ボルトアクション / Bolt action †
ボルトを手動で操作して弾を装填・排莢する機構のこと。
19世紀前半に、ヨハン・ニコラウス・フォン・ドライゼによって作られたドライゼ銃がボルトアクション銃の起源とされる。同機構は発砲のエネルギーを利用した自動式以前の連発機構としては画期的な速射性を有していたことから、19世紀末から普及。各国の制式小銃として第二次世界大戦時代まで活躍した。三八式歩兵銃、Kar98K、スプリングフィールド M1903、モシンナガン M1891、リー・エンフィールドなどがその代表的なものである。
自動小銃が普及した現在では速射性は劣るものの、シンプルな構造ゆえ、コスト、命中精度、堅牢性、整備性などの長所があり、未だに様々な役割で活用される。軍・法執行機関では狙撃銃に、民間では猟銃に、最も一般的な手動式アクションとして広く使用されている。
ボルトアクションには主に、「回転式(ロテイティング・ボルト、ターンボルト)」、「直動式(ストレートプル)」の二種類が存在する。
「回転式」は、一般的な方式であり、ボルトハンドルを上に起こしてボルトを回転させてから、これを後方に引くことで排莢、ボルトを再び前方に押して装填、ボルトハンドルを下に倒して薬室を閉鎖するというものである。
一方で「直動式」は、ボルトハンドルを引いて戻す(手を前後させる)だけで、排莢/装填を行うという方式であり、回転式に比べて動作が短縮されている。操作を素早く行うことが可能であり、ボルトアクション式の銃の欠点である速射性がある程度改善されたものになっている。但し、構造が複雑化したり、ボルトが不意に開いて、泥や砂塵等が入って故障し易くなる等といったデメリットもある為、こちらはマイナーな部類に入る。過去のものではスイスのシュミット・ルビンM1889*1、近年のものではドイツのシグブレーザー R93等が代表的。
現在のメディアでは主にレミントン M700など狙撃銃としてのイメージが強いが、これは現代における精度に特化したモデルのもので、第二次世界大戦やそれ以前の時代の(特に制式小銃として量産されたような)ボルトアクション小銃は技術的なレベルの関係で現代のものほど卓越した精度を有するものではない。そうした旧来の小銃の機械的な精度は、現代の自動小銃、ないし突撃銃と呼ばれる類のものとそれほど大差はない。