7.62mm×39弾 †
1943年に旧ソビエト連邦で開発された自動小銃/突撃銃用の弾薬。旧東側諸国や発展途上国にも採用され、M43(M1943)等とも表記される。
旧ソ連は帝政ロシア時代から自動小銃で先行しており、フェデロフM1916等の既存のライフル弾を使用する自動小銃を運用していた。しかし、小銃の自動化に伴って激増するであろう弾薬消費量に対して資源の消費量を抑制する必要があったため、当時ではもはや不要となりつつあった遠距離目標に対する威力を代償にして、鉄や銅、装薬といった材料を節約できる小型の新型弾薬が要求された。こうして1943年に制式化されたのが7.62mm×41弾M1943である。
この7.62mm×41弾M1943が更に改良されたのが、1949年に採用されて現代でも普及している7.62mm×39弾M1943である。
7.62mm×39弾は、薬莢に強いテーパーがかかっている特徴がある。これにより薬室からの抜弾抵抗が減り、作動信頼性を向上させることができた。また従来の小銃弾から大幅に短小化した結果、携行弾数やフルオート時の制御性に優れ、後に登場した西側諸国の弾薬7.62mm×51弾より優れた突撃銃用弾薬となった。
一方で、テーパーのかかった薬莢の為、マガジンが"バナナ"のように大きく曲がった形状となり、携行には扱いづらくなってしまった。この為、後継の5.45mm×39弾では、高速・小口径化と共にテーパーを緩くする設計がなされた。また反動が強い他、7.62mmという大口径から後の小口径高速弾と比較して低伸性に劣り、中・遠距離で当てにくい等、現代の弾薬に比べて見劣りする部分もある。
しかし、世界中に広まった事からどの国や地域でも入手でき、極めて安価*1という側面も持っている。イラクやアフガニスタンの法執行機関の再建を支援しているアメリカは自国の5.56mm×45弾の代わりに7.62mm×39弾を供与している。
日本でも一時期、スタームルガー ミニ30などと共に狩猟用として導入されたが、広く普及するには至っていない。