 "グリースガン" / GM M3 "Grease Gun" 【短機関銃】 †
モデル | 全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 連射速度 | 製造国 |
M3 | 571(743)mm | 4,000g | .45 ACP | 30 | F | 350〜450発/分 | アメリカ/中国 |
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M3A1 | 565(742)mm | 3,950g |
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三九式 | 579(757)mm | 不明 | 9mm×19 | 32 | F | 350〜450発/分 | 台湾 |
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1942年にアメリカ軍が制式採用した短機関銃。その形状が機械に潤滑油(グリース)を挿す機材に似ていたため『グリースガン』の愛称を持つ。その他に『ケーキ・デコレーター』と呼ばれることもあった。
1941年、第二次大戦に参戦したアメリカは兵員の大量動員を開始した。しかし制式短機関銃だったトンプソンは性能は高かったものの製造コストも高く、生産効率を高めたM1A1に至っても生産が追いつかない程であった。
そこでアメリカ陸軍は数を揃えるために、性能を二の次にしてでも生産効率の高い短機関銃を必要とし、プレス加工と溶接のみで作成できる銃を自動車メーカーのゼネラルモーターズに発注。1942年12月にM3の名前で制式採用された。
M3はシンプル故に故障知らずで稼働率が非常に高く、その上M1A1の1/5以下の値段で製造が可能であるため、大量に製造され前線に送られた。発射速度の遅さも.45ACP弾を撃つには程よい速度で連射制御が容易であり、一般の兵卒のみならず、小火器を常用しない*1戦車兵の護身火器としても多用されたと云う。
1944年には更なる簡略化をはかったM3A1が開発された。コッキング方法を元のクランク式から、排莢口に指を突っ込んでボルトを直接動かす方式に変え、マガジンキャッチを強化するなどの改修が施された。これらにより、製造費はM3の2/3となっている。またOSS用にM3Sベル・サイレンサーという減音器を装着したモデルも開発された。
しかし、第二次大戦の終結に伴い、発注の大半はキャンセルとなり、約60万挺も生産されたM3に対し、M3A1の製造数は遥かに少ない1.5万挺ほどにとどまった。
M3は第二次大戦後も朝鮮戦争やフォークランド紛争で使用された。デルタフォース創設時には、初代司令官のチャールズ・ベックウィズによって、CIAの倉庫に大量に保管されていたM3が持ち出され、部隊の訓練用として使用された。その大半が一年もしないうちにMP5と替えられたが「弾丸が.45口径で威力が高い・飛翔速度が亜音速のためサイレンサーの効果が高い」という点から特殊作戦用に少数が残された。
アメリカ本国で引退後も、西側諸国に軍事援助として大量に供与されたM3の一部が、いまだ現用にあると伝えられている。日本の陸上自衛隊でも、創設時にアメリカ軍から供給されて以来のM3が、戦車部隊の装備として一部、今も現役にとどまっている。
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