モデル | 全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 製造国 |
SCAR-L | 612(838)mm | 3.28kg | 5.56mm×45 | 20/30 | S/F | ベルギー アメリカ |
---|---|---|---|---|---|---|
FNAC | 629(861)mm | 3.12kg | ||||
HAMR | 685(876)mm | 4.62kg | ||||
SCAR PDW | 520(632)mm | 2.49kg | ||||
SCAR-H | 798(1021)mm | 3.51kg | 7.62mm×51 | 20 | ||
SCAR-H TPR | 1028(1079)mm | 4.84kg | 7.62mm×51 | 20 | S |
FN社が特殊部隊向けに開発した次世代突撃銃。SCARは「Special operations forces Combat Assault Rifle:特殊部隊用戦闘突撃銃」の略。
同社FNCを基に開発されたと云われ、ボディの外観にその名残があるものの、改良を重ねた現行モデル(右図)では、内部の作動機構含め、FNCとはほぼ別物となっている。5.56mm版の「SCAR-L(Light)」と7.62mm版の「SCAR-H(Heavy)」の二種が用意され、各パーツを共通化した事で操作や整備が同じ手順で行える。保守部品を別途用意する必要が無く、製造/保守コストの削減も望める。そして、新たに6.8mm口径などの新しい弾が登場してもスムーズに適用が可能な様、設計されている。
現代の歩兵用ライフルは、ピカティニーレールを介して、各種光学機器をはじめとする幾つものアクセサリーを装着するスタイルが定着しつつある。そのためSCARでは、レールを支えるレシーバーからフォアエンドまでを一体化し、構造的な弱点となる接合部分を廃する設計とされた。レバー類はアンビ化され、構えをスイッチしてもグリップを保持したまま全て操作可能なようレイアウトされた*1。グリップ・トリガー周りのデザインは、最終的にAR15/M16タイプとされ、制式ライフルの交替をスムーズ化する配慮がなされた。
ストック?は伸縮と折畳みが可能な上、従来のスナイパー用ストックのように調節可能なチークピースを備える。これによって、使用者の体格や装備状況*2に、より幅広く対応が可能となった。折畳む際も角度が若干オフセットされるため、排莢口を塞がない。G36がスケルトンストックとしたことで、クリアした問題だが、その分調節機構を組み込めなかった欠点を補った部分である。
折り畳み式のフロントサイトが据えられたガスブロックにはガスレギュレーターを備え、サプレッサー使用時にはガス流量を最適化することができる。
また、専用のアドオングレネードランチャーとして、FN40GLが開発されている。M203やAG36で必要だったハンドガードの交換無し*3に、バレル固定のアンダーレールを介して、素早い着脱が可能だ。
FN社の意図としては現在、アメリカ特殊部隊が使用中のM16やM4、狙撃用のSPR Mk.12の後継としてSCAR-Lを、M14およびSR25の後継としてはSCAR-Hを、そして現在導入が検討されている6.8mm口径弾にはSCARの新たなモデルを用意し、あわよくばアメリカ軍の主力火器全てをSCARで統一してしまおうと目論んでいたようだ。
2005年からアメリカSOCOMが大量に購入し、SCAR-LとHにはそれぞれ「Mk.16 Mod.0」「Mk.17 Mod.0」の名称を与えて、前線でも本格的な運用試験を行っていた。FN社も制式採用のアナウンスを出すなど米軍採用の次世代ライフルのド本命とされていたが、SOCOMは、5.56mm口径のMk.16について、2010年以降の購入のキャンセルを発表した。ただし、7.62mm口径のMk.17については引き続き購入するとのアナウンスも出ている。
FNは、L、Hを基本に、SCARの様々な用途に応じた派生モデルを発表している。
2010年には、IAR計画で開発された、フルオート射撃時に自動的にクローズドボルトからオープンボルトへ切り替わってコックオフを防ぐユニークな機構を有するHAMR(Heat Adaptive Modular Rifle)を、2011年には、空虚重量2.5kgを切る小型軽量モデルSCAR PDWを発表している。
2012年には、米陸軍の「インディビジュアル・カービン*4」用に開発した、SCAR-Lの改良モデル「FNAC(FN Advanced Carbine)」を登場させている。機構上の変化としてチャージングハンドルが射撃時にボルトと連動して動作しないように改良されており、より安全に射撃可能となっている。またこれに伴い、フォアエンドのネック部にあった事故防止用の黒いブロックが廃止された。その他、SCAR PDWのようにフロントサイトも着脱式に改められ、ガスブロック前方にバヨネットラグを追加して米軍制式のM9銃剣に対応した。
またSCAR-Hには長銃身と延長フォアエンド、精密射撃用のバットストックを備えた狙撃用/DMRモデルSCAR-H TPRが登場している。TPRは「Tactical Precision Rifle:戦術精密ライフル」の略。アメリカ市場ではMk.20 SSR(Sniper Support Rifle)の名称で販売されている。 2015年1月には、米陸軍のCSASS(Compact Semi-Automatic Sniper System)プログラム用に開発した「CSR-20」を発表している。Mk.20をベースに、銃身を16インチに切り詰めM4用バットストックを標準で使用可能としたモデルである。
アメリカの民間市場では、SCAR-LとHはそれぞれ「SCAR 16S」及び「SCAR 17S」の名称でセミオートモデルが販売されており、ユーザーからは操作性や反動のマイルドさが評価されている一方、ストック周りの不具合なども報告されている。また、カービンサイズでは側面レールが短い点なども指摘され、延長レール付きフォアエンドや、サードパーティ製のM4タイプのテレスコピックストック用アダプターが販売されている。
米軍SOCOM隷下の特殊部隊ではサードパーティ製パーツを用いてSCAR-Hをモジュラーウェポンとして運用しているようで、市販の5.56mmコンバージョンキットや、M110とマガジンを共用可能なSR-25マガジン対応ロワーレシーバー等の運用例が目撃されている。
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