外交官 黒田康作 シリーズ †
フジテレビ
日本国外務省邦人テロ対策室所属の外交官、黒田 康作(演・織田 裕二)を主人公とした一連の作品群。
外交官でありながら、任地を転々とし様々な事件を解決へと導く。優秀ではあるものの外交官の職権を乱用しては、現地警察や大使館員からは白い目で見られている。
真保 裕一の同名小説群を原作としており*1、フジテレビ開局50周年記念として『アマルフィ 女神の報酬』を製作・公開、テレビドラマとして『外交官 黒田康作』(原作『天使の報酬』)を製作・放映の後に二作目の劇場版『アンダルシア 女神の報復』が製作・公開された。
主人公が「外交官」であるため、劇場版二作全編とドラマの一部においては海外ロケが行われている。
アマルフィ 女神の報酬 †
2009年
製作:フジテレビ 配給:東宝
監督:西谷 弘
原作:『アマルフィ』(真保 裕一/扶桑社)
「アンタがいるってことは、派手なことが起こるってことだろ?」
・ストーリー
クリスマスを目前にするローマ。G8開催直前のテロ予告を受け赴任してきたのは、日本国外務省邦人テロ対策室所属の外交官・黒田 康作。
赴任早々、邦人少女の失踪事件が発生。黒田は研修生の安達 香苗(演・戸田 恵梨香)とともに派遣される。
娘の失踪に不安がる母親・矢上 紗江子(演・天海 祐希)のもとに、電話が掛かってくる。
「娘は預かった。身代金は10万ユーロだ」
少女は誘拐されたのだった。咄嗟の一言から事件に関わってしまった黒田は、不安と絶望に打ちひしがれる紗江子とともに、犯人から出される要求に従いイタリアを駆ける。
イタリア警察や大使館からの圧力を受けながらも、黒田は"邦人を守るのが外交官の仕事"という自身の信念に従い捜査を続ける。
見えない犯人グループの目的。進展しないイタリア警察の捜査。やがて少女誘拐事件はイタリア全土を巻き込む大規模テロへ発展する。
・作品解説
小説版と劇場版ではかなりの違いが見られる。終盤は特に違っており、その理由として真保氏はあとがきに「こちらの最初のアイデアが気に入っていたので小説ではそちらを採用した」と語る。
また真保氏と監督の西谷 弘の二人により脚本が作られていたが、真保氏は「この映画の原作が自分の小説だと小説家仲間に思われたくない」とエンドクレジットへの載名を辞退、最終的に脚本を書き上げた西谷氏も載名を辞退したため、エンドクレジットに脚本の欄がなく、脚本家軽視を問題視された。
ちなみに全編イタリアロケを敢行したため、当時は「日本映画史上最高の制作費を費やした」と言われた。
外交官 黒田康作 †
2011年1月〜3月
製作:フジテレビ
原作:『天使の報酬』(真保 裕一/講談社)
『アマルフィ』から1年。舞台はサンフランシスコ、そして東京へ――
・ストーリー
邦人テロ対策室室長の安藤 庸介(演・鹿賀 丈史)の指示を受け、世界各地を点々とする黒田の次の任務はサンフランシスコで行われるWTO農業交渉会議に日本政府代表として出席する観上 祥子外務副大臣(演・草刈 民代)の警護だった。
サンフランシスコに赴いた彼に会いに来たのは以前の同僚で医師の霜村 毅(演・香川 照之)だった。
霜村の様子に不審を抱きつつも別れたが、後日の知らせに黒田は驚愕する。
霜村が飛び降り自殺を図ったのだった。
その頃東京では、捜査力はないが地図に関することなら飛びぬけている通称「地図力博士」こと、佃署刑事課の大垣 利香子刑事(演・柴崎 コウ)が管内で遺棄された死体を発見し、その捜査線上に重要参考人として霜村 毅が浮上した。
一方、サンフランシスコの空港に赴いた黒田は自分の目を疑った。自殺したはずの霜村 毅を目撃したのだった。
東京とサンフランシスコで起きた2つの事件に関係があると見た黒田は、11年ぶりに日本を訪れる。
相次ぐ殺人事件、黒田の心に大きく影を落とした事件の真相、不穏に動く有力政治家たち、それにヒューマンロンダリングを行ってまで日本に帰ってきた霜村――
黒田と利香子が一連の事件を追ううちに、アメリカ大手製薬会社・アトロン製薬による薬害事件と、事件の背後にある11年前の「大使館立て篭もり事件」の閉ざされた真実が徐々に明らかになる。
・作品解説
第1話と作中数箇所はアメリカでのロケが行われたため、海外のシーンでは空砲を用いた実銃が使用されている。
本作ではメキシコ大使館を霜村グループに手を貸すという扱いで登場させたため、放送後にメキシコ大使館から抗議を受け後日の放送で謝罪のテロップが流れた。
本作の最終回のエンディングは製作中であった次回作の劇場版「アンダルシア 女神の報復」に続く。
また本作のDVD BOXには特典として作中で重要な鍵となる11年前の大使館立て篭もり事件を描いたスピンオフドラマ「外交官 黒田康作 Message from 1999」が収録されている。本作はドラマ内で放送された事件の回想シーンと、新規に撮影された映像で構成されており、霜村 倫世(演・紺野 まひる)を主人公としているため織田の出演は回想シーンのみに限られている。
アンダルシア 女神の報復 †
2011年
製作:フジテレビ 配給:東宝
監督:西谷 弘
原作:『アンダルシア』(真保 裕一/講談社)
守るべきものは、誇りか、愛か
・ストーリー
スペイン北部の山間の小国アンドラで、日本人投資家で警視総監の息子の川島(演・谷原 章介)が遺体で発見された。
G8のためにパリを訪れていた黒田は安藤の指示でアンドラへ向かい、そこで第一発見者・新藤結花(演・黒木 メイサ)とインターポール捜査官の神足誠(演・伊藤 英明)と出会う。
多くを語ろうとしない結花と、捜査情報をひた隠す神足。そんな2人に疑念を抱きつつも、結花を保護するため3人は外交官・安達も駐在するバルセロナの領事館へ向かう。 が、突然正体不明の武装グループに襲撃される。 結花は国際テロ組織による襲撃だと怯え、黒田に国際テロ組織へのビクトル銀行の不正融資の取引がアンダルシア地方で行われることを話す。 黒田は神足に打ち明け摘発すべきだと話すが、警察庁と外務省のそれぞれを通じ神足と黒田に捜査停止命令が下される。
守るべきものは組織の体裁か、それとも正義か。その葛藤を抱えながらも取引を検挙すべく3人はアンダルシアへと向かう。
・作品解説
ドラマ版が放映されるのと同時に製作されていた劇場版第2弾。本作ではスペイン・アンドラ公国・フランス・日本でロケが行われ、前作・前々作以上に撮影費用を費やした。