フリントロック / Flint-lock †
17世紀後期にスナップハンス・ロック(燧発)式から発展し完成した前装銃の点火方式の一つで、右向きのコックに挟まれた燧石をバネを使ってバッテリー*1と呼ばれる鋼鉄の部品に叩きつけ、火花を起こして開いた火皿の上の発射薬に点火する。
ホイールロック方式同様に火種が不要で悪天候に強く歯車もなくなったことで、ホイールロックより軽量かつ比較的安価に製造することが可能となり、ヨーロッパやオスマン帝国で爆発的に普及した。フリントロック銃は軍用銃の主力となり兵隊同士で密集形態を執ることが出来るようになるなど歩兵の戦術が大きく変更されることになった。また民間用の銃としても決闘用の拳銃や、二連式散弾銃などの猟銃などで多く使用された。
しかし湿気や埃に弱いという欠点は改善できず、インドの様に高温多湿の気候や砂埃でうまく作動せずに従来の火縄銃の方が多用された地域や、海賊のように潮風などで不発が多くほとんど鈍器として使用することも多かった場合もあった。その他に点火率でホイールロック式より劣っていた。
主な物としてはイギリスのブラウンベスやアメリカのペンシルヴェニアライフル、フランスのシャルルヴィル・マスケットなどがあり、18世紀には騎兵が使うカービンのマスケトゥーン(masketoon)が登場した他、中には斧や剣、メイス、ナイフとフォークと組み合わせた物やイギリス海軍が使用した複数のバレルの「ボレー・ガン」などの変わり種も作られた。アフガニスタンでは手製のジェザイルという物も作られている。
日本では『燧石』式や『火打石』式とも呼ばれる。