イサカ M37 / Ithaca Model 37 【散弾銃】 †
全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
1158〜1260mm | 2.63〜3.36kg | 12,16,20ゲージ | 4+1,7+1 | アメリカ |
アメリカ、ニューヨーク州トンプキンス郡イサカの銃器メーカーであるイサカ・ガン・カンパニー製のポンプアクション散弾銃。1937年から現在も販売されている名銃である。
特徴として、多くのレピーターショットガンが採用している「下装填・右排莢」ではなく、下面の装填孔が排莢孔を兼ねる「下装填・下排莢」の機構を採用している。
装填孔が排莢孔を兼ねるこの設計は、開口部が少なくなる分、従来のものより構造的に強くなる。その分レシーバーの軽量化も容易で、イサカM37は全スチール製にもかかわらず、乾重量で最大3.4キロという軽量化を実現した。
また、開口部が少ないことは塵芥の侵入を防ぐ上でも有利で、使用環境が非常にラフな状況で使われることが多い軍用銃としても広く用いられ、第2次世界大戦からベトナム戦争まで、相当数が前線に支給された。下排莢ゆえ利き手を選ばず、トリガーを引いたままフォアエンドを操作して撃発する連続射撃も可能なため*1、軽量で頑健、そのうえ使い勝手の良いM37は、兵士たちに特に好まれたと言う。しかしこの機構は意図的な暴発を起こすのに等しく、銃の取り扱いに不慣れな者には危険極まりないため、1990年までに廃止されている。
ちなみに『下装填・下排莢』のアイディア自体はイサカのものではなく、ジョン・ブローニングによるもの。また彼のパテントを元に「ピダーセン・デバイス」で知られるレミントン社の技師ジョン・ピダーセンが設計したレミントンM17散弾銃が、この方式を採用した最初のショットガンであった。
しかし、レミントンはM17以降、同様の設計を採用することはなく、イサカ社は1937年にM17のパテントの失効を待ってこの銃の販売を開始した。
M37は米軍のほか、ニューヨーク市警やロサンゼルス市警を始めとするアメリカ各地の法執行機関でも多く採用された。
現在ではレミントン M870やモスバーグ M500などに主流を譲っているが、未だ現用に耐える優れた設計のポンプアクション散弾銃として、M37フェザーライトを始めとする各種モデルが販売されている。
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