コンペンセイター(銃口制退器) / Compensator † 銃身の銃口(マズル)部分、またはその先端に取り付けて反動を軽減する装置。「マズルブレーキ」とも呼ばれる。 原理としては、発射ガスを上や左右に偏って噴出させることで、反動やマズルクライム(銃口の跳ね上がり)を抑える。その字面から「銃口エネルギーをロスする」と誤解されることもあるが、銃身長に変化がない限りそのようなことは起こらない。 小口径・低反動の銃器が一般的になったため、第二次大戦後は軍の小火器用としてはあまり用いられなくなったが、対物火器に分類されるM82のような大口径ライフルや、AN94のような超高速バースト機能を持った銃器においてはその有用性を示している。 散弾銃においてはコンペンセイターはやや特殊な働きをする。散弾自体が軽く直進性が低いため、コンペンセイターを用いると散弾が偏向されたガスの方向に拡散するのである。 類似構造や名称のブレについて †同じく銃口に取り付けるフラッシュハイダーとは混同されることが多いが、それぞれの役割は大きく異なる。しかし穴やスリットによるフラッシュハイダーの場合、その配置や噴出方向を限定することでコンペンセイターとしても機能するハイブリッド型も多い。M16A2の鳥籠型ハイダーは、上半分にスリットが集中し、銃の跳ね上がりと伏射時に土煙の巻き上げを抑制する代表的なハイブリッド型である。 「コンペンセイター」や「マズルブレーキ」といった名称には厳密な定義が今のところ存在しないが、元々コンペンセイターとはトンプソン短機関銃用の「上方にガスを噴射して銃口の跳ね上がりを抑える装置」(カッツ・コンペンセイター)、マズルブレーキとは「側面からガスを噴射して大砲の後退を抑える装置」が起源であるため、製品としてもそのイメージのものが比較的多い。近年のビデオゲームではその影響からか、コンペンセイターが上方向の反動、マズルブレーキが横方向の反動を軽減する装備として描かれているものが多く見受けられる。 銃身自体に穴を開けることでコンペンセイターの役割を持たせたものは「ポーテッド・バレル(穴あき銃身)」と呼ばれ、厳密には銃身自体の名称となる。ガンスミス業者にはバレルポーティングを請け負うところも多い。 なお「コンペンセイター」や「マズルブレーキ」といった名称で定着するまでは多くの名称が存在しており、例えば前述のカッツ・コンペンセイターを発明したカッツの最初の特許では「クライムアレスター(Climb Arrester、「跳ね上がりを拘束するもの」)」*3、BARの警察用モデルでは外見から「リコイルチェック(溝)」等と呼称されていた。 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照
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