マウザー Kar98K / Mauser Kar98K 【小銃】 †
ドイツが1930〜1950年代まで制式採用していたボルトアクションライフル。「Kar」はKarabiner(カラビナー:騎兵銃)、末尾の「K」はkurz(クルツ:ドイツ語で短いの意味)。
第一次大戦後、自動式歩兵銃の可能性を見出したドイツ軍だったが、研究開発しようにも敗戦によるベルサイユ条約の莫大な賠償金のため資金が無く、やむなく既存の小銃を改良する事で当座をしのぐ事になった。そこで当時の制式小銃Kar98Bをベースに戦訓を取り入れた細かい改良を加え、1930年代に短銃身化などの最終的な改修を加えた物がKar98Kである。当時のナチスが偽証した可能性はあるものの、元はドイツ郵政省向けに開発されたものだった。
構造、信頼性、命中精度など当時の小銃としては優れた性能を持ち、Gew98と共にドイツ歩兵の主力火器として活躍。1945年の終戦までに1500万挺が生産され欧州全域、北アフリカ、ロシアなど各戦線に投入された。
戦後もソビエト連邦によって接収された数百万挺が各国の共産主義勢力に輸出されたほか、イスラエルや旧占領地域でも生産運用された。
イスラエルマウザーと呼ばれるモデルは、使用する弾薬を7.62mm×51弾仕様に変更したもの。当時採用されたFN FALに合わせたためだ。
各種バリエーション †
モデル | 特徴 |
クリークスモデール(戦時型) | 1944年から製造された、戦時省力型。着剣装置、クリーニングロッド、ストックの円盤状プレート(通常分解用の冶具)などが省略された。 |
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狙撃銃モデル | 工場でのテストで選り分けられた高精度なKar98Kに、4〜6倍のスコープを装着したもの。 |
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降下猟兵モデル | 降下猟兵(空挺兵)用に作られたショートモデル。折り畳みストックと着脱式銃身を備えた実験的なモデルも作られた。 |
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FN M1924 | 第一次大戦後、FN社で改良生産された型。中華民国等に輸出された |
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狙撃銃モデルは総称して「Kar98KZF」とよばれ、数種類のパターンがある。
「ZF」とは「Zielfernrohr(照準眼鏡)」の略称で、後ろに形式名が続く、以下それを記述する。
モデル | 解説 |
ZF41 | 1941年に採用された1.5倍率のスコープ。レシーバー上方に取り付ける、接眼距離が長く*1前線では不評だった。 しかし、このモデルが最も多く生産され、使用された狙撃銃となっている。 |
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民間用スコープ | 純粋な民間向けに作られたものを転用したもの。4倍率が主流で、レシーバー後方に取り付けるものが多かった。 接眼距離が短く、高倍率であったため比較的高評だった。(もちろん規格の統一性は考慮されていない。) ZF39と呼称されることが多いが、これは不正確である。ZF39はカール・ツァイス社製の4倍率スコープであるツィールフィアのみを指し、 その他のスコープは市販照準眼鏡(handelsübliche Zielfernrohre)として一括りに総称されていた。 |
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GwZF4(ZFK43) | 4倍率の照準器でGew43用に開発、制式採用されたもの。 戦争末期に軍はライフルスコープの生産拡大のために仕様の標準化を図り、その一環としてKar98kにもGwZF4を装着することが検討された。 このタイプはほとんど現存しないことから、試作のみに留まったか、ごく少数の試験使用に限られたものと思われる。 |
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外部リンク †
・Mauser model G98 / K98k ムービー