銃剣 / Bayonet †
概要 † 銃口の先端に装着する刀剣。元々『バヨネット(Bayonette)』とはフランスのバイヨンヌ地方で生産される小型のナイフを指す言葉だったが、17世紀にこの地方の農民が反乱の際、弾薬の不足を補うため銃の先端にナイフを装着したのが切っ掛けでこのように呼ばれるようになったという。英語圏では『Bayonet(バヨネット、またはバイヨネット)』と呼ばれる。また、銃剣を銃に取り付ける行為は日本語では『着剣』と言う。 歴史 † 火縄銃やフリントロック式銃などかつての銃(歩兵銃)は連射ができないため射撃の合間に隙があり、その間に懐に飛び込まれ白兵戦に持ち込まれる危険があった。そのため銃を装備した歩兵には、パイク(槍の一種)など旧来の刀剣類で武装した兵が護衛につき更にサイドアームとしてサーベルを所持していたが、銃剣はその接近戦での弱点をカバーするものだった。初期の銃剣は銃口に直接差し込んでいたが発射が困難なため、1680年にフランスの将軍であるセバスティアン・ル・プリストル・ド・ヴォーバン*1が考案したバレルに取り付けるソケット式銃剣が登場し、その後銃口下の着剣装置に装着する形が一般的になって現在に至っている(例外としてH&K G3やGIAT ファマスのように銃口の上に着剣する物や、イジェマッシ AN94のように銃口の側面に着剣する物もある)。 やがて戦場での戦闘距離が短くなり、接近戦に強い短機関銃や突撃銃が主流になると銃剣の重要性も徐々に低下していったが、現在でも白兵戦での『最後の切り札』であり、ベトナム戦争やフォークランド戦争、そしてイラク戦争でも銃剣戦闘の記録がある。また訓練時の士気高揚、閲兵式などでの儀仗的な使用法など、副次的な意味も小さくない。このため現代であっても銃剣は兵士の標準的装備から外れることなく、多機能ナイフ機能を兼用するものが使用されている(後述)。 視覚的な威圧効果も馬鹿にならず、着剣した銃をただ構えているだけで(実力行使を伴わなくとも)周囲を十分に威嚇・緊張させることができるため、パトロール・警備において着用されるケースも存在する。また儀礼的な意味から近衛兵の銃には必ずと言っていいほど取り付けられている。 第二次世界大戦以降は連発式の銃が主力になったことから銃剣突撃が行われる機会は激減しており、米軍では1951年に、英国軍では1982年に行われたものを最後に2000年代までは記録に存在しなかった。 なお、第二次大戦までは『スパイク型(槍型)』、あるいは切っ先の長い『サーベル型』の銃剣がよく用いられたが、長い物は刺した後で相手から抜くのに手間取ることがあり、現在はアメリカ軍のM4銃剣やAK47用の銃剣のような全長30cm前後(刃の長さは15〜20cm)の『ナイフ型』が主流となっている。 余談 † 変わったところでは、近年、CZ75 SP01のオプションとして銃剣が発表され、世間を驚かせた。拳銃用の銃剣が大々的にリリースされた初めてのケースである。もっとも拳銃も単発式が主流であった時代には刃物が装着されたものは珍しいものではなく、フリントロック式の拳銃では固定式の銃剣が取り付けられていた物もかなりの数が作られ、また米海軍でも南北戦争付近まで接近戦用の刃物を備えた拳銃を採用していた。WWI時にはイギリスで塹壕戦用に銃剣付きの回転式拳銃が開発された事がある。変わり種としては19世紀後半に、折り畳み式の銃剣が付きグリップがナックルダスター*2になっている『アパッチ・ピストル』という回転式拳銃があった。 フィクションでは銃剣の名前通り着剣状態での使用が大半だが、中には漫画『力王』の雑賀力王や特撮番組『仮面の忍者 赤影』の卍党下忍の様に銃剣をナイフとして使用する例もある。また、上記のナイフ型銃剣は軍用ナイフの一種として扱われる場合が多い。 このページの画像はウィキメディア・コモンズから転載しています。
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