FN ハイパワー / FN Hi-Power 【自動拳銃】

FN Hi-Power Mk.III シングルアクション
モデル全長重量口径装弾数製造国
HP-SA197mm990g9mm×19
.40 S&W
10/13/15/20+1ベルギー
HP-DA (BDA9)197mm990g9mm×19
9mm×21 IMI
14+1
HP-DA Compact (BDA9C)173mm710g9mm×19
9mm×21 IMI
7+1

 「ブローニング・ハイパワー」の名でも知られる自動拳銃ジョン・ブローニングが晩年に設計し、その死後FALなどの設計で知られるFN社の技師デュードネ・ヨゼフ・サイーブらによって1934年に完成した。
 当時としては画期的なリンクレスのショートリコイルや、シングルアクション、グリップ内に収めるタイプのマガジンへのダブルカラムの採用など、近代オートマチックの基本要素が詰まった傑作で、後生の様々な銃に影響を与えている。第二次大戦後も長らく活躍し続け、英連邦を始め世界各国で採用され、100万挺を越す生産数を誇る世界で最も生産された自動拳銃の一つとなっている。

 一方、他のオートマチックではやや珍しいマガジンセイフティという安全装置も備えている。マガジンを抜いた状態ではトリガーがロックされる機構で、薬室内に弾丸が残っていた場合の不注意な暴発を防ぐことが出来る。しかし、トリガープルが重くなる上、装着されたマガジン前面にマガジンセイフティのスプリングのテンションがかかるため、マガジンキャッチを押してもマガジンがスムーズに落下しなかった*1。そのため、この機能は特殊部隊での運用時には外されていることが多かったらしい。本銃のほかでは、同社のファイブセブン、アメリカはS&Wクラシックピストルシリーズがこの機構を持っている。

 初期の軍用モデルは「FN GP(Grande Puissance)*2 M1935」の名で制式化され、その民間モデルが「FN HP(Hi-Power) M1935」の名で販売された。「M1935ミリタリーモデル(後年、キャプテンモデルに改称)」とも呼ばれるこのモデルは、照尺が可変のタンジェントサイトとリングタイプのハンマーを備え、着脱可能なストックがセットだった。
 ハイパワーは、もともとベルギー軍が制式化していたが、第二次大戦中、ナチスドイツによるベルギー占領をきっかけに、連合軍と枢軸側双方で使われることとなった。工場を接収したドイツ軍はP640(b)の名でハイパワーを準制式化し、一方、連合側では、カナダに逃れたFN社技術陣の手によるハイパワーが供給されたのである。とはいえ、ドイツに卸された本国ベルギー製のハイパワーP640(b)は、技術者たちの意図的な手抜きによる粗雑品であった。 
 
 1981年には、ホワイトドットが入ったフロント&リアサイトと、アンビ化した大型のマニュアルセイフティを装備したMk.IIとなり、1989年には、さらにAFPBを追加して、現行のMk.III(上写真のモデル)となった。なお、1990年に登場した.40S&Wモデルは、スライドが少し厚くなり、スライドリリースレバーと接する部分に段差がつけられている。このモデルをベースに9mm×19の強装弾に対応したカスタムHPを製作するガンスミスも存在する。
 またユニークなバリエーションに、『HP-SFS(Safe Fast Shooting)』がある。一度コッキングしたハンマーを指で押し戻すことができ、マニュアルセイフティを解除すると、自動的にハンマーがコッキングポジションに跳ね上がる仕組み。ダブルアクションピストルのように携帯しながら、射撃のさいは常にシングルアクションでトリガーを引くことができる。
 1983年にはダブルアクションモデルの『HP-DA*3』も登場し、小型モデルのHP-DAMやHP-DACといった派生型も作られた。フィンランド国防軍に制式採用されているが、『SFS』と違ってなじみのあるハイパワーのシルエットが崩れたこともあってか、あまり大きな商業的成功は収めなかった。

 2014年現在、アメリカ市場においてはFN USAではなく、FN傘下のブローニングアームズから現行型のMk.IIIが販売されている。イギリス軍では後継のグロック 17(Gen4)へ2013年に更新されるまでのおよそ半世紀、L9A1の名称で同軍の制式自動拳銃であり続け、SASのような装備の融通が利く特殊部隊でも、後発のP226採用後も、冷戦時代を通じてハイパワーが使用されていた。予算の関係などでカナダ軍では2017年時点でも現役である。
 現用オートマチックとしては最古老の部類ながら21世紀に入っても生産が続いていたが、2018年に完成品の生産終了がアナウンスされた*4

 なお、名前こそ「ハイパワー」だが、別に強力な弾丸を使用しているわけではない。装弾数の少ない回転式拳銃が主だった当時、自動拳銃でも1弾倉がせいぜい7〜8発だった時代に、10発以上装弾できる拳銃の存在自体がハイパワーだったのである。 

登場作品ジャンル使用者備考
007項目参照
24 -TWENTY FOUR-項目参照
Angel Beats!項目参照
BANG!!2項目参照
BLOOD+項目参照
Clover Heart'sゲーム乃木坂 久遠減音器装着
CSI:マイアミ項目参照
EDEN漫画原父連邦下士官
Fallout:New Vegas項目参照
GS美神 極楽大作戦!!漫画横島忠夫低級霊弾を発射
KILLMEN漫画アントニオ・ゴンザレスコンペティション
NOIR項目参照
PUSH -光と闇の能力者-映画ヘンリー・ガーバーデュアルトーン
ラストの銃撃戦で使用
Scarlett 〜スカーレット〜ゲーム別当
和泉しずか
スカーレット
S.T.A.L.K.E.R.項目参照
VERSUS項目参照
X-MENシリーズ項目参照
相棒項目参照
アウターゾーン リ:ビジテッド項目参照
アヴァロン 灰色の貴婦人項目参照
あそびにいくヨ!項目参照
あっちこっちアニメ御庭 つみき
音無 伊御
春野 姫
第8話
射的屋のコルク銃
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン項目参照
アメリカン・ギャングスター映画フランク・ルーカス冒頭の尋問で使用
アリスの照星項目参照
アルティメット項目参照
アンダルシア 女神の報復項目参照
アンチャーテッド 古代神の秘宝項目参照
イリヤッド漫画ユリ・エンドレ
インディ・ジョーンズ項目参照
ヴィジョンノア漫画イメージ映像
ウォーキング・デッド項目参照
ウォンテッド項目参照
うぽって!!項目参照
裏刑事TVドラマ中嶋 彰第8話
エクスペンダブルズ項目参照
エロイカより愛をこめて項目参照
エンジェル・ハート項目参照
代紋(エンブレム)TAKE2漫画カルロス・クライバー大佐
ジェームス・ローリング特務曹長
ルイス・ザブロンスキー一等軍曹
アラン・フルニエ三等軍曹
ケン・アレグザンダー伍長
ケビン・ブラウン伍長
フランシス・バラウド伍長
サイドアーム
狼/男たちの挽歌・最終章項目参照
狼たちの処刑台映画ギャング団の新入り
男たちの挽歌項目参照
オペレーションG.G.項目参照
隠密部隊ファントムフォース小説マカラ・ハーコナン
カウボーイビバップ項目参照
科捜研の女TVドラマ島谷栄子『夜祭の凶弾!疑惑のともし火、母娘に隠された罠…』
改造銃
ガングレイヴ項目参照
ガンスミスキャッツ項目参照
ガンスリンガー・ガール項目参照
黄色い花の紅項目参照
キャット・シット・ワン エイティー項目参照
虐殺器官小説ジョン・ポール発砲無し
今日からヒットマン項目参照
キラー・エリート(2011年)項目参照
キングコング:髑髏島の巨神項目参照
グラップラー刃牙項目参照
九龍妖魔学園紀項目参照
クレイジーズ項目参照
クレヨンしんちゃん項目参照
クロムクロ項目参照
ケイン&リンチ:デッドメン項目参照
ゲッタウェイ項目参照
犬狼伝説 紅い足痕項目参照
コードネーム U.N.C.L.E.項目参照
攻殻機動隊項目参照
交通事故鑑定人環倫一郎漫画刺客レーザーサイト装着
合法都市漫画佐藤勇機MkIII
コール オブ デューティ: ブラックオプスII項目参照
極秘特命社員 −イリーガル−漫画ミスター・ダニエルソン
ご注文はうさぎですか?項目参照
ゴッドファーザー PART III映画モスカ
ゴブリン公爵漫画ゴブリン公爵オーディナルモデル
コヨーテ ラグタイム ショー項目参照
殺し屋1漫画
ゴルゴ13項目参照
ザ・ウォーカー項目参照
サハラ 死の砂漠を脱出せよ項目参照
ザ・バンク 堕ちた巨像項目参照
ザ・ビーチ映画ダフィ・ダック幻想のシーン
ザ・ミッション 非情の掟映画ロイ“來”
シン“信”
MkIII
ザ・ユニット 米軍極秘部隊項目参照
ジーザス項目参照
ジオブリーダーズ項目参照
シティーハンター項目参照
上海哀儚小説デヴィット
銃声 LAST DROP OF BLOOD映画萩原 正一
ジョン・ウィック項目参照
新世紀エヴァンゲリオン項目参照
進め!! 聖学電脳研究部項目参照
砂ぼうず項目参照
スパイの歩き方項目参照
スプリガン項目参照
スワガー・サーガ項目参照
せきさば!項目参照
ゼロイン項目参照
全開で飛ばせ小説金田(金三啓)
嵯峨幸夫
正田
第ニ章
戦闘メカ ザブングルアニメジロン・アモスミリタリーモデル
蒼天の拳項目参照
ゾンビ大陸 アフリカン映画ブライアン・マーフィー中尉
兵士
ターミネーター項目参照
ダイ・ハード項目参照
ダイナマイト刑事(PS2版)項目参照
逮捕しちゃうぞ漫画発砲なし
タンタンの冒険旅行 シドニー行き714便漫画ハンス・ベーム機内で所持(発砲なし)
探偵稼業カブ漫画暴力団員鈍器として使用
チャージマン研!アニメ精神病院の医院長
小類人漫画名取夕子
ポム
風見慎吾
亜大類人回想シーン
デス・レース項目参照
鉄人28号
皇帝の紋章
漫画村雨健二タンジェントサイト付
ミリタリー
デッドマン・ダウン映画ダーシー
デビル17項目参照
トゥームレイダー項目参照
トゥモロー・ワールド項目参照
トゥルーライズ項目参照
特捜刑事マイアミヴァイス項目参照
特攻野郎Aチーム項目参照
ドッグ・ソルジャー項目参照
ドラゴン・スクワッド映画ジェイ
トレマーズ項目参照
ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌項目参照
バイオハザード2項目参照
バイオハザード3項目参照
バイオハザード CODE:Veronica項目参照
バイオハザード アウトブレイク項目参照
バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ項目参照
バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ項目参照
バイオハザード〜ヘヴンリーアイランド〜項目参照
パイナップルARMY項目参照
バキ外伝 疵面項目参照
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生項目参照
パニッシャー(1989年)項目参照
バトル・ロワイアル項目参照
ハムナプトラシリーズ項目参照
ハンニバル・レクター・シリーズ項目参照
緋弾のアリア項目参照
ビトレイヤー項目参照
ビバリーヒルズ・コップ項目参照
百万人の殺人形而上学項目参照
フォールアウト項目参照
ブラジルから来た少年映画ヨーゼフ・メンゲレラウンドハンマー装備
ブラック・ジャック漫画作中でたびたび登場する
ブラック・ブレット--項目参照
ブラック・ラグーン項目参照
ブラッド・ダイヤモンド項目参照
ブラッドチェイス映画ジャック・"チック"・チコリーニG19との二挺拳銃
ラストの銃撃戦で使用
ブラッドラインズ漫画衛藤ユウコ(羅夢)コンペティション
所持のみ
フルタイムキラー映画小野 "O"シンガポール駅で使用
フルメタル・パニック!項目参照
ブレイクアウェイTVドラマジミー・スカルゼッティ
ブレット・ザ・ウィザード漫画フィッツジェラルド第25話
魔法銃
フレンチ・コネクション項目参照
フロリダ半島壊滅小説ポール・ルーベンシュタイン
亡国のイージス項目参照
僕がサダメ 君には翼を。ゲーム那須 真紅シルバーモデル
劇中名称「セルシウス」「レーヴィット」
二挺拳銃
ホット・ショット項目参照
ボディガード映画フランク・ファーマー
ポリス・ストーリー3項目参照
マイ・ボディガード項目参照
マッドマックス 怒りのデス・ロード項目参照
マトリックス項目参照
モンタージュ漫画関口欽一
鳴海大和減音器装着
薬師寺涼子の怪奇事件簿 霧の訪問者小説薬師寺 涼子ロードリッチ家の私兵からの押収品
ヤングガン・カルナバル項目参照
ユージュアル・サスペクツ項目参照
誘拐犯項目参照
傭兵たちの挽歌項目参照
ヨルムンガンド項目参照
ラッシュアワー項目参照
ラン・オールナイト映画ショーン・マグワイア
リーサル・ウェポン項目参照
リターナー項目参照
リプレイスメント・キラー項目参照
リリアとトレイズ小説トラヴァス少佐とその部下たち
リモート・コントロール小説ニック・ストーン「解放の日」でも再び使用
ルーザーズ項目参照
ルパン三世 PART3項目参照
レインボーシックス項目参照
レクイエム(2004年)映画ベン・アーチャー二挺拳銃
埠頭での銃撃戦で使用
レッド・ドーン項目参照
ローズヒップローズ項目参照
ロスト・メモリーズ項目参照
ロックンローラ項目参照
ワイルダネス項目参照

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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 映画『ユージュアル・サスペクツ』で、主要キャラクター数人が複数のシーンで使用しています。サプレッサーを装着したモデルも登場してますよ。 -- 2016-07-06 (水) 23:36:42
  • あと、最近の映画だと『コードネーム U.N.C.L.E.』で、主人公のナポレオン・ソロのサイドアームとして登場しています。 -- 2016-07-06 (水) 23:40:56
  • 2018年、一般への販売が終了した模様。これでFNもBACも
    生産を打ち切ったことになり、新しいハイパワーはもう生まれないですね……。
    百周年行けると思ってたのになあ -- 2018-02-05 (月) 22:55:53
  • 一般販売はもう無いかもしれんが、インドのイシャポール造兵廠が軍や警察向けに供給してる9mm 1Aだとかの公的機関向けの生産はまだ残ってるんじゃないか?
    インド軍はグロックだとかの輸入拳銃の配備は空挺や特殊部隊だけみたく、まだまだハイパワーを使い続けるみたいだし。 -- 2018-02-06 (火) 01:13:00
  • ↑来るべきときが来たんだなという思いですが、ブローニングのサイトにある記述、
    「General availability to dealers ended in 2017.」の文言的には、
    まだまだ軍用としては一部で生産され、使われ続けると解釈していいんでしょうかね……。なんにせよ、区切りといった感じでしょうか……。とにかく、なんだかんだ言われながらも83年間広く販売され続けたハイパワー。お疲れ様でした! -- 2018-02-06 (火) 20:16:03
  • やはりインドではまだ生産継続中の模様。 ttp://www.thefirearmblog.com/blog/2018/02/06/browning-ends-hi-power-production-1936-2017/ -- 2018-02-07 (水) 17:23:20
  • 上でも言及されてるOFBの9mm1Aの話だろ?
    他の古いタイプの銃器と一緒に公式サイトのカタログに載っとるよ。
    ttp://ofbindia.gov.in/index.php?wh=Weapons&lang=en -- 2018-02-07 (水) 20:31:30
  • フルメタでクルツがSAの物を使ってたけど、何でDAが既にある時代にSAを使い続けてたんだろう…。 -- 2018-03-12 (月) 22:23:49
  • ↑それはもともと、宗介がアフガンゲリラ時代に使っていたお古だからよ。
    かなめと宗介が合コンへ行くことになった短編集のエピソードで、若者らしい私服を持ってなかった宗介にクルツがお下がりを譲る代わりに所望したの。
    メカニズムの古さに関しては宗介も触れていたけど、クルツは骨董品的価値を感じてたみたいね。 -- 2018-03-13 (火) 13:59:55
  • ↑なるほど、ありがとう。短編集も全部読んだはずなのに何で忘れてたんだろ…。 -- 2018-03-13 (火) 14:34:06
お名前:


*1 現行のハイパワーでは、改良されている
*2 フランス語で「Hi Power」の意。
*3 アメリカ市場では『BDA9』の名称で販売された。
*4 補修パーツの生産とインド軍向けライセンス生産はしばらく続行される。

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Last-modified: 2018-12-09 (日) 23:41:21 (4d)