シュリ †
2002,韓国映画
監督 カン・ジェギュ
世間ではその名前さえ知られていない韓国の情報機関OP。この組織でも指折りの情報部員であるユ・ジュンウォンは、1年前に出会った恋人、ミョンヒョンとの結婚を一ヶ月後に控えていた。
ところが、ある日のこと、韓国国内において数々の要人暗殺を行ってきた凄腕の狙撃手であり、北朝鮮の女性工作員であるイ・バンヒの犯行現場に遭遇。同じOP情報部員で盗聴のプロでもあるイ・ジャンギルと共に彼女の行方を追ううちに、さらなる工作員潜入を察知。
身柄の拘束と工作員潜入の目的解明に奔走するふたりだったが、その最中に陸軍によって輸送が行われていた強力な破壊力を持つ最新型の液体爆弾、CTXが陸軍兵士に化けた北朝鮮の工作員に強奪されるという事態が発生してしまう。
懸命の捜査の最中、OP内部での情報漏洩が発覚。ジュンウォンは怨嗟の宿敵である北の精鋭特殊工作要員であり、北朝鮮人民軍のパク・ムヨン中佐率いる5人の工作員に対して、“機密情報が漏れている”という事態を逆手に取り、KNP-SWATをぶつけて一気に事態を打開する作戦を決行し、大規模な市街地戦に。その結果として部下の工作員2名を倒し、ムヨンを厨房の一角に追い詰めたものの、イ・バンヒの乱入によって形勢を変えられ、肝心のムヨンを取り逃がしてしまう。
負傷したバンヒを尾行したジュンウォンは、思い掛けない事実(イ・バンヒとミョンヒョンは同一人物)を知り、愕然とする。一方、ムヨンは当初の目的である南北首脳会談を妨害し、両政府の首脳を暗殺する任務を達成するべく、陽動作戦を仕掛けて、OPの目を欺き、サッカースタジアムに強奪したCTX全量を仕掛ける。
日本でも根強い人気を持つハン・ソッキュ主演。
我が国における『韓流』のベースを作ったとも言われる作品で、原作小説とは少し異なる展開を見せるが、実銃を使用したガンアクションは印象的で、そればかりがクローズアップされがちだが、根底にあるのは“歴史という名の現実に裂かれた悲恋”である。
アメリカで女優としての演技を学んだキム・ユンジンが、任務を冷徹に遂行する工作員としての自分と恋人との平穏な暮らしの望む自分という二つの面に苦悩するヒロインを新人とは思えぬ演技力で演じている。