オープンボルト / Open bolt †
銃器の発火方式の一種で、「オープンボルト・ファイア方式」、または「オープン・ブリーチ」とも呼ばれる。薬室が開放(open)状態から発火動作がスタートするところから、このように呼ばれる。
発射の一連の流れとしては
1:コッキングにより、ボルトを後退させる。ボルトはボルトストップまたはシアーによって固定される。
2:引き金を引くとシアーが開放され、スプリングの力によってボルトが前進、この際マガジンから次弾を掴み薬室へ送り込む。
3:弾丸の薬室への装填と同時に、ボルトと一体の撃針(ファイアリングピン)が弾丸の雷管を打撃し、撃発(発射)する。*1
4:燃焼ガスにより弾丸は銃口方向へ前進、またボルトは後退し、その際空薬莢が排出される。
5:このときトリガーが引かれたままなら以後2〜4を繰り返す。トリガーから指が離れたならシアーが起き、ボルトを後退したところで固定して、その前進を阻み射撃は停止する。
6:マガジンが空になると、発砲によってボルトの後退が起きないため、ボルトはスプリングの作用によって前進位置に留まる。
ストレートブローバック作動と組み合わせた場合は、フローティング式のファイアリングピンが不要となることから、構造的にシンプルかつ安価で強い。またメンテナンスも容易であるため、突撃銃のような新しい個人用フルオートマチック火器が登場したのちもウージーやベレッタ M12などのオープンボルト式の短機関銃が数多く開発された。ドイツのMP5登場以前の短機関銃では主流だった発火方式である。
また、射撃停止時に薬室が開放され、薬室内に弾を残さない構造から、フルオート射撃を主とする機関銃では、薬室内の熱で弾薬が自然発火してしまうコックオフ現象の防止と、銃身内のエアフロー確保による冷却のため、現代ではオープンボルト式が主流である。
しかし、単純な構造ゆえのデメリットもある。
まず、ボルトが前進位置にある状態で落下させるなどの衝撃が加わるとボルトが慣性によって動作してしまう事があり、中途半端な移動のためシアーがかからず暴発する危険性がある。また弱装弾や装薬量の少ない不良弾を使用してしまうと、ボルトを後退させるエネルギーが不足してボルトがシアーまで後退せず、弾倉の弾を撃ち尽くすまで射撃サイクルが停止しない危険性がある。
そして構造上、撃発するよりも前にボルトの動作が始まることから、慣性によって銃がぶれてしまうため、とくに小型軽量な銃種では命中精度はあまり期待できない。
そのため、MP5のようなクローズドボルト式の高い射撃精度を持つ短機関銃が台頭したことから、オープンボルト式の短機関銃は軍・法執行機関でのシェアを大幅に縮小し、「低性能だが安価な銃」というニッチへと居場所を移している。