コンペンセイター(銃口制退器) / Compensator † 銃身のマズル部分、またはその先端に取り付けて反動を軽減する装置。マズルブレーキとも呼ばれる。発射ガスを上や左右に偏って噴出させることで、反動やマズルクライム(銃口の跳ね上がり)を抑える。強烈な反動ゆえ設置面を破壊する恐れがある大砲などでは古くから使用されていたが、第二次世界大戦では従来の銃火器と異なり、軽量ながら強い反動を有する短機関銃が登場したことで広く小火器にも普及した。 現在見られる小火器用のコンペンセイターは主に競技用のものである。通常の戦闘では見られないような、複数の的に素早く照準を合わせるスピードシューティングの世界では、マズルクライムを少しでも抑える事が重視されるからである。また、趣味のシューティングでもSBR(Short-Barreled Rifle)と呼ばれる短銃身モデルや、マグナム弾を使用する拳銃の反動を抑制するために使われるケースもある。 散弾銃においてはコンペンセイターはやや特殊な働きをする。散弾自体が軽く直進性が低いため、コンペンセイターを用いると散弾が偏向されたガスの方向に拡散するのである(例えば、左右にガスを排出するコンペンセイターでは横長の楕円形に散弾が広がる)。ベトナム戦争時代にはこれを利用して、水平に散弾を拡散して広範囲を薙ぎ払うための「ダックビル(アヒルのくちばし)・スプレッダー」と呼ばれる物が一部のショットガンには装着されていた。同様の製品はスパス12にも用意されていたほか、2012年にもパラダイム社から「GATOR*2」の名称で販売されている。 なお「コンペンセイター」や「マズルブレーキ」といった名称には厳密な定義が今のところ存在しないが、元々コンペンセイターとはトンプソン短機関銃用の「上方にガスを噴射して銃口の跳ね上がりを抑える装置」(カッツ・コンペンセイター)、マズルブレーキとは「側面からガスを噴射して大砲の後退を抑える装置」が起源であるため、製品としてもそのイメージのものが比較的多い。近年のビデオゲームではその影響からか、コンペンセイターが上方向の反動、マズルブレーキが横方向の反動を軽減する装備として描かれているものが多く見受けられる。 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照
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