RSAF リー・エンフィールド / RSAF Lee-Enfield 【小銃】 †
モデル | 全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
MLE Mk I | 1260mm | 4.19kg | .303 British | 10 | イギリス |
---|
SMLE Mk III(ライフル, No. 1 Mk III) | 1130mm | 3.96kg |
---|
SMLE No. 4 Mk I(ライフル, No. 4 Mk I) | 1130mm | 4.11kg |
---|
SMLE No. 5 ジャングルカービン | 1003mm | 3.24kg |
---|
L42A1 | 1180mm | 4.42kg | 7.62mm×51 |
---|
1895年にイギリス軍に採用された、イギリスの代表的ボルトアクションライフル。1873年にスコットランド系アメリカ人のジェームス・パリス・リーが設計したライフルがその原型である。これを改良したものがRSAF製の「リー・メトフォード・ライフル」で、本銃は同RSAFによる、さらにその改良発展型である。
当初「MLE(マガジン・リー・エンフィールド) Mk.1」の名で採用された本銃は、1903年に取り回しの良いよう銃身が切り詰められ、「SMLE(ショート・マガジン・リー・エンフィールド) Mk.1」へと更新された。以後、幾度も改修を重ねながら、その実ほとんど姿を変えることなく、L1A1に更新されるまでの約60年間、軍の主力制式小銃であり続けた。
リー・エンフィールドは当時のボルトアクションとしては珍しい着脱式マガジンを有し、その装弾数も当時としては多い10発となっている。ただ、装填そのものはクリップで5発ずつ本体レシーバー上部から行い、銃を分解する以外では普通マガジンを外すことはなかったようだ。
ボルトハンドルは下方へ湾曲しトリガーより後方に配置されている。このためグリップからスムーズにハンドルへ握り替えることが可能で、ボルトハンドルから手を離さずトリガーを引くことで連射性を高めるという射法も出来た。ボルトの回転角・ストロークが短いことから操作量も少なく、扱いに熟達した射手ならば、セミオートにも近いサイクルで連射が可能であったという。ちなみに、こうしたボルトアクションライフルによるラピッドファイアはマッド・ミニット(Mad minute、「狂気の一分間」の意)と呼ばれ、多くのマッド・ミニットの大会が開かれている*1。また、ハンドル操作中もサイトを塞がないことから、サイトを覗いたままでボルトの後退操作が可能だった*2。
撃針のコッキングは、ボルトの前進操作時に行われるコックオンクロージング方式。この方式では、ボルトハンドルを起こす操作でコッキングが行われるコックオンオープニングと比べ、ボルトハンドルの上げ下げや後退操作をスムーズに行える。一方、閉鎖の直前にコッキングのテンションが掛かるためスムーズに閉鎖できないと言われるが、実際には押し込みの勢いが付いてからテンションが掛かるため、速射の際にはあまり気にならず、全体的にはコックオンオープニングと比べて素早くスムーズにボルト操作が行えたという。ただしコックオンクロージングの場合、撃針のスプリングをあまり強く出来ずロックタイム*3が長くなる。また、不発時の再コッキングには、ボルト後端のコッキングノブを引くことで行う仕組みだった。
第2次大戦中には主力ライフルとしてだけでなく、廃棄された旧モデルが特殊作戦用小銃のベースとされたり、果ては機関部のみを取り出して当時の歩兵戦車が装備した煙幕弾投射器の撃発装置にされたりと、特殊な形での転用もなされた。
主力ライフルの座から外された後も、訓練銃や狙撃銃としてリー・エンフィールドは生き残り続けた。格別高精度とはいえない、トリガーの感触も今ひとつと、むしろ狙撃銃としては欠点を抱えたライフルだったものの、7.62mmNATO弾仕様に改められた狙撃銃モデルL42A1が第一線で使用され続けた。そして1980年代半ば、ついにL96A1への更新が開始された後も、L42A1は1992年まで現役だった。
軍用のみならず、民生モデルでも人気が高く、世界各地で使用例が見られる。イギリス国外でもインドや、アフリカにまで至る中東地域などで、年代物のリー・エンフィールドが未だに武装ゲリラや民間人の手で使用されているようだ。
珍しいところでは、カナダレンジャーズ(カナダの湾岸・国境警備に当たる民兵団)の唯一の制式装備として、No.4が1947年から2013年まで、実に60年以上使用され続けた。
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。