H&K マーク23 “ソーコム ピストル” / H&K Mark 23 (US Mk.23 Mod.0) 【自動拳銃】 †
全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
245mm | 1210g | .45ACP | 10/12+1 | ドイツ |
1991年にドイツのH&K社が、当時開発中だった自社のUSPをベースに開発した.45ACP弾仕様の大型自動拳銃。
1989年に開始されたUS SOCOM(米国軍特殊部隊司令部)の次期制式拳銃「OHWS(Offensive Handgun Weapon System)」トライアルに出展され、コルト社が用意した二つの候補銃*1と競合し勝利。1995年にMk.23 Mod.0として制式採用された。
OHWSは創設間もないUS SOCOMが、当時の米軍制式拳銃であるM9よりも更に高性能な拳銃を求めて定義したトライアルである。耐久性・信頼性・精度の高さは無論のこと、単体で潜入や水上作戦に用いることができ、レーザーサイトやサプレッサーも無加工で装着可能な高い拡張性を持つ拳銃が求められた。
Mark23はこの条件を満たすべく、とにかく高精度で頑丈な構成に仕上がっている。OHWSトライアルでは30,000発の射撃テストを通して25m先で半径3cmに集弾するほどの、拳銃としては並外れた耐久性と精度を発揮した。
各操作系も当時の最新技術が導入されている。マガジンリリース・セイフティは共にアンビ仕様のレバー式となっており、フレーム左サイドにはUSPと類似したセイフティレバーとデコッキングレバーが設けられている。銃口はねじ切りされ、USP同様のH&K独自規格のアンダーマウントレールも搭載し、専用設計されたレーザー&フラッシュライトユニットをはじめとした各種アクセサリーも装着可能である。
しかし、拳銃に求めるには過剰ともいえるスペックを追求した代償として、本銃は「大型化」という欠点を背負い込むことになる。単体でも全長245mm、空虚重量1.2kg、アクセサリーも加えたフル装備状態の重量は2kgを超える短機関銃並みの代物であった。
単純なスペックは優れているものの運用は現実的とは言えず、このためSOCOMの管轄下にある特殊部隊(SEAL、デルタフォース、グリーンベレーなど)に導入されたものの、当初予定されていた制式拳銃というレベルには至らず、特殊用途での運用に留まった。
しかしOHWSの運用理念そのものは依然として必要なものとみなされており、後にH&K社が開発した大幅にコンパクトなHK45はMk.24 Mod0として採用されている。
1997年には民間向けモデルとして「MARK23」が登場し販売されている。一部法規制の強い地域向けに10連マガジンが用意されている以外は軍用とほぼ遜色ない仕様となっている。
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外部リンク †
・H&K Mk.23 "SOCOM" ムービー