ベレッタ 93R / Beretta 93R 【機関拳銃】 †
全長(ストック付) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
240(570)mm | 1170g | 9mm×19 | 20+1 | 1100発/分 | S/3 | イタリア |
1977年ごろ、イタリアのベレッタ社が同国政府の要請で開発した自動拳銃(機関拳銃)。
短機関銃などで武装したテロリストに対抗するため、セミオートと3点バースト射撃の切り替えが可能となっている。「R」はイタリア語でバーストを意味する「Raffica」のイニシャルである。
70年代のイタリアでは極左組織『赤い旅団』によるテロ事件が頻発しており、イタリア政府は自国メーカーに小型自動火器の開発を要請していた(フランキ社ではスパス12が開発されている)。出自が出自であり、加えて非常に小型の自動火器であるため、本銃の販売は法執行機関クラスのディーラーに限られていたようだ。
ベースとなったのは同社製機関拳銃のM1951Rと、当時の新鋭だった92。フルオートではなく3点バーストが採用されたのは、M1951Rから得られた「制御が難しい上にすぐ弾を撃ち尽くす」教訓によるものである。
バースト射撃時の誤作動を防ぐため、92ではスライドに配置されたセイフティはフレーム部に移された。射撃モード切替のセレクターとは独立しており、コック&ロックも可能となっている。
大型化したトリガーガードの前部から伸びているのは折り畳み式のフォアグリップで、トリガーガードに添え手の親指を入れて握りこみ、3点バースト時の反動制御を補助する。グリップ底部後端には穴空きブロックが付いているが、これはランヤードホールではなく、グリップ底部前面の窪みと合わせて折り畳み式ストックを装着するための接続部であり、ストックを装着することで簡易なカービンとしても運用できるよう設計されている。
スライド形状も異なり、スライドのブリーチ側(後半部)が92では上面に向って滑らかな丸型である対し、93Rは角ばった台形となっている。またセレーションも通常の92がスライド下半分にあるのに対し、93Rは上半分に刻まれている。
初期生産型と後期生産型の2種類が存在している。それぞれ、銃身に開けられた穴の仕様が異なる。
初期型ではコンペンセイターとして、92から約2cm延長された銃身の上方に長方形のガスポート(ガス抜き穴)が6つ設けられている。
後期型ではフラッシュハイダーとしての役目を重視した、銃身の周囲に菱形の穴が3つ開けられたデザインになっている。
映画『ロボコップ』で主人公のロボコップが使用する「オート9」は、本銃がベースのプロップガン。その派手な見た目から『シン・シティ』など他の映画でも度々登場したこともあり、オリジナルの作品が公開されてから時間が経っているにもかかわらず、根強い人気がある。
近年ではFPSにもよく登場するが、モデリングの簡略化の為か93R独自のディテールを再現したものは少なく、単に92にグリップやストックを足して3点バーストにしたモデルとなっている作品も散見される。
日本の遊戯銃業界においては、MGC社から日本初の「片手で連射できるセミオート拳銃」としてエアソフトガン化され、一大ムーヴメントを巻き起こした銃でもある。
MGC社の倒産後はKSC社に設計が引き継がれ、改良版が同社の看板商品としてロングランヒットしている。KSC販売モデルは玩具としての面白さを重視してフルオート機構が追加されているほか、3点バースト部品を別売とした廉価版も存在する。
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