地獄の黙示録 / Apocalypse Now †
1979/2001年、アメリカ映画
監督:フランシス・フォード・コッポラ
・ストーリー
サイゴンの安宿で、いつ来るか分からない任務に待ち焦がれるアメリカ陸軍大尉のウィラード(マーティン・シーン)。酒浸りの日々が続いたある日、彼の元にとびきりの任務がやってくる。
ニャ・チャンにある情報局に連行され与えられた任務とは、元グリーンベレーのカーツ大佐(マーロン・ブロンド)の暗殺。彼はカンボジア国境に独自の帝国をつくり、山岳民族を率いて悪行の限りを尽くしているという。そこで軍上層部はウィラードをカンボジアに潜入させ、カーツ大佐を始末させようというのだ。
PBR河川哨戒艇に乗り込んだウィラードと行動を共にするのは、一癖も二癖もある乗組員たち。任務の詳細を知らない乗組員たちは、陽気な雰囲気で川を上っていく。
しかし目的地に近づくにつれ、ウィラードは今回の暗殺任務に疑問を抱くようになる。資料によると、カーツ大佐は軍所属時代に独断でベトナム人のスパイを処刑し、殺人罪に問われているという。戦場における殺人罪と、命令で敵兵を殺すことの違いは何か。戦争という巨大な狂気が渦巻く中、ウィラードは任務を果たすべくジャングルの奥地へ歩を進めるのだった―――
・作品解説
原作は、ジョゼフ・コンラッドの小説「闇の奥」。コッポラの本作は、翻案にあたる。カンヌ映画祭でのパルム・ドールをはじめ、多くの映画賞を獲得した評価の高い作品だが、PBR河川哨戒艇の活躍や公開後有名になったタイガーストライプ迷彩のBDU(ウィラード大尉が着用)など、細部のミリタリーガジェットについても見所が多い。
特に有名なのは、キルゴア中佐のヘリ部隊がチャーリーポイント(ベトコン支配区域)を攻撃するシーンであろう。M60C、M134、ロケットポッド等で武装、おまけに大型スピーカーを積んだヘリ部隊が、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』を鳴らしつつベトコンの村を攻撃する。ロケの行われた現地のフィリピン軍の協力により撮影されたこのシーンは、実戦さながらの凄惨な迫力を生み出している*1。これは後の作品にも大きな影響を与えた。
2001年には、コッポラ監督自身が再編集し、約50分もの未公開シーンを追加した『地獄の黙示録・特別完全版(原題:Apocalypse Now Redux)』が公開された。
決めゼリフ †
■ベトコンの拠点でのサーフィンを咎める部下に対して、キルゴア中佐が放つ台詞:
"Charlie*3 don't surf!"
(ベトコンがサーフィンをするか!)
ちなみにこの台詞は、ゲーム『コール オブ デューティ4: モダン・ウォーフェア』のステージ名(ステージ5)に使用されている。
■ベトコンが潜むジャングル地帯を爆撃した後のキルゴア中佐の台詞:
"I love the smell of napalm in the morning."
(朝のナパームの香りは格別だ)
この台詞は、アメリカ映画協会による名台詞ランキングで第12位に選ばれている。