ステアー TMP / Steyr TMP 【短機関銃】 †
モデル | 全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射速度 | 発射形式 | 製造国 |
TMP | 282(−)mm*1 | 1190g | 9mm×19 | 15/20/25/30/32 | 900発/分 | S/F | オーストリア |
---|
SPP | 322(−)mm | 1255g | 9mm×19 | 15/20/25/30/32 | − | S |
---|
MP9 | 303(523)mm*2 | 1400g | 9mm×19 | 15/20/25/30/32 | 900発/分 | S/F | スイス |
---|
TP9 | 303(−)mm | 1250g | 9mm×19 | 15/20/25/30/32 | − | S |
---|
TP9SF | 303(−)mm | 1250g | 9mm×19 | 15/20/25/30/32 | 900発/分 | S/F |
---|
オーストリアのステアー・マンリッヒャー社が1994年に開発した、警察・特殊部隊向け小型短機関銃。機関拳銃に分類されることもある。TMPとはTactical Machine Pistolの略である。
全長30cmと小型な上、アルミ合金とプラスチックの多用により、このサイズの短機関銃としてもかなり軽量であり、樹脂コーティングにより寒冷地や炎天下でも扱いやすい。
撃発はクローズドボルト、作動はローテイティングバレルを用いたショートリコイル方式。普通、この種の小型・軽量の短機関銃は反動が大きく、コントロールが厳しくなる傾向があるが、ボルトの動作に加えバレルの後座・回転によって発砲時のショックを吸収、軽減する設計としている。またフォアグリップも標準で備え、これを保持することでフルオート射撃時のマズルジャンプを抑制できる。
チャージングハンドルはAR15に似た設計で、レシーバー後端にコッキングピースが配され、射撃時にボルトと連動しない。
セレクターはグリップ付け根に配されたクロスボルト式ボタンとなっており、左側から浅く押し込むとセミオート、深く押し込むとフルオートとなる。右側から押し返すことで、セミ、セイフ位置に戻すことができる。銃口周囲にはネジが切られ、サプレッサーの装着を可能としている。
また、プラスチックの多用や製造の効率化により、価格はMP5Kの6割程度と安価に抑えられていた。
バリエーションとして、射撃をセミオートに限定し、フォアグリップを廃した市販向けピストルモデルのSPP(Special Purpose Pistol)が存在する。TMPとはサプレッサーなどのオプションが共用可能。
後発だけあって優れた特徴も多いTMP/SPPだったが、既に市場を寡占していたMP5の牙城を崩すことはできなかった。
ちなみにフィクション作品の映像では、フォアグリップのないTMP(つまりSPP)がフルオート射撃を行っているシーンが登場することがあるが、ハリウッド映画に限って云えば、登場するフルオートSPPはステージガン会社の専門のエンジニアによってフルオートマチックにコンバートされたものである。
2001年にはステアー社での生産は終了したが、権利を購入したスイスのBrügger&Thomet(ブルガー&トーメ)社によって、TMPを元にMP9短機関銃が開発されている。
MP9は、基本的な構造はTMPから引き継ぎながら、グロックタイプのトリガーセイフティやマウントレールを追加し、着脱式だったショルダーストックを、標準装備のサイドスイング式に変更している。構造の強化も行われ、より扱いやすいモデルになっている。
バリエーションとして、フォアグリップの代わりにアンダーマウントレールを配したセミオートオンリーの「TP9」。そのセレクティブファイアモデル「TP9SF」が存在する。
2003年開催のセキュリティーショー、ミリポル・パリでは、MP7で使われる4.6mm弾を使用する『MP46』という試作モデルが披露された。MP7と同じく、ややカーブのついたマガジンを持つのが特徴である。また.45ACP弾を使用する「MP45」や6.5mm×25CBJ弾を使用するモデルも試作された。2011年には、クロスボルト式だったセレクターをH&K風のレバー式に変更した「MP9-N」「TP9-N」モデルが登場している。
TMPはオーストリアやイタリアの法執行機関にて一部採用されたのみであったが、MP9はヨーロッパ法執行機関やアジアの軍特殊部隊に広く調達されており、本国スイスではややこしいが陸軍に「MP14」の名称で採用されている。
2015年にはオランダ空軍でもパイロットのPDWとしてMP9を採用した。
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。