ガン=カタ(銃=型) / Gun=Kata †
映画『リベリオン』で初めて導入されたガンアクションの新スタイル。考案したのは、同作品の監督カート・ウィマー。
実際の撮影においては、スタントコーディネーター兼殺陣師のジム・ビッカーズとそのアシスタントであるマイク・スミス、ブラッド・ボビーが、ガン=カタをより戦闘術らしく演出している。
※以下の文章は、基本的に映画『リベリオン』内での設定に準拠するものとする。
ガン=カタ
数千年に渡るガンファイトの研究は、遂に射程・軌道の予測可能な要素の抽出に成功
敵対者が幾何学的な配置であるならば、その動きは統計データから予見できる
ガン=カタでは銃を総合的に活用する
最大限の殺傷効果を生む位置を維持し、最も効果的な射撃を可能にしつつ、
敵の銃撃は、データから位置と弾道を予測し、回避することができるのだ
ガン=カタを習得すれば、攻撃能力は少なくとも120%、防御面では63%向上する*1
ガン=カタを極めた者は、敵対者にとって脅威の存在となるのだ
≪テトラ・グラマトン政党 デュポン副総裁のスピーチより≫
・ガン=カタとは?
銃撃戦を統計学的に分析し、敵の攻撃の軌道と射程を数理学的に導き出すことで、常に回避行動を取りつつ攻撃を行うことが可能な戦闘術のこと。武術と銃撃の融合…と説明されることがあるが、それは徒手空拳や蹴りでの格闘と銃撃の組み合わせという意味ではない。武術から取り入れた要素はあくまで「型」であり、その動きをガンファイトに昇華させたのがガン=カタである。
今までの銃撃戦は「撃つ→隠れる→再装填→撃つ……」というように、一旦動きが中断されるという特徴があった。そこから「隠れる」の動作を取り除くことで、流れるような銃撃戦を実現。加えて、CG・ワイヤーを一切使わない生身の演技と、スローモーションを極力排除したスピード感重視のガンアクションも魅力のひとつ(とは言っても、部分的にスローモーションや早回し撮影を行うことで、ガン=カタの驚異的な能力を演出しているのも事実)。
「型」以外だと、昨今のアクション映画のトレンドであるCQCの要素を採り入れた格闘戦も確認できる。日本文化の影響もガン=カタに見られ、代表的なものとして「座頭市スタイル」と呼ばれる神速の殺陣や、決めポーズとして歌舞伎の「見得」がある。
統計学に裏打ちされた圧倒的な攻撃力と絶対的な回避力は、無駄な動きが全く見られない銃撃スタイルを生み出した。加えてプロジウムを服用しているクラリックは、戦闘の支障となる余計な感情に惑わされること無く、正確無比に敵を倒すことを可能とする。
今まではただ乱射すれば良かったガンアクションに、新たな可能性(特に「一人対多人数の戦闘」の新しい描き方)を見出した革命的なアクションスタイルである。
・ウルトラヴァイオレットでのガン=カタ
ウィマー監督による次作品『ウルトラヴァイオレット』では、ガン=カタの別バージョンを見ることができる。
ここでは、二人以上の敵を同じ射線軸上に誘導することで、同士討ちを狙うという荒技を披露している。ガン=カタの回避能力を最大限に引き出したこの技術をマスターすれば、自分自身は一度も銃を使うことなく(もしくは銃を所持していなくても)、敵を自滅に追い込むことが可能となる。
同作品のオーディオコメンタリーで主演のミラ・ジョヴォヴィッチは、一度も相手に触れずに倒す技なので、ノータッチのガン=カタという呼称を用いている。
・他作品に見るガン=カタ
ガン=カタの登場は多くのガンアクション系メディア作品に影響を与えており、漫画『ゼロイン』の「コマンド ゼロ」など、明らかにガン=カタにインスパイアを受けたと思われるシーンも少なくない。しかし一方で、二番煎じの出来だったり、単なる模倣に終わっている作品も多いのが現状である。
そういった作品のなかで一線を画する存在として、二次創作作品(同人ノベル)ではあるが、デジタルノベルの『浄火の紋章』が挙げられる。これはPCゲームブランド「Nitro+」のシナリオライター・虚淵玄とフリーイラストレーター・中央東口が製作した『リベリオン』の前日譚(プレストーリー)で、主人公はオリジナルキャラクターのクラリックだが、プレストンやパートリッジが登場するシーンもある。他作品が単純にガン=カタのアクション面を描いているのに対し、本作は「型」の部分に焦点を当てた興味深い作品である。
このページに掲載されている一部の文章は、映画『
リベリオン』からの引用です。