ルール 無法都市 / Sinners and Saints
2010年、アメリカ映画
監督:ウィリアム・カウフマン
・ストーリー
ハリケーン、カトリーナによって甚大な被害を受け、未だにその傷を残すアメリカ、ルイジアナ州ニューオーリンズ。ある日、地元麻薬ディーラーの長、ウェド・バーナード(メソッド・マン)の弟である新聞記者のマルコムが一家共々惨殺されるという事件が起きる。ニューオーリンズ市警察(NOPD)の路上捜査課に属する元特殊部隊隊員の刑事ショーン・ライリー(ジョニー・ストロング)は上司のトラハン警部(トム・ベレンジャー)からマルコム殺人事件の件で殺人課への応援を命令される。
その夜、ショーンは旧友であり、同じく元特殊部隊隊員のコリン(ショーン・P・フラナリー)に出会う。民間軍事会社に勤めていたというコリンは土産として映画のDVDが入っているという包みをショーンに渡すと直ぐに去ってしまう。突然現れ、去ったコリンに対してショーンが困惑している間に同様の惨殺事件が起きる。
殺人課の刑事であるウィル・ガンツ(ケビン・フィリップス)とショーンは組んで捜査に当たることになるが、殺害された人物らの交友関係を洗っていく内に彼らはある目的で行動していた武装集団と一戦を交えることとなり・・・。
・作品解説
原題の“Sinners and Saints”とは、直訳すると「(道徳・宗教上の)罪人と聖人」。何度も不祥事、暴力沙汰を繰り返し、停職寸前の「罪人」と、危険を顧みず仲間を救おうとする「聖人」が同居するライリーを指している。中盤で命を助けられた信心深いウィルが、ライリーを感謝の意を込めて「聖人」と呼んだ。
独り身で軍隊経験のある白人警官と、家庭に恵まれた黒人警官の組み合わせは、『リーサル・ウェポン』シリーズを彷彿とさせるが、作風はかなり異なる。日本では劇場未公開で、DVDのみリリースされた「知る人ぞ知る」B級作品ではあるが、家族を失った陰を背負う主人公や、目的が読めず謎の多い敵役の残虐性、苛烈な銃撃戦など、見所の多い佳作。
音の演出では、AKMの甲高い発射音と、対照的なM3A1の回転の遅い発射音が再現されているなど、細かい点も凝っている。
『プラトーン』や『山猫は眠らない』のトム・ベレンジャーや、(出番は少ないが強烈な存在感の黒幕・リヒターを演じる)『リプレイスメント・キラー』、『エアフォース・ワン』のユルゲン・プロフノウなど、意外な大物の顔出しも楽しみの一つ。
ちなみに主演のジョニー・ストロングは、この作品のために元スぺツナズのソニー・プジカスとともにタクティカルトレーニングを行っており、実戦的なアクションを観ることができる。なお、このトレーニングの様子はYouTubeのTeamJ Storongというアカウントからアップロードされているため、興味のある方は観てみてはいかがだろうか。