レバーアクション / Lever Action †
その名のとおり、トリガーガードと一体になったメリケンサック状のレバー(ループ・レバー)を前後にひねって、弾薬の装填・排莢を行う作動方式。レバーを前にひねると排莢し、後ろに戻すと次弾が装填される。
レバーアクション式の銃は時折「リピーター」と称される。
ウィンチェスターをはじめ、ヘンリー M1860など主として旧型のライフルに用いられた作動方式だが、M1887など一部の散弾銃にも応用されている。もっとも散弾銃の場合、大型の12ゲージなどとは相性が悪く、.410ゲージ程度が実用的な限度のようだ。
代表的なウィンチェスター M1873の場合、内部にルガー P08のトグル(尺取り虫)を上下逆さまにしたような機構が組み込まれており、レバーを操作するとトグルが折れ曲がって空薬莢を引っ張り出す。P08をひっくり返して、トグルを手動で操作する様子を思い浮かべるとわかりやすい。
シンプルなレバー操作のため比較的連射が行いやすく、ポンプアクションと比べてフォアエンドが動かないので、しっかりと肩付けしたままでアクションを行える。
アメリカの西部開拓時代には狩猟用、自衛用などに広く愛用されたが、当初は拳銃弾など威力・射程の低い弾薬しか使用できなかったため、軍用としてはあまり成功しなかった。その後改良され、強力なライフル弾を使用できるレバーアクション銃も登場したが、その頃には新世代のボルトアクションライフルが台頭し始めており、発展の限界に達しつつあったレバーアクションは次第に衰退していった。
現在でもアメリカを中心に根強い愛好家がおり、いくつか企業が生産を行っている。日本では知名度がないが、ヴィンテージなデザインのものから、ステンレスやポリマーなど近代的な素材を使用した実用モデル、可変ストックにレイルハンドガード、蓄光アイアンサイトまで備えた現代化モデル(モスバーグ 464 SPX)まで多様な製品が存在する。
日本の狩猟界でも自動銃より安全性が高く、ボルトアクションよりも連射が効き、その上比較的軽量なため、愛用しているハンターは多いようだ。
なお、このレバーアクションならではのガンプレイに、『スピンコック』がある。
『スピンコッキング』、または『スピンローディング』とも言い、ループレバーに手を入れたままで銃全体をぐるりと回してコッキングするアクションである。手を動かすのではなく銃の方を回して装填するわけで、スクリーンでは馬やバイクにまたがりながら片手でコッキングするシーンがよく見られる。
古くは西部劇でジョン・ウェインなどが、新しいところでは『ターミネーター2』でアーノルド・シュワルツェネッガーが披露している。大柄なJ・ウェインやシュワルツェネッガーが、これまた大型のレバーアクション銃を軽々と振り回してスピンコックすると実に決まる、正に『大技』系のガンプレイだが、レバーアクション銃自体が希少になった現在では目にする機会も少なくなっているのが惜しいところだ。
なお、原型の銃でもスピンコックはできなくはないが、普通は回しやすいように大きめのループレバーを備えたカスタム銃が用いられる。代表的なのはTVドラマ『拳銃無宿』のランダル(ランドール)カスタムだが、よく見ると『ターミネーター2』でも、シーンによってループレバーの大きいアクション用の銃に持ち替えているのがわかる。
また、不慣れな人間が下手にスピンコックをやると、銃を肩などに激しくぶつけてヒジョーに痛い……、らしい。