ワルサー P99 / Walther P99 【自動拳銃】 †
ワルサー社が1997年に発表したストライカー式ポリマーフレーム自動拳銃。
当時ほぼグロック一強となっていたポリマーフレームピストル市場に参入するため、新規なアイディアが多く盛り込まれた。
本銃のグリップは3種のバックストラップを交換することで、手のサイズに合わせて太さを変更可能となっている。トリガーのポジション変更も可能で、保持しやすいグリップ形状と合わせ、人間工学的に優れたモデルとなった。更にH&K社のUSPシリーズと同様のアンビマガジンリリースレバーを備えている。
また、ストライカー式でありながら、コンベンショナルダブルアクションとなっている。スライドをわずかに引いてコック、スライド上部のデコッキングラッチを押してデコックと、弾丸の装填&排莢を伴わずにストライカーのみを操作することが可能となっており、オーソドックスな露出ハンマータイプのピストルのように、ダブル・シングルの両アクションを状況に応じて使い分けることができる。
スライドにはワルサーピストル伝統のコッキングインジケーターとローディングインジケーターが備えられ、前者でストライカーがコックされているか否かを、後者で薬室内に弾丸が装填済みか否かを判別できるようになっている。
ワルサーPPシリーズのようなベストセラーとはならなかったものの、現在ではヨーロッパ各国の警察機関で広く採用されており、ポーランド・トルコ・アメリカでライセンス生産も行われている。
初期モデルはH&K社のUSPシリーズのように独自規格のアクセサリーレールを用いていたが、2004年に登場した第2世代モデルではより一般的なウィーバーレールに変更され、同時に左側面のみであったスライドリリースレバーも両面に搭載されアンビ化された。
2008年末には第3世代となる新モデルが登場。スライドの形状やセレーション、アクセサリーレールのスロットなどが一新され、公的機関にのみ供給されていたようだが、2011年に「PPQ」という名称で、改めて発表された。
PPQはP99と基本構造を同じくするが、名前のとおり後継というわけではない。構造的にはP99にかなり近いものの、パーツの互換性は殆どない。グリップをより人間工学的に再設計して握りやすくし、バックストラップ交換システムも受け継いだ。現在のところ、口径は9mm×19と.40 S&W、.45ACPのみである。
このほか、PPQの廉価版である「PPX」モデルや、「Creed」モデル、.380ACP仕様の「PK380」などのモデルもラインナップされている。また法執行機関での訓練を想定し、ガスブローバックで駆動するゴム・ペイント弾仕様のトレーニングモデル「P99RAM(Real Action Marker)」も用意されている。
2011年までグロックスタイルのトリガーセーフティを採用した「P99QA(Quick Action)」なるモデルも存在したが、現在では型落ちしており、よりコンパクトなサブコンパクトサイズのPPSシリーズのみが残っている。
このほか、映画「007」で使用された記念に生産された「MI-6」モデル、西暦2000年を記念した「Year2000」モデルなどの少数生産モデルも存在する。
日本の遊戯銃業界では、ワルサー社の公式ライセンスを取得しているマルゼン社のモデルが特に有名である。
モデル | 解説 |
P99DAO | ダブルアクションオンリー。 |
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P22 | P99を75%に縮小した、.22LR弾を使用するモデル。 ハンマー発火式に変更、セフティレバーを追加。 |
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S&W SW99 | S&WによるOEM生産モデル。 |
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PPS | P99を元に開発したサブコンパクトクラスのモデル。 実質PPKの後継機種となっている。 |
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P99 RAD | ポーランドのラドム社のライセンス生産モデル。 |
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