スタームルガー ミニ14 / Sturm Ruger Mini-14 【自動小銃】 †
スタームルガー社が1974年から販売しているセミオートマチックライフル。
アメリカ軍の旧制式小銃であるスプリングフィールド M14を小型化したような外観で、ミニ14の名称もM14にあやかったもの。AR15と同じ.223レミントン弾モデルを基本とし、7.62mm×39弾や6.8mm SPC弾といった軍用突撃銃クラスの弾薬を使用する民間向けライフルである。
回転閉鎖式のボルトやトリガー機構などもM14に近いものが用いられているが、作動はロングストローク・ガスピストンとショートストローク・ガスピストンの合の子のような、非常にユニークな作動機構を採用している。強いて言えば、本来それぞれ独立しているショートストローク式のピストンとボルトキャリアを結合して一見ロングストローク式にも見える「ショートストローク・フィクスト式」としたのが特徴である。
基本モデルは「ランチ(ranch:牧場)ライフル」と呼ばれ、安価で軽量なことからバーミント*1ライフルとして多く使用されている。外観がスポーツ/狩猟ライフル然としているので、軍用ライフルそのままのAR15などと比べて周辺住人などに無用の緊張を強いることが少ない、という配慮から警察への採用例もある。
軍・法執行機関向けにセミ/フル(または3点バースト)の切替が可能なセレクティブファイアモデル「AC556」もラインナップされており、ニューヨーク市警の緊急展開部隊(ESU=Emergency Service Unit)が先述の理由から、M4カービン採用以前にこれを使用していた。一方、セミオートオンリーのミニ14ライフルを採用している公的機関もあり、折畳み式のシンセティックストックや着剣用ラグ、フラッシュハイダー等を装備したミニ14/20GBは警察機構での採用例も多い。
設計上、AR15マガジンを使用できないため近年ではその人気はやや衰えつつあるが、木製ストックの外見や信頼性で有利なガスピストンシステムであることから根強いファンは多い。
2011年7月22日に発生したノルウェー連続テロ事件では、犯人のアンネシュ・ブレイビクがミニ14を使用し、1982年に57人以上を殺害した韓国の禹範坤(ウ・ポムゴン)の記録を抜き、世界最多の短時間大量殺人事件を引き起こした。犯行直前にブレイビクがYoutubeに投稿した動画、及びネット上で公開した犯行声明に添えられた写真には、多数のアクセサリー*2を装着した同銃(2005年以降モデル)を構えた姿が写されている。
ちなみに、本銃をブルパップ化することの出来る、マズライト社のコンバーションキットが存在する。
モデル | 解説 |
ミニ14 ミニ14GB ミニ14GB-F | 最初のモデル。公用モデルのGB(Goverment Barrel)には着剣機構がある。 GB-FはGBにフォールディングストックが備わったもの。 |
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ミニ14/5R.222 | 5.56mm×45弾の民間使用が禁止されている国向けに、.222レミントン弾(5.7mm×43弾)仕様としたモデル。 1980年代にごく短期間製造されていた。 |
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ミニ14(2005年〜) | 2005年以降生産のマイナーチェンジモデル。 サイト類の変更とレシーバーにスコープマウントが追加された。 |
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ミニ14ターゲット | 銃身長22インチのヘビーバレルに変更したモデル。2007年登場。 |
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ミニ14タクティカル | 2009年登場。銃身長約16インチのフラッシュハイダー付きショートバレルを有し、 通常の固定ストックか、フォアエンド部にピカティニーレールを配したATI製折畳ストックが選択できる。 使用弾は.223Rem/5.56mm NATOのほか、2015年に.300AACブラックアウト弾仕様が追加された。 |
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AC-556 | 軍・警察向け。上述のGBにフルオートまたは3点射機構を追加したもの。 |
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AC-556F | AC-556のバレルを短縮し、フォールディングストックとピストルグリップを追加したもの。 |
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ミニ30 | 1987年登場。7.62mm×39弾(.30口径)を使用するモデル。AK47の30連マガジンが使用可能である。 日本国内で猪猟用として所持許可を求めることも可能。 |
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ミニ6.8 | 2007年登場。6.8mm SPC弾を使用できるモデル。2012年に生産終了。 |
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マズライト MZ14 マズライト MZ30 | ブルパップ化キット。項目参照 |
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外部リンク †
・Ruger Mini-14 / 30 ムービー