フランキ スパス12 / Franchi SPAS 12 【散弾銃】 †
全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
800mm(1070mm) | 4.4kg | 12ゲージ | 2/6/7/8+1 | イタリア |
テロの嵐がヨーロッパ中で吹き荒れた1970年代、イタリアでも極左組織『赤い旅団』によるテロ事件が頻発していた。この事態を憂慮したイタリア軍が、フランキ社に戦闘用ショットガンの製作を依頼し、1979年に完成したのがスパス12である。
『スパス(SPAS)』は『Special Purpose Automatic Shotgun』または『Sporting Purpose Automatic Shotgun』の略称。同社のPG80をベースに、各部の構造を強化し、セミオートとポンプアクションを切替可能とした特異な散弾銃である。これによりセミオートの連射性能に加え、セミオートを作動させるには回転力不足となる弾薬であってもポンプアクションによって排莢と装弾が行えるため、様々な弾種を扱うことが出来た。切替はフォアエンドの真下(膨らんでいるところ)の切替用ボタンを押しつつ、フォアエンドをスライドさせてA(オートマチック)またはM(マニュアル)の表示に合わせることで行う。
銃身部は、多数の放熱口が空けられた大型のヒートシールドで全体がカバーされており、これが本銃の特異なルックスを形作っている。そのぶん、他の散弾銃と比べてやや重くなっているが、より安定した射撃が可能である。
反面、故障率が高く、さらに再装填・弾薬交換はレシーバーの左サイドにある「キャリアキャッチ・ボタン」*1を押しながらでないと行えないという特有の構造となっていた。また厳つい外観とは裏腹に、全長の長い3インチ・マグナム弾を使用できない(発砲後に薬室から薬莢が排出されなくなる)仕様であった。
イタリアの軍・法執行機関以外ではフランスやイタリアの対テロ機関などが装備していたが、ベネリ社の新型など、より優秀な後発製品の登場で販売が次第に落ち込み、2000年に生産終了となっている。
派生形として、ポンプアクションオンリーの「SAS12」とセミオートオンリーの「LAW12」が存在したが、これらも生産終了となっている。
フランキ社はその後、後継のスパス15へと主力製品をシフトさせている。
実戦での運用には不安も多かった銃だが、唯一無二ともいえるその特徴的な外見は人気が高く、根強いファンがいるようだ。『ターミネーター』をはじめとする映画やゲームなど創作物での登場も多い。
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