FN P90 【短機関銃】 †![]() 1980年代、突撃銃やボディアーマーの普及と高性能化により、軍の後方部隊が持つ9mmx19NATO弾仕様の護身用火器(拳銃及び短機関銃)の性能不足が懸念された。そこで1986年、将来的にこれらに替わる新しい「PDW(個人用護身火器)」の導入構想がNATOで立てられた。この要求に応える形で、FN社が1987年に開発したのが「P90」(Project 1990)である。 銃本体はプラスチックを多用したブルパップ形状だが、銃下面に排莢口を設けることで射手の利き手を選ばず、左右臨機応変に構えなおすことを可能にしている。マガジンは50発というハイキャパシティながら、レシーバー上部に銃身と平行に配することで、本体から大きく張り出すことなくコンパクトにまとめられている。弾丸は横向きに複列装弾されているが、マガジン内のらせん状のスロープで90度回転させることで本体薬室に送弾する。 弾薬は新規開発されたSS90(後にファイブセブンと弾の共通化を図ったSS190へ更新)弾を採用している。この弾はライフル弾を短小化したようなボトルネック形状をしており、小口径のため弾丸の初速が速く(秒速650メートル)、クラス3のボディアーマーを撃ち抜く貫通力を持つ。弾頭重量が小さいため運動エネルギーでは標準的な9mmパラベラム弾や.45ACP弾などには劣るが、その分反動は小さい。更に同じFN製のSS109弾同様、人体等の軟体に命中すると弾丸が横転してフラグメンテーションを起こしやすく設計されており、ストッピングパワーを高めるとともに貫通弾による二次被害の危険を軽減している。 登場からしばらくは大々的な採用には至っていなかったが、1996年にペルーで発生した日本大使館占拠事件において、ペルー軍及び警察の突入部隊の一部がP90を使用していた(FN社が宣伝のため無償提供したとも言われる)ことで、注目されることになった。現在では40か国の軍・法執行機関にて採用されている。 バリエーションとしては、光学サイトを廃してピカティニーレールを増設したP90TR(Triple-Rail)とP90Tacticalが存在する。また、バレル下部の張り出しにレーザーポインターを内蔵したモデルも存在する。
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